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世界のロボットマニアが集まる“RoboCup2000”オーストラリアで開幕!!

2000年08月30日 07時01分更新

文● 柴田文彦

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“RoboCup2000”が8月28日から9月3日までの1週間、オーストラリアはメルボルンで開催中だ。本稿では“RoboCup2000”で行なわれた各種競技の模様を報告する。

第4回目となる今回は、昨年のスウェーデン/ストックホルムから南半球に場所を移しての開催だ。会場となったMEC(Melbourne Exhibition Centre)は、メルボルンの中心部をほぼ南北に2分するヤラ川の河岸にある。会場の規模は幕張メッセなどもしのぐほどだが、町の中心部からも近く、交通の便も良い。

会場となったMEC(Melbourne Exhibition Centre)のフロント

RoboCupは、全世界から参加者を募ったロボットによるサッカー大会と、それに関する研究発表などのワークショップを組み合わせたイベント。7日間の会期のうち、丸々2日がワークショップに充てられている。その間は試合もなく、予選までと準決勝以降の日程を、ワークショップが分断している形だ。これを見ると学会的な色彩が強いイベントのように思われるかもしれないが、実際の試合では、参加チームも観客も、純粋にロボット同士の対戦を楽しんでいるように見える。

シミュレーションからソニー四足ロボットリーグまで

現状のRoboCupに含まれる主なリーグには、シミュレーション、f-180(スモール)、f-2000(ミドル)、そしてソニー四足ロボットリーグの4つがある。また競技はないものの、RoboCupジュニアと称して、子供向けにLEGOのMindStormsを使った組み立て式ロボットのデモも開催されている。

LEGOのMindStormsを使った組み立て式ロボットのデモも

団体でRoboCupに訪れた近所の小学生も、さっそく興味を示していた。さらに今年から加わったリーグとして、2速歩行ロボットのバイペッドリーグや、火災などの災害の際に人命救助に使われるRoboCupレスキューといったリーグもある。いずれも、今年は数体の動作がデモされることになっているだけで、まだ競技は開催されない。

シミュレーションリーグでは、その名の通り、実際のロボットは使われず、ネットワークで接続されたコンピューター同士で、サッカーのシミュレーションとしてストラテジーが競われる。結果は会場にある大きなスクリーンに映し出される。このリーグでは、実際のロボットを作る予算も手間も不要なため、最も手軽に参加できる。参加チームも43で、今回のRoboCup中、最多となっている。

シミュレーションリーグ。サッカーのシミュレーションとしてストラテジーが競われる

スモールリーグでは、卓球台ほどの大きさフィールドの中で、180平方cm以内の面積(一辺は約13cm)に収まる小さなロボットを、1チーム最大5台まで使える(写真4)。ボールの大きさがピンポン球ほどということもあって、現状のリーグの中では、最もキビキビした動作で試合が展開する。このリーグには、今年23チームが参加している。

スモールリーグ。最もキビキビした動作で試合が展開

ミドルリーグは、5×9mという比較的大きなフィールドで、直径50cm以内に円に収まるほどの大きさのロボットを、各チーム4台まで使うことができる。現状の競技リーグでは最も大きなロボットで、使用するボールも、ハンドボール用のボールほどと大きく、競技を見ていても迫力は満点だ。今年は、32チームから、事前の予備予選を通過した24チームが参加している。

ミドルリーグ。使用するボールはハンドボール用のボールほど

ユーモラスな動き。AIBOでサッカー競技

ソニー四足ロボットリーグは、言うまでもなくAIBOをベースにしたロボットを使用したものだ。ハードウェアとしてはAIBOそのものだが、各チームは、ソニーから提供された特別なプログラミングツールを使って、通常のAIBOとはまったく異なった動きをするサッカー専用ロボットに仕上げている。1チームあたり3台(うち1台はゴールキーパー)のAIBOを使う。動きがユーモラスだけに、一般の観客の注目は、まずこのリーグに集まるようだ。それを見越して、会場の試合のフィールドの位置は、全リーグ中最も入り口に近い場所に設置している。今年このリーグには12チームが参加している。

ソニー四足ロボットリーグ。ソニーから提供された特別なプログラミングツールを使う

RoboCupでは2050年までに、実際のワールドカップに優勝した人間のチームに、完全自立型のロボットによるチームがFIFAのルールに則ったサッカーで勝つ、という壮大な目標を掲げている。今は単なる夢にしか聞こえないが、その夢に向かって1歩ずつ前進が始まっていることだけは間違いないだろう。

各リーグの試合経過など、RoboCupに関する詳しい情報は、RoboCupの公式サイトを参照していただきたい。

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