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日本ガートナー、“Dataquest Predicts '99”を開催

1999年04月23日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

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日本ガートナーグループ(株)は、“Dataquest Predicts '99”を20日から2日間、品川プリンスホテルにおいて開催した。このカンファレンスは、半導体関連企業や金融機関などを対象にして行なわれたもので、情報システムを中心としたIT産業の分析を行なうものである。

2日間で、2つの基調講演と16のセッションが行なわれた。ここでは1つの基調講演と2つのセッションを取り上げる。

IT産業こそが国の発展の原動力

米ガートナーグループのマーク・ホッジス(Mark Hodges)副社長は“世界IT産業動向と投資、2000年を迎えて”をテーマに基調講演を行なった。

IT産業は4つのステップを踏んでおり、IT産業こそが、国の発展の原動力となっているとしている。第1段階は'60年代から始まったメインフレーム/ミッドレンジコンピューターによる自動化の時代。第2段階は'70年代に始まったクライアント/サーバーコンピューターによる生産性向上の時代。第3段階は、'80年代から始まったインターネット/ネットワークでつながれたコンピューターによる価値の創造の時代。第4段階はこれからはじまる遍在コンピューターによるビジネスモデルの再編成の時代としている。遍在コンピューターとは、いたるところに埋め込まれ、場所にとらわれず一様な環境がどこでも手に入るコンピューターのこととしている。この段階を経て、ITは複雑になり影響力は大きくなってきているが、4段階ではユーザーにとって、システム環境を気にする必要のない簡単な時代になると予測した。

IT市場については「2003年のIT市場は、ソフトウェアとサービスが60パーセントを占め、ハードウェアが40パーセントしか占めないようになる。1995年から2002年までのIT市場全体のCAGR(年次平均伸長率)は11.6パーセントであるが、インフラに関するソフトのCAGRは20.7パーセントと高くなり、ソフト分野が確実に伸びていくだろう。PCのハードは無料に近づいていくため、必然的にソフト分野に傾いていかなければならない。内容が多岐にわたるIT産業では、アウトソーシングを増やし、他企業との提携で仮想的な組織としていく必要がある。今後IT業界は、パートナーづくりが重要となってくるだろう」と語った。

米ガートナーグループのマーク・ホッジス氏
米ガートナーグループのマーク・ホッジス氏



2005年にサービス会社は各国3社に


米ガートナーグループのブレット・アズマ(Brett Azuma)副社長は“世界テレコミュニケーション/ネットワーキング市場展望”をテーマーに基調講演を行なった。

テレコミュニケーション市場について、「これから2001年までに規制緩和や価格競争が起こり、新規参入企業が増え、800社ものテレコミュニケーションサービス会社が乱立する。その後、反動で合併・統合が繰り返され、2005年には各国3社程度しか残らないだろう。この時に残る条件は価格ではなく、サービスの内容と、サービスの保証となる」と語った。

企業の方向性について、「テレコミュニケーション市場は2003年には2兆円となる。ただし、テクノロジーの競争は減り、ハードウェアでの市場はもう伸びていかない。今後は、サービスが伸びていくため、より高いレベルのサービスによって差別化が必要となる。そのためにはターゲットを絞らなければならない。大きな企業になるためには、完全なソリューション提供ができなければならないだろう」と述べた。

米ガートナーグループのマーク・ホッジス氏
米ガートナーグループのマーク・ホッジス氏



標準化したPCが必要

米ガートナーグループのマーティン・レイノルズ(Martin Reynolds)副社長は“パソコン技術動向”をテーマに基調講演を行なった。

PCの出荷台数は'97年から2002年までに20パーセントの伸びを示すが、低価格化は進み、収益は1ケタの伸びしか示さないとしている。米国では、個人向けPCの成長が止まってきており、法人向けPCは使える人口と同じ台数がすでに出荷されていると述べた。これは、PCが行き渡ったことを表わしており、新規での購入はほどんどないとしている。今後の出荷を伸ばすためには、買い替えを促す必要があり、そのためには、簡単に買い替えやすいPCを出す必要があるとのこと。今後は、システムイメージが統一された、標準化したPCを出す必要があると述べた。

PCのアーキテクチャーに関しては、シリアルバス、CPU、LCDについて動向を予測し、それぞれについて「シリアルバスに関しては、2003年に240Mbpsの性能を出すUSB2.0が一般化し、IEEE1394はビデオの用途に特化して50パーセントの普及率まで達成する。CPUに関しては、2003年までにインテルのIA-32がデスクトップに普及し、IA-64はサーバー・ワークステーションで普及するだろう。LCDに関しては、デスクトップ用のものが2003年に出荷が2000万台を超え、加速していくだろう」と述べた。

最後に、LCDの解像度を上げる新しい技術が紹介された。これは、あるピクセルに対して、隣接したRGBの各ドットを利用して表示を行なうものである。例えば、ピクセルの配列は横にRGBRGBRGBと並んでおり、通常白色はRGBの組み合わせしか取らないが、実際にはRGB、GBR、BRGの3種類を選ぶことができる。ソフトウェアがこの技術に対応すれば、水平解像度を高めることが可能になるとしている。

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