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「民間の自由な認証ビジネスを認めたい」--3省が電子署名/認証の法整備に向けた見解を発表~ILPFフォーラム

1999年11月22日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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郵政、通産、法務の3省は19日、電子署名/認証に関する法整備についての見解を発表した。3省が研究会などを通じて検討した上でまとめた叩き台としての見解で、電子メールを通じて広く一般からも意見を求めている。同日、インターネットにおける法制度面などから提言を続けている国際的企業団体“Internet Law & Policy Forum(ILPF)”が電子署名/認証についてフォーラムを開催。出席した政府側の担当者は「規制は最小限にとどめ、民間が自由に活動できるような制度的基盤としたい」と、発表した見解についての狙いを語った。

3省が発表した見解は“電子署名・認証に関する法制度の在り方について~電子商取引の促進をはじめとするネットワークを通じた社会経済活動の基盤づくり~”というもの。

まず目的として、さまざまな活動がインターネット上で行なわれるようになりつつある現在、ネット上の社会経済活動を安定したものにするには、「誰によって発信され、その内容が改ざんされていないかどうかを確認する」ことが「もっとも基本的な要請である」と指摘。電子署名/認証が利用され始めているが、日本では法的な取り扱いについて明確なルールが存在せず、紛争が生じた場合に証拠として扱えるのかもはっきりしていないと指摘。そのため、安心してネット上の活動を行なえるよう早急に法整備を図る必要がある、としている。

さらに“法整備の基本的な視点”として、「少なくとも手書き署名・押印と同等に通用する基盤を整備」することを前提とする。その上で「法制度としては、電子的な署名に手書きの署名、押印と同等の制度的基盤を与える範囲に留めるべきであり、それを超えた過剰な義務づけやビジネスへの介入は避けるべきではないか」と柔軟な立場をとる。技術の進歩にも配慮し、どの技術に法的位置付けを与えるかについても“中立性”を保つべきとし、印鑑における実印と三文判の違いのように、コスト面における認証手段の違いにも、ユーザーの選択肢を認め、国際的な整合性も十分に配慮すべき、とした。

具体的には、電子署名がなされた電子文書については「署名者の思想を表わすものと推定する旨の規定を設けてはどうか」とし、法律上、電子署名を現状の押印と同様に扱えるよう提言している*。また一般的な署名の他にも、画像や音声など多様な署名/認証手段についても検討する。民間認証機関の国による認定については、各認証機関に認定を受けるかどうか判断をゆだねる任意的な制度とし、認証業者の経営方針を尊重する。

*何らかの取引の際、日本では署名/認証手段として押印が一般的だが、民法には押印についての規定はなく、極論すれば単なる慣行に過ぎない。ただ民事訴訟法228条4項に「私文書は,本人又はその代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する」とあり、署名/押印に法的な効力(推定効と呼ぶ)を認めている。3省見解における「署名者の思想を…」の部分はこれを踏まえてのこと。ちなみに日本の裁判制度は、取引成立の可否について、判断を裁判官に委ねる“自由心証主義”をとるため、日本は現状でも電子署名/認証を受け入れる余地が十分にあるとされる。

3省は、それぞれ研究会や勉強会を開き、電子署名/認証に関する法的側面について識者を交えて検討を重ね、「基本的な論点を整理した」として今回の発表に至った。参考意見として一般から電子メール、ファクス、郵便で意見を募り、2000年の通常国会へ法案提出を目指している。

見解が発表された19日、ILPFと(社)経済団体連合会は“電子署名・認証フォーラム”を共催した。通産省と郵政省の担当者も出席し、発表した見解についてその狙いを語った。

フォーラムに出席した郵政省の有冨寛一郎氏、通産省の林良造氏、在日欧州連合代表部顧問のフィリップ・ポーラン氏、米国商務長官特別顧問のエリオット・マクスウェル氏。マクスウェル氏は「通産省と郵政省が仲良くしているなんて、10年前には考えられなかった」と苦笑
フォーラムに出席した郵政省の有冨寛一郎氏、通産省の林良造氏、在日欧州連合代表部顧問のフィリップ・ポーラン氏、米国商務長官特別顧問のエリオット・マクスウェル氏。マクスウェル氏は「通産省と郵政省が仲良くしているなんて、10年前には考えられなかった」と苦笑



通産省機械情報産業局次長の林良造氏は、「電子署名が法的効力を持つ必要がある段階になった」とし、電子署名に印鑑と同じ効力を持たせるべきだろう、と語った。また「国が認定していない認証機関でも、“自由心証主義”により、裁判官が認めれば効力を認めるなど、規制は必要最小限にし、ユーザーの選択肢を認めておきたい」とした。

また郵政省電気通信事業部長の有冨寛一郎氏は、「インターネット普及の阻害要因である“高い、遅い、危ない”のうち、“危ない”以外は整備が進んでいる。民間の認証機関があるが、法的な位置付けがはっきりしていない。この問題がクリアーされないと、安心で安全な経済活動ができない」とした上で、方式について「メール方式である必要はなく、音声や映像など新しい可能性がある。技術的制約がないようにする必要がある」とし、将来の技術進歩に対応できる柔軟な法整備が必要との考えを示した。さらに、「認証機関に厳しい監督を求める声もあるが、民間の自由な認証ビジネスを認めていきたい、という立場だ」との姿勢を明確にした。

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