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【INTERVIEW】「西暦2000年問題、残念ながら日本はもう手遅れ」----アルファ・オメガソフトの佐々木隆仁社長

1999年05月31日 00時00分更新

文● 編集部 原武士

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西暦2000年問題への対応をチェックするソフト『CHECK 2000』の発売元である、(株)アルファ・オメガソフトの佐々木隆仁代表取締役にインタビューした。

パソコンの数は膨大、1ヵ月でチェックしろだなんて、ツールを使わない限り絶対に無理
パソコンの数は膨大、1ヵ月でチェックしろだなんて、ツールを使わない限り絶対に無理



CHECK 2000について

--CHECK 2000の発売は6月9日ですが、ずいぶん発売が遅れましたね

「日本語アプリケーションの情報収集に予想以上に時間がかかった。集めたアプリケーションの数は500以上。500個の市販ソフトで、一般企業で使われているソフトはほぼ網羅できる。市販ソフトの上位100個で市販アプリの90パーセント以上を占めている」

--どのように販売していきますか

「ベンチャー企業である弊社がサポートできる数は多くない。IBMや東芝情報機器といった大手企業に依頼して、法人向けの技術サポートを展開していく予定。また、秋葉原に小売センターをもうけて、小売にも対応していく。目標は50~100万ライセンス。パソコンの多い企業を中心に、金融機関やIT、システム関連企業に販売していく」

--2000年問題はパソコンに限った問題ではありませんが、なぜパソコンをターゲットに選んだのですか

「パソコンは、どこにでも普及しています。ネットワークでパソコンがつながっている現状では、1台のパソコンが引き起こす問題の影響する範囲が極めて広いと判断したから」

--CHECK 2000を国内で販売する理由は

「2000年問題に対応していて、簡単に使えるソフトだからCHECK2000を選んだ。CHECK 2000はビジネス面で見ても面白いソフト。半年間で100万ライセンスを販売する可能性がある。我々ベンチャー企業は、銀行や官公庁への売りこみは難しい。しかし、このソフトならそれが可能だと考えた。海外でのCHECK 2000の販売実績を見て、日本でもいけると思った」

国内の2000年問題対応の現状

--銀行や官公庁の2000年対応は間に合うのでしょうか

「銀行は積極的に対応しているので大丈夫だろう。金融機関に特化して見ると、そんなに問題は発生しないと思う。ただし、銀行で使っているパソコン自体に関しては問題が多いだろう。CHECK 2000はそういう所に売りこんでいきたい」

--日本企業の西暦2000年問題への対応の遅れを良く耳にしますが、実際はどうなのでしょうか

「日本の場合は、対応不可能という覚悟を決める段階にきている。被害が出るのはもはや明白。2000年問題には、2000年の1月1日に発生するパソコンの暴走以外の問題もあるので、そこを視野に入れた対応をしていかなければならないだろう」

Excelを搭載するパソコンは要チェック
Excelを搭載するパソコンは要チェック



--対応が遅れている業種は?

「業種での差はほとんど無いが、規模でいうと中小企業が圧倒的に多い。通産省の出した統計数字を参考にしてほしいが、我々が持っている数字は通産省のものとは違う。数字は公開できないが独自調査方法で調べている」

「弊社のパソコンにCHECK 2000を使ってみたところ、対応していたのは40パーセントだった。しかし、この値でも対応率は高いほうだ」

日本はもう手遅れ

--なぜ、そこまで対応が遅れているのでしょうか

「パソコンの2000年問題は特殊で面白い。ユーザーが2000年問題を気にしていないのだ。例えば、ユーザーは“明日交通事故で死にますか?”という質問には“心配ない”と答えるが、“明日会社で誰かが交通事故で死にますか?”という質問には、なんとも答えられない。2000年問題に対する認識はそれに似ている。自分の身近な問題として認識していない。日本は特にそういう傾向が見られる。このまま2000年を迎えると確実に被害が出る」

--国内で2000年問題をターゲットにしたソフトが少ない理由はなぜでしょう

「日本自身の問題。2000年問題は自分たちには関係ないという甘えがある。メーカーも、日本人の意識が低いので販売を踏み切る理由にならない」

--2000年以降はCHECK 2000をどのように販売するつもりですか

「2000年に被害が出るのは避けられないだろう。そこで痛みを知った人々が慌てて購入すると考えている」

--最後に、佐々木さんの日本企業に対する希望は

「2000年問題の被害を少なくしたいと思っている。今の状況は深刻。皆さんが自社のパソコンは大丈夫と思っている。そのまま放っておいて問題が発生した場合、世界中から糾弾されるし、責任を取らされるだろう。そういった自体が発生する前に前向きに取り組んでいただきたい」

【関連記事】【西暦2000年問題】アルファ・オメガソフト、西暦2000年問題対策ソフト『CHECK 2000』日本語版を発表
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/990531/soft02.html

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