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【週刊京都経済特約】TOPICS 部品を知れば未来が読める。次は中国で“カラー動画ケータイ”?

2000年09月08日 20時20分更新

文● 週刊京都経済

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“部品”を知れば未来が読める――。大くくりなマクロ議論も役には立つが、「明日はこうなる」、「1年後は」といった近未来を知るにはミクロな分析が最適だ。今回はオムロンが開発したひとつの小さな部品を“除き窓”に、携帯電話が今後どのように進化するかを展望してみる。(築地達郎)

「来年は『動画』になります。需要が沸騰しますよ」。

オムロンがこの夏投入した携帯電話用LED(発光ダイオード)バックライトの開発プロジェクトチームを率いる、浜口邦憲・技術本部中央研究所B-MLAプロジェクトチームリーダーは、開口一番こう豪語してみせた。

「来年は需要が爆発する」と語る山口さん――携帯電話の進化はどこまで続く?

「動画になる」のは、携帯電話だ。2001年5月ごろに携帯電話の伝送方式が一新されるのと軌を一にして、携帯電話の液晶画面の表示を動画化する動きが一気に加速されるのだという。

これまでPHSで実験的に一部実用化されている無線テレビ電話が、携帯電話でもいよいよ本格的な実用段階に入ることを意味してもいる。

携帯電話に『iモード』が登場したのが'99年2月。これを契機に、携帯電話の液晶パネルはそれまでの“表示板”から“画面”になった。携帯電話端末が“話すもの”から“睨(にら)むもの”になったとも言える。

'99年末にはカラー液晶を搭載した端末機が登場。携帯電話は視覚を使って情報をやりとりする道具として発展しようとしている。

ニーズは明らかに爆発し始めた。ところが、そこに大きな壁が改めて立ちはだかってきた。携帯電話にとっては宿命的な、電池の持ち時間問題だ。

「液晶で動画を表示しようとする場合、従来に比べて数倍の明るさが必要なんです。このため電池への負荷が大きくなり、持ち時間が大幅に短縮してしまう」と浜口氏は言う。カラー動画を扱うことのできるパソコンの場合、消費電力の実に40%をパネルのバックライトが使っているといわれるほど、電池への負荷は大きい。

オムロンが投入したバックライト部品は、この問題に対して「光源の数を減らす」というアプローチを目指したもの。1個の光源(発光ダイオード)でできるだけ広い範囲を効率よく照らすことで、消費電力を減らそうという発想だ。

具体的には、直径10μmサイズの小さなレンズ(MLA)をプラスチック上に生成する技術と、そのレンズの配置方法を決定する独自の数式との組み合わせ技術だ。

従来は数個(2個から6個程度)の発光ダイオードを並べて画面を照らすという方式が一般的だが、1個で済むと電力消費が「3分の1から4分の1にもなる」。

浜口氏は、「これによって携帯電話の動画化に向けて最大のハードルを越えた」と話す。

もちろん携帯電話の進化を支える技術は極めて多岐にわたる。しかし、電力消費の削減というテーマに対して、オムロンが現実的な答を出したのは間違いなさそうだ。この技術を発表した2月、東京証券市場でのオムロン株価は敏感に反応、ストップ高を付けた。。

オムロンはカラー動画携帯電話の市場についてどのような展望を持っているのか。

浜口氏は「今年は月産10万個から30万個(携帯電話10万から30万台分)だが、2001年には同80万から100万個、2002年には同100万台以上になる」とみる。

実は現在、iモードに代表される携帯電話によるインターネット接続サービスは日本と韓国が世界をリードしているといわれる。欧米では仕事の道具として受け止められているのに対して、日本や韓国では若者が積極的に使うコミュニケーションツールになっているからだ。

浜口氏はオムロンのバックライト部品についても、2001年までは日本と韓国向けの端末が主体だ。対応する端末メーカーは日本の企業が中心となる。

ところが、2002年以降は状況が変わると予測する。世界最大の携帯電話端末メーカーであるノキア(フィンランド)や同じく北欧のエリクソン(スウェーデン)が相次いでカラー動画対応端末に参入するとみる。両社が力を入れる中国市場でカラー動画の端末に対する需要が拡大するとみられるからだ。同社はこれに合わせて製造委託先を拡充し、生産体制を整える計画だ。

※記事の転載にあたっては、外来語の表記など用字用語の一部のみをASCII24の表記に合わせて書き換えた。その他はすべて原文のまま。

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