米シカゴにて19日(現地時間)から開催されているCOMDEX Spring/Windows
Worldの会場において、次世代の携帯型オーディオプレーヤーである『SolidAudio』(仮称)の試作機が展示された。SolidAudioが一般に公開されるのは、これが初めてとなる。
SolidAudioの試作機。手の大きさと比べるとコンパクトさが理解できる。中央のスライドボタンはスマートメディアを取り出すためのもの |
SolidAudioは、(株)神戸製鋼所と日本電信電話(株)(NTT)が共同で開発を進めている新型のネットワークオーディオ機器。'98年の7月には、試作機の完成が発表されていた。データの圧縮にはNTTが開発した音声圧縮技術の“TwinVQ”を利用し、MP3を上回る圧縮率(18分の1)を実現しているという。
COMDEXの会場で展示されたのは、まだ世界に3台しかないという試作機のうちの1台。大きさは幅54×奥行き8.4×高さ85.4mmで、ちょうどクレジットカードサイズとなる。重さは45g(バッテリーを含む)で、先週12日に発表されたクリエイティブ・ラボ社の『NOMAD』が165gなのに比べ、はるかに軽いことになる。
メディアにはスマートメディアを採用。ただし、試作機では現行のスマートメディアを使用できるが、製品版ではID機能を備えたIDスマートメディア(仮称)のみに対応する予定だ。IDスマートメディアは今年中の発売が予定されている新型のスマートメディアで、1枚ずつに固有のIDが埋め込まれているというもの。
下に見えているのは専用の充電器。スマートメディアにデータを転送するには、スマートメディアリーダーが別途必要となる |
TwinVQを用いて音楽データを圧縮する際に、IDスマートメディアの持つID情報がデータに埋め込まれる。そのため、データをほかのメディアにコピーして利用しようとしても、データ内のIDとメディアのIDが一致しないため、再生できなくなるという仕組みだ。これは、やはりNTTと神戸製鋼所が共同開発を進めているデジタルコンテンツ流通方式の“InfoBind”(インフォバインド=仮称)を応用したもの。
本体には液晶ディスプレーが備えられ、曲名などを表示できる。バッテリーは専用の超薄型充電池を採用し、小型化と軽量化を図っているという。TwinVQファイルのデコードは、内蔵のDSPチップによって行なわれる。
正式名称や価格、出荷時期など詳細については現時点では未定。連休明けにも正式な発表が行なわれる見込みだ。