台湾Acer Laboratories Inc.(ALi)は、都内で記者会見を開き、DDR SDRAMに対応したチップセット『ALi MAGiK』と『Aladdin Pro 5』シリーズを国内向けに発表した。“DDR(Double Date Rate) SDRAM”は、信号の立ち上がりと立ち下がりの両方に同期することで2倍のデータ転送速度を得られるSDRAMで、米ラムバス社の開発したDRDRAMとともに次世代メモリーとして期待されている。
ALiが発表した『ALi MAGiK 1』(M1647)と『MobileMAGiK 1』(M1647) |
DDR SDRAMに対応したチップセットは、これまでサーバー用途を中心に台湾VIA Technologies社や米Micron Technology社が製品出荷を表明してきたが、製品の価格や出荷時期まで明確に示されたのは今回が始めて。製品のサンプル出荷はすでに行なわれており、2万個出荷時の価格は米AMD社のAthlonとDuronに対応したALiMAGiKが31ドル(約3300円)、米インテル社のPentium IIIとCeleronに対応したAladdin Pro 5が33ドル(約3500円)。量産出荷はともに2000年第4四半期を予定している。
発表された製品は、SocketAとSlotAに対応したデスクトップPC向けの『ALiMAGiK 1』とノート向けの『MobileMAGiK 1』、Slot1/Socket370に対応したデスクトップ向けの『Aladdin Pro 5』とノート向けの『Aladdin Pro 5M』の4製品。それぞれの製品構成は下表のようになっている。
製品名 | NorthBridge | SouthBridge |
AliMAGiK 1 | M1647 | M1535D+ |
MobileMaGiK 1 | M1647 | M1535+ |
Aladdin Pro 5 | M1651 | M1535D+ |
Aladdin Pro 5M | M1651 | M1535+ |
NorthBridgeのM1647とM1651は、ともに200/266MHz駆動のDDR SDRAM(PC1600/2100)とPC133対応のSDRAMの使用が可能で、4倍速AGPに対応。M1647はモバイルAthlonの省電力化技術『PowerNow!』にも対応する。SouthBrigeはデスクトップPC向けのM1535D+とモバイル向けのM1535+があり、ともにUltraATA/100コントローラー、最大6ポート対応のUSBコントローラー、AC-Link、SoundBlaster16互換のサウンド機能、ソフトウェアモデムインターフェース、SuperI/Oコントローラーなどを搭載。ACPIをサポートする。
会場に展示されていたデモ機 |
Iwillのサンプルボード。KA266-Rのプリントが見える |
対応マザーボードは、Iwillなど複数のメーカーが出荷する見込みで、ALiの担当者によると「正確な時期はマザーボードメーカーが決めるが、11月ごろから搭載ボードが出荷され始めるのではないか」との予測を示した。会場には、ALiのサンプルボードに加え、ALiMAGiK 1とAladdin Pro 5を搭載したIwill製のマザーボードが展示されており、Athlon-700MHz、ALiMAGiK 1、266MHz駆動の64MBのDDR SDRAM、GeForce2 GTSといった構成のデモ機による3D Mark 2000が動いていた。
ALiの評価用ボード。NorthBridge用とSouthBridge用を別ボードにし、PCIで接続する仕組みになっている |
なお、同日行なわれたセミナーの資料によるとIwillが出荷を予定している製品名は、Ali MAGiK 1を搭載しAthlon/Duron(SocketA)に対応した『KA266-R』、Duronのみに対応しフォームファクターがmicroATXの『KAM266』、M1651を搭載し、Pentium III/Celeronに対応した『IA266-R』などとなっている。
発表後の質疑応答では、ラムバス社との係争問題に関する質問が出たが、「訴訟関係の取り扱いに慣れており、今回も問題ないだろう」と楽観的な見方が示された。また、ラムバスに対するコメントを求める記者の質問に対しては「システムを購入する人の関心は価格に集中しているため、結論は明らか。Rambusとはアライアンスの関係があり、ALiの立場としては顧客の要請があればサポートできるが、当面はDDRサポートが時流となるだろう」という見解を示した。
発表会に出席したALiのCEOチン・ウー氏(右)、アドバンスド・メモリー・インターナショナル社CEOのデジ・ローデン氏(中央)、ALiマーケティング担当のアンドリュー・リン氏(左) |
また、DDR SDRAMを使用することによる性能向上に関しては「200MHz駆動のDDR SDRAMを使用した場合で約65%の性能向上が見られた。266MHz駆動のDDR SDRAMの使用やパフォーマンスチューニングによってさらに高性能化できるだろう」(ALiマーケティング担当アンドリュー・リン氏)とのことだ。
DDR SDRAMは現在主要メーカーが256Mbit製品の出荷を順次始めているほか、2001年前半をめどに512Mbit製品のサンプル出荷が始まる見込みだ。