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【KNN特約】米スリーコム、ワイヤレス機能を搭載した"Palm VII"をニューヨークで599ドルで販売開始!

1999年05月25日 00時00分更新

文● KandaNewsNetowork 神田敏晶

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24日16時(米国時間)、米スリーコム社(米サンタクララ市カリフォルニア)は、ニューヨーク、ロックフェラープラザにてワイヤレス機能を搭載した『Palm VII(パーム セブン)』の販売開始を発表した。

今回の『Palm VII』の特徴は、『Palm』にワイヤレス機能が搭載されたことだ。これにより、電子メールのやりとりはもちろん、コンテンツプロバイダーからインターネットを経由した情報をポケットに納めることが可能となりそうだ。

価格は599ドル(約7万2000円)。コンテンツのマンスリーチャージは、250スクリーン50KBで9.99ドル(約1200円)、750スクリーン150KBで24.99ドル(約3000円)という月額固定ベースでの課金となる。発売地域は今回はニューヨークエリア限定。ワイヤレスの電波網はアメリカの地域電話会社米ベルサウス社と提携し、米国都市圏での利用を可能にしている。本体サイズは幅128×奥行き82×高さ19mm、重さが190g。

24日(現地時間)、ニューヨークで599ドルで発売となった『Palm VII』
24日(現地時間)、ニューヨークで599ドルで発売となった『Palm VII』



実際のLook&Feelであるが、アンテナが搭載されていても重さもあまり気にならない。実際収納してしまうとどこにアンテナがあるのかわからなくなるぐらいだ。稼動もアンテナをポップアップするだけでスイッチがオンになる仕組みは便利だ。

スタート画面にあるクエリーアプリケーションは、まるでハンドヘルドな電子ブックスタンドといえる。“E*Trade”などに株価を照会すると、ほんの10秒でデータをゲットすることができた。スリーコムの株価などもリアルタイムに確認できる。“ABC”のニュースをタップすれば、5秒ほどで最新のインデックスが届く。そこで、さらに選択して本文を読むことができる。まさにポケットの中にデータのラジオがあるようだ。

さらにドライブしながら“MapQuest”で目的地を検索できたり、バンクオブアメリカでは、ホームバンキングが可能になっている。まさにポケットの中に入る“インターネットのデータラジオ”がやってきたといってもいいだろう。ニューヨーク限定の発売ではあるが、シリコンバレーでも十分サービスは利用できる。

“iMessenger”というPalm.netで提供するメールサービスで電子メールの送受信もできるので、住所録と連動した電子メール管理も可能だ。スケジュール&住所録&電子メールの総合環境は新たなタイムマネージメントツールになりえそうな予感を感じた。ただ、“iMessenger”用のIDなので、従来の電子メールを利用するならば転送サービスなどの利用が必要だろう。

サンタクララ市のスリーコム本社でパームコンピューティング、プロダクトマーケティングシニアディレクターのバイロン・カーネル氏に『Palm VII』についてインタビューを試みた。

プロダクトマーケティングシニアディレクター バイロン・カーネル氏
プロダクトマーケティングシニアディレクター バイロン・カーネル氏



--今回の『Palm VII』の特徴は?

「やはり、何といってもワイヤレスだということです。いつでもどこにいても、『Palm』の本来の威力を発揮しながらも、最新のリアルタイムな情報にアクセスすることができるのが今回の『Palm VII』の最大の特徴でしょう。そして、今回“Palm.net(パーム・ドット・ネット)”という独自のインターネットサービスを開始したことにより、2つの大きなサービスが利用できるようになりました。1つが“Web Clipping”です」

「“Web Clipping”はインターネットを経由したコンテンツ・サービスですが、ウェブラウズとは異なり、『Palm VII』用にカスタマイズしたコアなインターネットコンテンツを提供します。すでに23ものセキュリティが強化されたクエリー・アプリケーションが用意されています。コンテンツパートナーは代表的なところだけでも、“ABC”、“E*TRADE”、“ESPN.com”、“Fodor's”、“Frommer's”、“Yahoo!”、“Travelocity”、“UPS”、“USA TODAY”、“USWEST”、“Visa ATM”、“WSJ.com”、“Weather Channel”など。さまざまなニーズに対応できると思います」

「また、スリーコムのデータセンターでは“Web Clipping Proxy Server”が、クエリーの結果を圧縮、暗号化されたパケットに変換しているのでホームバンキングなどにも安心して活用いただけると思います。さらにオリジナルのクエリーフォームを開発するデベロッパーツールがありますので、企業間のトランザクションにも利用できエレクトリックコマースのインフラとしても活用いただけると思います」

「そしてもう1つが2ウェイメッセージングサービスの“iMessanger”です。これは『Palm』版の電子メールですね。『Palm』のハンドライティングで、そのままメールの送受信を可能にしました。実際にワイヤレスでいつでも時間課金を気にせずにメールを確認できるのです」

--今後の『Palm』の目指すものは? ほかのPIM(ハンドヘルドコンピューターなど)との違いは何でしょうか。

「『Palm』が目指すスタイルは、コンピューターライクなものではなく、シンプルでクリーンでインテュイティブ(直感的)なものを目指しています。そして最大の違いは、データに対して、いかにアプローチするのかという視点だと思います。私たちは日常的に、文書作成、保存、転記作業にいたるまで、さまざまな判断がともなう作業をいつも同時に多岐に行なっています。それをどれだけ、省力化して適格な判断ができるツールになれるかを常に求めています」

「今回、著名なブランドのコンテンツパートナーとのアクセスサービスを『Palm』に取り入れることができました。人々がどのようにデータを扱いたいのか? の疑問に答えることが私たちの使命だと考えています」

--日本での『Palm VII』の発売はありえますか?

「はい。私たちは、最初からインターナショナルを非常に意識しています。すでに日本では日本アイ・ビー・エム社が強力な日本語でのローカライズではパートナーとして力を発揮していただいています。日本は、またモバイルコンピューティングにとっても非常に大きな市場だと認識しています。私たちの技術を最大限に活用できるよう努力していきたいと思います。その前にまずは、アメリカでのフルカバーが当面の目標となります」

サンタクララ市にあるスリーコム本社
サンタクララ市にあるスリーコム本社



今回の『Palm VII』の登場によりPIMと情報サービスの融合、さらにはセキュリティーが強化されたインターネット端末という局面を見て、コンシューマー、そしてEC分野にも新たなジャンルが生まれたような印象を受けた。24時間、いつでもどこでもポケットの中にニュースが届き、しかもフラットレートというシステム。日本では電波法などの制約などが多岐にあるが、国際競走力アップとEC分野のキャッチアップのためにもワイヤレス・データ市場のさらなる展開を希望したいものだ。

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