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製品化をにらんだユニークなロボットたちが展示~“ヒューマンロボットフェア99”が名古屋で開催

1999年05月07日 00時00分更新

文● 浅野純一

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5月1日から3日にかけて、名古屋国際会議場で“ヒューマンロボットフェア99”が開催された。これは“国際AIコンベンション99名古屋”として開催されたイベントの1つ(別レポートで紹介したロボカップ・ジャパンオープン99も同コンベンションのイベント)。さまざまな企業や研究機関の“人に身近なロボット”に関する展示が行なわれた。

バンダイの『サッカーロボット』は赤外線制御も可

最も注目を浴びていたのは、玩具メーカーのバンダイが展示した2つのロボット。『サッカーロボット』は、現在規格制定中のロボカップ Jr.に準拠したもの。Jr.規格とは、より手軽にロボカップに参加できるよう配慮したもので、リモコンなど人が介在する操作も考慮しているのが特徴。

このサッカーロボットは130×96mmというコンパクトなサイズで、リモコン信号を赤外線で飛ばす仕組み。前後左右にスピーディーに移動するほか、可動アームを装備しており、ボールのホールドとリリース、つまりドリブルとシュートができるのが特徴。アーム部分を曲線で構成したり、ほかのロボットに絡まないようボディワークを工夫するなど、開発プロトタイプながら実戦向きの設計になっている。

バンダイが参考出品したリモコン式サッカーロボット。赤外線を使って信号を送る。先端のアームでボールを挟んでドリブル・シュートが可能
バンダイが参考出品したリモコン式サッカーロボット。赤外線を使って信号を送る。先端のアームでボールを挟んでドリブル・シュートが可能



サッカーロボット用のリモコン装置とフィールド。将来のロボカップ Jr.のプラットフォームのひとつになる可能性もある
サッカーロボット用のリモコン装置とフィールド。将来のロボカップ Jr.のプラットフォームのひとつになる可能性もある



昆虫型の『BEETROID』

もうひとつの『BEETROID』は6本足の昆虫型のロボット。左右2つのモーターの回転運動を折り曲げた足に伝えることで、ユニークな6本足の移動を実現している。赤外線センサーと光センサーを装備しており、それぞれのセンサーに対するロボットの動作を関連付けてプログラミングすることができる。例えばアームに何かのオブジェクトが触れたときは右回転を続けるとか、仲間を見つけたときは近づく、などといった定義が可能だ。

プログラミングにはパソコンを使用、簡単な操作でロボットにプログラムをダウンロードできる。ロボット自体は非常にコンパクトで、足を含む大きさは90×130mm、高さ50mmというもの。動きのユニークさだけでなく、単純ながらも自立的にインテリジェントな動きもできるとあって、ブースにはたくさんの人が集まっていた。特に子供が目を輝かせて見つめていたのが印象的だった。

いずれのロボットも同社のテクニカルデザインセンターで将来のおもちゃのための基礎研究の1つとして開発されているものだ。

同じくバンダイのBEETROID。クランク状の6本の足を回転させて移動する。目の部分にセンサーが仕込んである
同じくバンダイのBEETROID。クランク状の6本の足を回転させて移動する。目の部分にセンサーが仕込んである



BEETROIDの本体。これにさまざまなボディワークをかぶせれば面白いおもちゃになりそうだが……
BEETROIDの本体。これにさまざまなボディワークをかぶせれば面白いおもちゃになりそうだが……



ブロックを組み合わせてプログラミングする『ROBOCUBE』

(株)システムワットが展示した『ROBOCUBE』はインテリジェントブロック・トイと呼ばれる製品。各種センサーやモーター、CPU、バッテリーなどを内蔵したブロックを組み合わせ、パソコンでプログラミングすることでさまざまな機能を持つロボットを作ることができる。昨年からその存在がアナウンスされていたが、ようやく発売になった。基本セットは光センサー、超音波センサー、タッチセンサー、ライト、モーター、ブザー、バッテリー、コントロールなどで構成されており、主に教育機関や企業研修用に多くの引き合いがあるという。プログラミングは同社独自の対話式のタイル言語のほか、VisualBasicやCにも対応している。イメージ的にはLEGOのMINDSTORMSにも通じるものがあるが、日本発のインテリジェント・トイとして注目したい存在だ。

システムワットのROBOCUBE。機能ブロックの組み合わせでロボットを作成する
システムワットのROBOCUBE。機能ブロックの組み合わせでロボットを作成する



モーターブロックに車輪を組み合わせたところ。ロボット表面には各種接点が出ている
モーターブロックに車輪を組み合わせたところ。ロボット表面には各種接点が出ている



メカトロシステムズのプラットフォーム

地元名古屋のメーカー、メカトロシステムズはロボカップ用のプラットフォームを展示した。小型機と中型機用の2種類で、それぞれをベースにしてロボカップに参加するロボットを製作することができる。

小型機用はレギュレーションにそったキューブ型のロボットで、無線による移動機能を持つもの。これに視覚システムを加えたり、サーバー側でのコントロールシステムを加えれば、小型機部門にそのまま参加できる。実際に、小型機部門にエントリーした名古屋工学院専門学校がこれを採用していた。

中型機用プラットフォームは2つの駆動輪に前後2輪の車輪を持つタイプで、これも阪大チームが実際に採用しているもの。いずれも価格的にはやや高いものの、こうしたプラットフォームの発売で参加者の負担の軽減が期待されるところだ。

アコウル社の全方位視覚センサー。右上のデバイスで全方位視覚の確保が可能。ロボカップへの売り込みを狙う
アコウル社の全方位視覚センサー。右上のデバイスで全方位視覚の確保が可能。ロボカップへの売り込みを狙う



会場では専門誌・ロボコンマガジンを出版するオーム社がLEGO MINDSTORMSを予約販売していた会場では専門誌・ロボコンマガジンを出版するオーム社がLEGO MINDSTORMSを予約販売していた



このほか、ロボット用の視覚処理システムや360度方位を瞬時に撮影できる360度カメラ、早稲田大学のコミニュケーションロボット『WOMOEBA-2』やホンダのヒューマノイドロボット『P3』、ココロの恐竜ロボットなどが展示された。

昨年まで活躍していた阪大のサッカーロボットも展示された
昨年まで活躍していた阪大のサッカーロボットも展示された



テレビ愛知は昨年パリで開催されたロボカップ世界大会の模様を収めたDVDを発売していた
テレビ愛知は昨年パリで開催されたロボカップ世界大会の模様を収めたDVDを発売していた

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