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デジタルコンテンツ流通の鍵“コンテンツID”――Content Management Forum 2000より(前編)

2000年09月06日 17時41分更新

文● 千葉英寿

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デジタルコンテンツに関する著作権保護システムの策定を進める産学共同プロジェクトであるコンテンツIDフォーラム(以下、cIDf)は5日、6日の両日、(株)IDGジャパンとの共同主催により“Content Management Forum 2000(コンテンツ・マネージメント・フォーラム)”を、東京ファッションタウン・TFTホールにおいて開催した。

cIDfが提唱、標準化を推進しているネットワーク流通におけるデジタルコンテンツの著作権管理技術である“コンテンツID”を中心に、デジタルコンテンツの配信システムや著作権管理技術、それに関わるビジネス戦略に関するコンファレンスと展示が行なわれた。

動画の知的財産管理、保護のために

開幕記念講演では、cIDf会長で東京大学教授の安田浩氏が“デジタルルネッサンスの世紀にあたって――コンテンツ流通のための5つの戦略的提案”をテーマに講演を行なった。ascii24にも何度か登場している安田氏は、MPEGに関する第一人者として、NTT情報通信研究所在任中より動画コンテンツの技術に関わってきた。

cIDf会長、安田浩氏による開幕記念講演の模様

冒頭、安田氏はADSLやファイバー、次世代携帯電話の“IMT-2000”による無線化などといったアクセス形態の多様化と、非PC機器が端末の半分を占めるという状況変化を指摘、多様な環境でのサービス提供の必要性があるとした。

さらにデジタルコンテンツ配信に不可欠な技術である動画圧縮技術である“MPEG”について解説した。これまでのMPEG 1、MPEG 2では、帯域圧縮の観点から進められていたが、昨年8月に標準化されたMPEG 4(※1)では“メディア・スケーラブル”、“オブジェクト・スケーラブル”という観点から検討されている。

また、“感性スケーラブル”という観点においては、シーンの構成要素として“背景”、“人物”といった要素片ごとに識別することが可能で、「モー娘のメインボーカルだけが見たい、という要望にも応えられる」(安田氏)という。

しかし、これからは、「“アクセス制御”が大きな課題となってくる」という。そこで必要になってくるのが、コンテンツIDというわけだ。

※1 MPEG 4:転送速度が数Kbit/秒という低ビットレートの符号化方式となっており、移動体通信の利用が想定されている。次世代携帯端末のシステムである“IMT-2000”での採用が予定されている

IDは民間で運営される管理機関が管理する可能性も

cIDfで提唱しているコンテンツIDとは、動画などのデジタルコンテンツにその権利義務を明定したユニークなIDを“透かし技術”により埋め込み、“コンテンツID管理センター”においてこれらのIDに対応した権利情報をデータベースで登録、管理する。購入者はコンテンツの権利情報を参照でき、中立的な機関(ネットポリスなど)による不正使用の監視も行なえるようにするものだ。

コンテンツ処理の流れ

cIDfでは、今年3月にはこの仕様を定義した“cIDf仕様書”を発表している。仕様によれば、コンテンツIDには、“ユニークコード(IDセンタ管理番号)”が設定されているが、これは“地域コード”、“ID管理センタ番号”などで構成されている。

安田氏によれば、この中で管理される番号は、すべてが非営利機関で管理するわけではなく、一部のIDは民間で運営される管理機関が管理する可能性もある、という。そうすることによって、地域や形式の違い、競合する管理企業によっては複数で運用され、サービスの向上などが期待できるだろう、ということだ。

コンテンツIDの推進に伴って浮上してきた課題が、「各種のフォーマットに対応して欲しい、という要望だ」、と安田氏は語っている。例えば、動画ならMPEG、というものがあるが、テキスト、静止画、音、といっあたようにそれぞれタイプの異なるフォーマットが存在しているが、「これらは実際には埋め込み特性が違う」(安田氏)。

こうした課題に対応するために、提案されているのが、“二階層電子透かし”という方法だ。つまり、普段隠されている(埋め込まれている)“実透かし”(実際にそれぞれのコンテンツに最適な透かし技術)を知るための透かしとして、“メタ透かし”を用意するというものだ。

電子透かしを二階層にすることで、多様なコンテンツに対応できる

コンテンツIDがもたらす5つのメリット

最後に安田氏は、コンテンツIDがもたらす5つのビジネス的価値について言及した。

cIDf会長で東京大学教授の安田浩氏。cIDfは'99年8月に安田氏の提案により発足した

まず、第一にコンテンツIDをキーとした自動トランザクション処理が可能になり、課金やロイヤリティー分配が効率的に行なうことができる、という。

第2は、不正利用の監視が効率的になり、ネットポリスが動きやすく、より安全性が高くなる、という。

第3にマーケット情報収集の効率化により、コンテンツの売れ筋情報が収集できる。この場合、コンテンツIDは、バーコードと同様の役割を果たす。「IDをいかに分析するか、という点で、そうしたビジネスが成り立つかもしれない」(安田氏)ということだ。

第4は、再利用時の条件の明確化、オリジネーターであることの主張、改ざん検出が可能になるなど、オリジナリティーの主張が容易になる。

最後に、安田氏は「実体のあるものと比べ、デジタルコンテンツに“個体概念”を求めることは難しかったが、コンテンツIDをつけることで、“ユニークなもの”にすることができる。こうしたデジタルコンテンツの重要な成功例が、iモードと言える」とした。

ネットビジネスの重要な鍵は、権利義務を明定されたID、すなわち“コンテンツID”と言えるだろう。

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