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PowerBook2400を400MHzのG3に――mACademiaレポート

1999年11月30日 00時00分更新

文● 高岡真子

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11月19日、大阪市北区のエコルテホールで“mACademia”が開催された。主催者は中西博氏。“mACademia”は、関西で毎月開催されている、Macintoshやインターネットを中心とした真の勇者(ユーザー)の会。インターミッション(休憩)での参加者同士の交流から、大きなビジネスチャンスを掴む人がいたり、新たなプロジェクトが起こったりと、アクティブな活動をしている。

アップグレードの達人、Amuletの高山直久氏が登場

ユーザーがあくまで主権のこの会、先月の議題であるiBookに引き続き、今月の議題は“PowerBook2400解体講座”。なぜ今さら2400なの? という感もあるが、実はこの2400、2年前にAppleが唯一日本でのみ販売を行なったサブノートなのだ! 未だにモバイルとして愛用する人も多く、「クロック400MHzのG3へのアップグレード」という餌につられて、今宵もまた濃いメンバーが集まった。

今回の解体作業には、アップグレードの達人、Amulet(アミュレット)の高山直久氏が東京からやって来た。高山氏は“この道のお医者さん”なのだ。メス代わりにプラスのドライバー1本さえあれば、改造も15分で事足りてしまうという。iBookも高山氏の手に掛かれば「3回もバラせば、飽きちゃいますねー」だなんて頼もしい!

Macのお医者さん、Amulet(アミュレット)の高山氏
Macのお医者さん、Amulet(アミュレット)の高山氏



手順としては、まずドライバーソフトをインストールしてからバラす。キーボードの上部を外し、次に下部、最後にキーボードと外していく。これで、中身の全体が見えてきた。しかし、2400の厚味はやはり“強度がしっかりしているからこそのもの”。マザーボードにたどり着くまでに、高山氏の傍らには10数個のネジが散乱している。ネジの種類にもいろいろあって、中には形が整ったドライバーを使わないと、十字のネジ穴が丸くなってしまい、その時点で“お亡くなり状態”になってしまう要注意ネジ(*1)もあるらしい。

(*1)ねじに関する苦労話 高山氏自身もさじを投げてNCRに持ち込んだときに、金ヤスリで強引にマイナスを切り、ハンマーで引っぱたき、マイナスドライバーを押し込んで開けるという、かなりの荒技を教えてもらったこともあるという。苦労してますねー

「あー。少しネジがゆるんでいますねー」のつぶやきに、中西さんから早速突っ込みが入る。

「整体師みたい!!」。会場も大爆笑!!

と言ってる間も手の早い高山氏は、インタウェアの400MHzG3カードを無事に取り付け完了! 後は地道に元の姿に戻すという作業中、Tooの山村氏も漫才(?)に加わる。

クッキングの素材はPowerBook2400。本体を解体し、インタウェアの400MHzG3カード取り付けた
クッキングの素材はPowerBook2400。本体を解体し、インタウェアの400MHzG3カード取り付けた



待望の“クロック400MHz のG3”に生まれ変わった2400!

初めは起動ボタンを押しても、顔アイコンが出てくるまでにやはり時間が掛かるのだそう。またまた高山氏。「ここで何か1つアトラクションがあれば面白いよね。プン、とか言ったりして!」と、今回の解体に使われた2400の持ち主である小川氏をひやひやさせて、会場に笑い声が絶えなかった。

高山氏の思惑とは裏腹に(?)、正常に立ち上がった2400。動作確認は、持ち主のプライバシーの問題もあって、QuickTime ムービーを見てみよう! ということにとどまった。

開いた画面は、(個人的に感動を覚えた)伝説ムービー、『1984』(*2) 。とっても綺麗な画面で拝むことができた! リドリースコットの制作によるもので、映像が超きれい!! 続いて、『EPISODE1』が流れた。こちらももちろん、画質がクリア!! 2400とは思えない~!

(*2) ヘビーマックユーザーには有名なこのCMは、この年にマックが初めて世界で発表されたときのもの。リドリースコットはブレードランナー等の映画監督

通常の2400ユーザーには分かると思うが、どちらも普通は絶対にムービーがコマ落ちするサイズのデカイ代物なのだ。ボロボロになった宇宙戦艦ヤマトが次の週には、以前よりも新品になって画面に出てきた子供時代を思い返してしまうくらいだ。これで小川氏は、2400ユーザーの中でも羨望の的になった。

生まれ変わった400MHzのG3ノートでムービーを再生。コマ落ちがない!生まれ変わった400MHzのG3ノートでムービーを再生。コマ落ちがない!



笑いのあと、しみじみとムービーを懐かしんだ後、高山氏から、ユーザーニーズに対する問題提起が少しあった。

「マシンを長く使ってあげるのはいいことですが、1ヵ月で製品の入れ替えがおこるこの業界でこだわりすぎるのも……。売る側が心配になるようなアップグレードをなさる方もたまにはいらっしゃるんでね……」

実際、今回入れ替えに使った400のカードは、Amuletの価格でも12万円(*3)を越えるらしい。前作の改造では320が16万円だったことを考えると、これでもかなり安くなったとはいえ、何を選択するかは、やはりユーザーが1番考えないといけないところ。

(*3)正確には12万1000円(消費税、送料別)。Amuletのウェブを参

休憩時間、会場の外で1人、自分で持参した2400とうれしそうに遊ぶユーザーに少し話を伺ったところ、「実はこれ、2台目なんですよねー」とニコニコして答が返って来た。「酔っぱらった時になくしちゃったんだけど、タクシーに置き忘れたと思い込んでいたら、結局盗難だったんですよねー。でもこれが一番好きだからやっぱり買いましたよ、中古で!」うーん。目頭が熱くなりましたねー。

Firewire専用HDDを接続してムービー再生

続いて後半は、Firewire専用HDDのお披露目会(VST、ヤノ電気、 Lacie製)、メールソフト『Eudora ART Series ENIGMA』、アステル関西から新発売のPHSなどの紹介があった。

高山氏と、VSTの正規代理店でもあるゲートの宮本浩司氏の協力を得て、今回はFirewire専用のHDDが合計3台登場した。

まず接続したのは、LacieのHDD。ごつい! でっかい! まずこれを、中西氏が最近購入したiMac DVにつないで動作確認。普通、SCSIインターフェースだとコードを抜くときはリスタートしなければならないが、Firewireタイプは抜いても大丈夫。しかも全然早い! MB単位のムービーも、たった数秒でコピーできてしまう。

早速ムービーを再生してみて、コードを抜いてみる。再生が一時停止状態になって、アラートボックスが出てくるが、マウスは生きたまま。またコードを差し込むと、ムービーは再び再生をはじめた。
ムービーが半分も行かないところで中西さん。「これ、再生の途中で線を抜いてみて、他のHDDにつないだら、どうなるんでしょうね! 」

固まるんじゃないかな~? とつぶやきながら、高山氏は電源プラグを抜いて、とりあえずアラートボックスが出たままの状態で、ヤノ電器のHDDにつなげる。案の定、アラートはやはり消えなかった!

さっきまでそわそわ、わくわくしていた中西さんの動作が止まり、少し遠い目をして「固まりますねー……」。あたりまえやん! 会場はまたも大爆笑。「マウスは動きますか?」(中西さん)。「マウスは動いてもデバイスが変わっちゃってるから……」(高山氏)。結局元のHDDに接続しても「お亡くなりになってしまい」、まったく子供がおもちゃをいじって壊す現場を目の当たりにしている気分である。

そしてついに、ジョブスがサンフランシスコで紹介していたVSTのHDDの紹介に移る。

「いやー、N.Y.のEXPOに行った時、かっこよすぎて、2台買っちゃったんだけどいじってるうちに壊しちゃって……」と、高山氏もお気に入りとのこと。確かにスリムで一番かっこいい! 胸ポケットからさりげなく出せるサイズ……、とまでいかなくても、少なくともヤノ電器と比べると同じ2.5GBの商品でも、厚み、幅ともだいたい半分のサイズなのだ!

しかし、VSTの頭文字の意味が“Very Special 高い”というのは冗談だが、Firewire専用のHDDは、ヤノ電器がVSTより1万円から2万円程度安いものの、全体的にコストパフォーマンス面ではまだまだ高い!! というのが現状。早く、より安価なFirewire専用HDDの到来を待ちたい。

ユーザーカスタマイズできる『Eudora ART Series ENIGMA』

続いて、クニリサーチの武藤秀仁氏からメールソフト『Eudora ART Series ENIGMA』の紹介があった。内容的にはEudora Pro4.0の機能が組み込まれたもので、先月も宣伝告知があった製品。その時にはまだ、静止画面でのインターフェース案内だったが、今回は随分改良を加えて、少しボタンアクションが入って面白いものになってきた。

ENIGMAのインターフェースは、通常のメールソフトに比べて趣向を凝らしてあり、そのデザインも蒸気機関を彷彿(ほうふつ)とさせるレトロなメカニズムで、かつユーザーが自分の好きな形に作り変えることができるように、同社のウェブサイトからパーツをダウンロードできる展開にするという。

同製品は、12月のクリスマスイブに発売予定とのこと。また他にもユニークなデザインの3タイプが近日公開予定だが、これもかなり面白いコンセプトらしいので、次回のmACademiaにもぜひ案内してほしい。

最後は、アステル関西からiBookカラーのPHSの紹介。色はブルーベリー、タンジェリンの2モデル。最近、中西氏はブルーベリーのiBookを購入し、Tooの山村氏はタンジェリンを購入した。無言で2人ともそそくさと自分のiBookを持ち出し、そそくさとPHSと並べて記念撮影。

プレゼンが終わると恒例の“じゃんけん大会”がはじまった。CD-ROMドライブや、Linuxのパッケージを賞品に、今回も最後まで盛り上がった。

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