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【アルス・エレクトロニカ・フェスティバル2000 Vol.1】“ネクスト・セックス”で精子レース 

2000年09月04日 23時14分更新

文● 岡田智博 coolstates.com

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街中がマルチメディア・パーティーの“オープニングデイ”

21年目を迎えた最も伝統のある電子芸術祭、“アルス・エレクトロニカ”が9月2日よりオーストリアのリンツを舞台に始まった。

アルス・エレクトロニカ・フェスティバルは、科学技術と芸術、文化との最先端での関わりについて、毎年ユニークなテーマを設定して開催される世界最大級のイベント。

今年のテーマは“ネクスト・セックス”というユニークなもの。生命科学を中心とするテクノロジーの進歩が“現在のセックスのあり方”を変えてしまうということを主題にした“テーマイベント”と、メディアアートとコンピューター・グラフィックス・ミュージックといった全領域を網羅する電子芸術の総合コンテスト“プリ・アルス・エレクトロニカ”に分けられている。

かなりイケてる? テーマロゴ“ネクスト・セックス”

初日である2日は、リンツの街の各所を舞台にオープニングイベントが開催された。

オープニングを飾ったのは、“プリ・アルス・エレクトロニカ”の受賞作品を中心に紹介した国際展覧会“サイバーアート2000”。14回目を迎える今回のオープニングイベントでは、世界59ヵ国1800件の応募の中から選ばれた優秀作品がギャラリー・OKセンターを舞台に公開された。

“プリ・アルス・エレクトロニカ”の受賞作品を中心に紹介

このギャラリーは、街の中心部にこの企画展覧会のために建てられたもので、訪れる者が自由にアクセスできる。週末を過ごすゲストたちと普通の家族連れが混ざり、リラックスした雰囲気で作品を楽しんでいた。なお、受賞作品についての紹介は後報にてお届けする。

オープンスタジオで展開される12以上のプロジェクト

午後、ショーケース“エレクトロロビー”のオープニングが行なわれた。“エレクトロロビー”は、テーマイベントのメイン会場となるドナウ河の辺――“ブルックナーハウス”のロビーに設置された。

オープニングはIPOという趣向で、世界各地より正式に招待された12のプロジェクトのプレゼンテーションが行なわれた。会期中、“エレクトロロビー”からインターネットTV放送が流されており、それぞれのプロジェクトやテーマイベントの模様を見ることができる。

ここは高速バックボーンに接続された端末群とスタジオによって構成されている。7日までの会期中、テンポラリーのオープンスタジオで展開される。

“エレクトロロビー”のオープニングの模様

夕方には“ネクスト・セックス”のテーマにかけたイベント“精子レース”のオープニングと第1回のレースが、この街最大の広場“ハウスプラッオ”で数百人の聴衆を集めて開催された。同時にインターネットを通じてレースの模様もアニメーション化されて生中継された。

お元気ですか? その速さを競う“精子レース”

“精子レース”とは、精子の数と運動量が減退していることを提起するもの。参加者を募り、彼らの精子の速さを競わすレースだ。ギャンブルとしてお金を賭けられるものとなっている。

オープニングでは、主催者である現地のメディア文化センター、アルス・エレクトロニカ・センターの芸術ディレクターであるゲルフリート・シュトッカー氏がイベントの意義を説明した。レースを運営する科学者チームの手によって、レースの方法と、レースにエントリーした精子のプロフィールが読み上げられた。

イベントの意義の説明や、レースの方法、精子のプロフィールを紹介
ハウスプラッオで数百人の聴衆を集めて開催された“精子レース”のオープニング

深夜にはオープニングの日を締めくくるオープニングパーティーが、屋内スケートリンクを舞台に開催された。スケートリンク内に作られた島をパーティー会場にして、朝まで何千人ものゲストがこの催しを楽しんでいた。島のまわりには数面のスクリーンが掲げられ、CGやアスキー文字によるアニメーションや、VJプレイなど様々な電子映像がノンストップで映し出された。 リンクの上では、ダンススケートやアイスホッケーのデモンストレーションが展開される一方、“ネクスト・セックス”にちなんだオーケストラによる演奏と嬌声のアンサンブルも展開されるなど、盛りだくさんの演出に満ち溢れていた。

朝まで盛りあがったオープニングパーティーの模様
 

筆者の手によるヨーロッパのパブリックなサイバースペースとメディア・アートに関するレポートがここでも読めます

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