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「他社サイトからの被リンクが多いサイトは、重要度が高いとみなす」--NECの次世代検索エンジン開発者に聞く

1999年11月29日 00時00分更新

文● 若菜麻里

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日本電気(株)(以下NEC)は、同社のWeb検索サイト“NETPLAZA”向けに新たな検索機能“SiteFinder”を開発、来年1月からインターネットユーザーにサービスを提供する予定だ。本稿では、“SiteFinder”の開発者インタビューをお送りする。別稿で、“SiteFinder”の概要について説明した。

SiteFinderは、複雑な検索条件を設定することなく、パソコンの初心者でもスムーズに目的の情報に到達できることに主眼を置いている。大きな特徴は、(1)情報ユニット、(2)重要ページの選別表示、(3)参照度順表示--の3つの機能を盛り込んだことである。

それぞれの具体的な機能や、開発の背景などについて、同社ヒューマンメディア研究所のマルチメディア ミドルウェア主任の高野元氏を中心に、同研究所マルチメディア ミドルウェア研究部長の古関義幸氏、BIGLOBEパーソナル販売本部サービス開発担当部長の下島健彦氏、同販売本部主任の中村傑氏に聞いた。

同一ディレクトリは塊で、また重要な情報ほど上位に表示

--SiteFinderは世界初の革命的な機能を備えているとのことですが、開発意図は何ですか。

高野氏「他社が提供する検索サービスは、ウェブマスターによる登録型とロボットによる情報収集との2本立てでユーザーに情報を提供し、ヒット数が多いことに価値を見い出しています。しかし、検索結果が5万件表示されても、どれが重要な情報なのか把握するのが困難です。5万件をすべてチェックできるユーザーはいませんし、“○○○○のミラーサイト”というように、不要な情報がかなり含まれています。NECのNETPLAZAでは、新鮮で重要なページに絞って、利用者が探したい情報を提供するのを目標にしています」

--NETPLAZAの具体的な検索機能について教えてください。

高野氏「NETPLAZAでは、通常のキーワード検索に加え、“ページタイプサーチ”が可能です。これは、探しているもののタイプを指定できるオプションで、“製品カタログ”、“リンク集”、“掲示板”、“プレゼント”、“調査報告”、“求人情報”などの選択肢があります」

クリックすると拡大されます
(画像をクリックすると、拡大表示されます。274KBあります) NETPLAZAの検索オプションで提供される“ページタイプサーチ”



高野氏「さらに、新機能のSiteFinderでは、情報をユニットという塊で一覧できるため、自分の探している情報か否かを大ざっぱに選別できます。また通常の検索エンジンでは、各情報へのリンクの大本になっている代表ぺージに、キーワードが含まれない場合は、検索結果として引っ掛かってきませんが、SiteFinderでは、代表ページを必ず表示します。代表ページを見れば、ユーザーが欲しい情報に到達する近道になる場合が多いからです。さらに、そのページの重要度を測る尺度として、他のページからの参照が多いページほど、検索結果の上位に表示するようにしています」

--参照度による順位表示について詳しくお聞きします。リンクの数だけでいうなら、NECさんのように莫大なページ数を持つ大企業は、自社のすべてのウェブページに“TOPページへ”というリンクをつければ、TOPページの順位が上がることになりませんか。また、バナー広告を多く出している企業の順位も上がりませんか。

高野氏「同一ディレクトリーへのリンクは、カウントしないので、大企業というだけでウェブページの点数(=重要度)が上がることにはなりません。また広告も同様に、カウントが上がらない仕組みになっています。また個人のページなどで、友人同士リンクしあうというケースがありますが、これも重要度が高いとは判定されません。例えば、検索サイト“Yahoo!”のページは、NETPLAZA独自のカウント方法によると、他の約1000サイトからリンクされ、非常に点数の高いページです」

「SiteFinderにより検索のプロでなくても簡単に使える検索サービスを提供したい」と高野元氏
「SiteFinderにより検索のプロでなくても簡単に使える検索サービスを提供したい」と高野元氏



「点数の高いページがリンクしている別のページは、これもまた自動的に点数が上がり、重要度が高いと見なします。逆に、個人のページのように、もともと点数の低いページ同士でリンクが数多く張られていても、点数はあまり上がりません」

ニーズの高い情報に素早くアクセス可能な第3世代の検索エンジン

--数ある検索サイトの中で、NETPLAZAはどういったポジションにあると考えていますか。

中村氏「'95年に出現したYahoo!は、人手によりページを収集・分類するディレクトリー型サービスで、これを第1世代と位置づけています。'97年頃登場した第2世代は、“goo”や“Infoseek”、“Excite”などで、クローラーで広範に渡り網羅的にページを自動収集しています。全世界で現在、推定で約8億ページが存在し、自動収集にも限界が見えてきましたが、そういった中で、情報の新鮮さや重要さに的を絞って検索できるのが、'99年に始まった第3世代のNETPLAZAや、“Google”です」

SiteFinderの開発やマーケティングに携わるメンバー。左から、下島健彦氏、古関義幸氏、高野元氏、中村傑氏
SiteFinderの開発やマーケティングに携わるメンバー。左から、下島健彦氏、古関義幸氏、高野元氏、中村傑氏



古関氏「特に、検索結果をページ単位でなく、ユニット単位で表示する検索サイトは、世界でもまだ例がありません」

--ユニット単位とページ単位では、検索結果数はどれだけ違いますか。

高野氏「キーワードによりますが、ユニット単位はページ単位の10分の1から100分の1です。他のサイトで検索結果として5万ページがヒットするなら、NETPLAZAでは5000ユニット以下に凝縮し、一覧できます。しかも、検索速度は従来通りです」

NETPLAZAではECサイトとの連携を目指す

--ユーザーにとって使いやすい優れた検索機能を提供することで、NECが目指しているビジネス的なゴールは何ですか。

下島氏「代表的な検索サイトとしてより広く認知されたいというのが、まずあるわけです。また、売り上げ面では、バナー広告と、ECサイトとの連携という2種類があります」

「NETPLAZAでは、ECサイトとの連携に力を入れていきます。例えば、“ユーミン”で検索して、結果のリンクの中に、“CD販売サイト”のようなロゴを入れ、ユーザーをそのサイトに誘導する。ユーザーにとっては、検索結果から関連情報の入手および、CDの購入が可能です。NETPLAZAは、販売手数料で儲けるという仕組みです。現在でもCD情報と住宅情報を提供していますが、ECサイトと提携するジャンルを増やしていく予定です」

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