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発売直前、New PowerBook G3の魅力に迫る!

1999年05月26日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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5月末発売を直前に控え、アップルコンピュータ(株)は、『New PowerBook G3』のプレス向け製品説明会を開いた。ASCII 24でも林信行氏、神田敏晶氏のWWDC(World Wide Developers Conference)リポートをはじめ、数度にわたってNew PowerBook G3について報告しているが、ここでは説明会において明らかになった点などを紹介する。千葉英寿氏が報告する。

「こだわりのデザインが生み出す洗練されたスタイル」(千葉評)

New PowerBook G3は、これまでのPowerBook G3のスタイルを踏襲したデザインとなっているが、これまでの報告では見えてこなかった、こまかなデザイン変更があった。

デザイン上の工夫が盛り込まれている
デザイン上の工夫が盛り込まれている



まず、もっとも目に付くのは、キーボードとトラックパッド、ボタンに使われているカラーだ。渋いブロンズ系のカラーが用いられており、スタイリッシュなデザインにアクセントを与えている。

新旧のマックユーザーに受け入れられることを目指す 新旧のマックユーザーに受け入れられることを目指す



同社のプロダクトマーケティング・パワーブック担当課長の福島哲氏によれば、「このアクセントカラーは社内では、“Java(ジャバ)”と呼ばれています」とのことだ。New PowerBook G3は、さしずめ“G3 Java”といったところか?

キーボードなどが渋いブロンズ系の“Java”カラーとなっている
キーボードなどが渋いブロンズ系の“Java”カラーとなっている



また、蓋部分に配された白地のアップルマークは、新しいPowerBookのデザインには欠かせないトレードマークとなっているが、今回のNew PowerBook G3ではこの部分が暗闇で光るようになっているという。デザインとしても優れているが、闇夜でPowerBookを探すときに便利だと言えるだろう。

“軽さ”にもさまざまな秘密が!?

New PowerBook G3には、さらに軽くスリムにするためのさまざまな秘密が隠されている。

New PowerBook G3は、重量2.68kgと、オールインワンモデルとしては軽い部類に入る。ただし、これはCD-ROMまたはDVD-ROMドライブとバッテリー1個を装着した場合の数字だ。最大10時間駆動が可能になるというバッテリーを2個を装着した場合は、バッテリー1個が450gなので、全体で3kgを超える計算になる。通常持ち歩く場合は、この重さを想定しておいた方が無難だろう。

軽量化については、素材をチョイスする上で、さまざまなアイデアが用いられている。従来機の素材にはグラスファイバーを混合していたが、今回はグラスファイバーを使用せず、それに近い素材を使用している。また、外側にあるラバーコーティングは従来、アルミの上に施されていたが、今回はアルミは使用していない。微細な部分に着目することで、さらなる軽量化を図ったというわけだ。

「エンターテイメントとしても、ワークステーションとしても優れたマシン」(千葉評)

今回、400MHzのモデルは、DVD-ROMドライブを装備し、ハードウェアMPEG2デコーダをオンボードで搭載している。映画館などはもちろんのことホームシアターには欠かせない技術といえる米ドルビー研究所の“DOLBY DIGITAL(AC-3)デコード”と“DOLBYプロロジックサラウンド再生”を可能としている。DVDソフトのダイナミックなサウンドが楽しめる。また、これまでと同様に、Sビデオ出力ポートを標準装備しているので、ワイドテレビやプロジェクターに接続して気軽にホームシアターを楽しむことも夢ではない。

さらにバッテリー駆動時間が長くなったNew PowerBook G3ならば、DVD再生でもその威力を発揮する。通常使用よりはDVD-ROMドライブの電力消費量が大きいため、バッテリ1個あたり3時間の再生となるが、これならば短めの映画2本分持つ。もう1個持ち歩いて、入れ替えて使えば、6時間再生で4本見ることができる。

New PowerBook G3は、映画三昧が可能な、エンターテイメントマシンとしては、この上ないスペックを備えていると記者(千葉)は判断する。

外部出力については、いままで同様、VGAコネクタを装備しており、外部ディスプレイを接続したデュアルディスプレイやミラーリングも可能だ。さらに驚くべきことに、本体を閉じた状態で外部ディスプレイを表示することが可能になった。

つまりこういうことである。本体の電源をいったん落とし、外部ディスプレイを接続する。さらにUSBキーボードを接続してそのキーボードを使って起動すれば、本体の液晶ディスプレイには表示しないまま、外部ディスプレイにのみに表示されるというわけだ。

PowerBookを閉じたまま使用できるので、大きなディスプレイで作業をしたいが、いかんせんPowerBook本体が邪魔になる、というちょっとぜいたくな悩みをクリアしてしまうのだ。

同社製の『Studio Display 17inch』ならば、その下にNew PowerBook G3を置いて作業することができる同社製の『Studio Display 17inch』ならば、その下にNew PowerBook G3を置いて作業することができる



PCカードスロット1基は問題なし?

PCカードスロットについては、賛否両論ありそうだ。これまでの同社製品にはPCカードスロットが2基装備されていた。しかし、New PowerBook G3では、1基のみとなり、Type IまたはType IIのPCカードを1枚装着する仕様に変更された。1基にすることで軽量化を図ったわけだが、その代わりType IIIが使用できなくなったり、PowerBookの特徴でもあったPCカードのオートイジェクトがなくなったりしている。

不便を感じるかもしれないが、通信環境においては問題はなさそうだ。10/100Base-T Ethernetや56Kbps内蔵モデムのポートを標準装備しているので、通常の通信環境にはまったく問題ない。また、モバイル環境においても、USBを使った携帯電話インターフェースという便利なものが出てきているので問題なかろう。

さらに赤外線インターフェイス(IrDA)ポートを備えているので、NTTの赤外線ポート付きISDN公衆電話(俗称:赤目グレ電)を使ったアクセスが可能だ。前出の福島課長によれば「NTTによれば、(赤目グレ電は)今年中に8万台が導入される予定」とのことだ。また、赤外線対応したNTTドコモのノキア社製携帯電話『NM207』との組み合わせでもアクセス可能である。赤外線インタフェースを使ったデモでは、うまくアクセスは始めたものの、会場が48Fというビルの高層部に位置することが災いし、残念ながら接続には失敗した。

なお、ノキア社製携帯電話『NM207』は現在、東北などの一部地域でしか販売されていない。また、赤外線インターフェイスを使用するためのCCLは、追って公開される予定だ。

FireWire(IEEE1394)の対応も、PCカードスロットを使用することになる。すでに米国Newer Technology社とラトックシステム(7月上旬予定)から、CardBus対応のFireWireインターフェースが発売される予定だ。なお、サポート環境を整える上で必要な“FireWire 2.1”は、6月公開の予定だ。また、製品説明会におけるFireWireのデモでは、ソニー製DVカメラから映像を取り込み、PowerBook上で『Final Cut Pro(未公開)』を使用してDVカムをコントロールしてみせた。

PowerBookデザインにあった周辺機器も欲しい!

さまざまな改良点が見られるNew PowerBook G3だが、既存のPowerBook G3ユーザーはどう見ているのだろうか?

デザイン事務所エイアールの代表取締役で、積極的にPowerBookを活用していることで知られるアートディレクターの菊池美範氏に伺った。

「ディスプレイを閉めたままマシンを駆動できるのはいいですね。旧PowerBook G3ユーザーにとっては一番羨ましい点です。デザイナーやDTP関係のユーザーには、MOドライブやスキャナは必要度が高いので、SCSIポートを残してくれたのもありがたいですね」とグラフィックユーザーとしての視点で語る。

さらに筐体(きょうたい)デザインについて「ボディーデザインを従来のラインでとどめたのは、旧PowerBook G3の完成度がそれだけ高かった証拠でしょう。ただ、現在のアップルの製品ラインアップがデスクトップモデルのデザインを基準にしているので、純正のディスプレイやキーボード、マウスとはうまくマッチしないように感じます。フォルムは同じでもいいから、PowerBook G3のボディーカラーにあわせたものを用意して欲しいですね」とデザイナーらしいこだわりのコメントを寄せてくれた。

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