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KCOMとコンパック、小額電子商取引システム『MilliCent』を商用化--1枚1円のコンテンツ販売も可能に

1999年05月27日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

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(株)KDDコミュニケーションズ(KCOM)とコンパックコンピュータ(株)は27日、0.1円単位から売買が可能な小額電子商取引システム『MilliCent(ミリセント)』を商用化すると発表した。

MilliCentは、米コンパックコンピュータが開発した、インターネット上のデジタルコンテンツ売買向け小額電子商取引システム。KCOMはこのMilliCentのシステムを利用して、デジタルコンテンツを売買できる電子クーポン『ネットコイン』を6月1日から発行を開始する。このような小額電子商取引は、今まで実験を行なったことはあるが、商用化するのは初めてという。

ユーザーは、インターネット上での財布にあたる専用ソフト『MilliCentウォレット』をパソコンにインストールし、ネットコインをKCOMからクレジットカードで購入する。ネットコインは、1000円単位で3000円まで購入でき、KCOMが運営するオンラインショッピングモール“ミリセント島”で、デジタルコンテンツを簡単に購入することができる。

『MilliCentウォレット』の画面
『MilliCentウォレット』の画面



ミリセント島では、6月1日の時点でデジタル素材集や、音楽データ、シェアウェアソフトなどを販売する15店舗が出店し、年内には150店舗まで増やすとしている。店舗の出店は、企業だけでなく個人でも可能となっている。
KCOMはマージンとして、コンテンツプロバイダーから売上の10パーセントを回収する仕組みをとっており、今年度は1億5000万円の売上を見込んでいる。また、3年後には10億円の売上を予想しているという。

MilliCentウォレットのソフトは、6月1日から無償のダウンロードサービスが開始される。その後、NetWorld+Interop 99 Tokyoの会場や、インターネット関連雑誌でMilliCentウォレットの入ったCD-ROMが配布される予定。対応OSはWindows 95/98/NT4.0。

発表会では、KCOMの村上代表取締役社長、コンパックの上田副社長、米コンパックのラス・ジョーンズ(Russ Jones)マネージャーの3人のスピーチが行なわれた。

KCOMの村上代表取締役社長
KCOMの村上代表取締役社長



ネット上の売買が個人レベルになる

KCOMの村上代表取締役社長は、「ネット上での物の売買が進んでいるが、5円や10円などの小額の売買を実現するのは難しかった。我が社では、デジタルコンテンツビジネスにおいて、これを実現させる。今回、やっと売買できる準備が整い、MilliCentを発表するに至った。このビジネスの実現によって、今まで難しかった小額の募金など、新しい可能性が広がっていくだろう。今後は、ネット上の売買が、会社レベルではなく個人レベルになっていくだろう」と述べた。

コンパックの上田副社長
コンパックの上田副社長



新しい課金の枠組みをつくる

コンパックの上田副社長は、「ネット上では、安価な画像1枚1枚を売ることが難しく、著作権を侵害している場合も多くかった。これが、1枚1円で買えるようになれば、著作権を侵害してまで違法コピーをする人はいなくなるだろう。MP3のデータも、1曲ごとに安価で買えるようになれば、著作権の問題は少なくなるはずである。このような新しい課金の枠組みを作るのがMilliCentであり、著作権を守る枠組みとして意義がある。この小額電子商取引システムは、商用化としては世界初になる」と述べた。

米コンパックのラス・ジョーンズ(Russ Jones)マネージャー
米コンパックのラス・ジョーンズ(Russ Jones)マネージャー



コンパックの思想を実現

米コンパックのラス・ジョーンズ(Russ Jones)マネージャーは、「今回、“MilliCentをインターネットビジネスで大きな市場にする”というコンパックの思想を実現することができた。この実現によって、世界で初めてリアルマネーでの小額電子商取引ビジネスが始まる。コンパックの役割は、KCOMに技術を伝え、さまざまなアプリケーションをKDDと一緒に開発していくことである」と述べた。

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