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日本ガートナー、“TCO & ROIT Conference99 -生き残りを賭けたIT投資のために-”を開催

1999年04月19日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

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日本ガートナーグループ(株)が主催する、カンファレンス“TCO & ROIT Conference99 -生き残りを賭けたIT投資のために-”が、13日から2日間ロイヤルパークホテル(東京都・中央区)にて開催された。“TCO(Total Cost of Ownership)”は管理コストを含めたPCにかかる経費の総計を意味し、"ROIT(Return on IT)"は、ITの効果を意味する。

13日は、米ガートナーグループ社のビル・カーウィン(Bill Kirwin)副社長が“ビジネスの視点”と題する基調講演を行なった。

熱く語るビル・カーウィン副社長
熱く語るビル・カーウィン副社長



カーウィン副社長は、ユーザーのトレーニングやLANの活用など、さまざまな方法によってTCO削減が可能であるとし、1人につき52パーセント削減できた実例を挙げた。最後に「企業は、詳細なコストを把握し、個々に責任の所在を明らかにすべき。サービス・顧客の満足度を大切にしながら、先手を打ってマネジメントを行なうべきだろう」とまとめた。スピーチ後は、トラブルのコストは(?)といったコストに関する細かい質問が相次いだ。

続いて、ドナルド・ファインバーグ(Donald Feinberg)副社長は、“今、何ができるのか?”をテーマに講演を行なった。「TCOを正確に出す公式は存在しない。TCOは、評価する側の視点によって大きく変わってしまうものであるため、コストの評価基準を明確にし、適切な管理が必要である。そのためにはあらゆるコストを調査し、正しい経営陣の評価が必要である。社員一人ひとりの意識改革をはじめ、社風そのものを変える必要があるかもしれない」と述べた。

派手なネクタイが印象的な、ドナルド・ファインバーグ副社長
派手なネクタイが印象的な、ドナルド・ファインバーグ副社長



13日の午後からは4つのセッションが行なわれた。ここでは日本ガートナーの栗原潔ディレクターと針生アナリストの講演を取り上げる。

ネットワーク・コンピューティングの意義は、コストの削減ではない

栗原潔ディレクターは、“ネットワーク・コンピューティングとTCO最適化”というテーマで講演を行なった。まず、ガートナーにおけるネットワーク・コンピューティングは、インターネット技術を活用した新世代のクライアント・サーバー・コンピューティング形態であるという定義を行なった。これは、1:キャッシュ(cache)による動的配付、2:プラットフォームの独立性、3:実行プラットフォームの自動的決定、4:状態データのネットワーク側保管、の4項目を満たすものとしている。現在、この定義を完全に満たした製品は無いが、2001年までには、完全に満たした製品が一般的に使用可能としている。また、その製品を導入することによって、新規ビジネスの機会増大やビジネススピード向上などのメリットを受けることができるとしている。企業ユーザーは、各ベンダーのビジョンと実行能力を考えたうえで、ネットワーク・コンピューティングを導入し、長期的なメリットを考えるべきだとしている。

TCOについては「ネットワーク・コンピューティングによるTCO削減は、理論的には可能である。ただ、導入コストを考えると、企業ユーザーのIT投資は増大してしまうはずである。ネットワーク・コンピューティングの意義は、コストの削減ではなく、メリットの増大にある」と述べた。

考えない企業はTCOを3分の1にする機会を逸する

針生アナリストは、“デスクトップTCO戦略”というテーマで講演を行なった。デスクトップに対する考えが、従来の部門単位から企業全体の単位へと変わってきており、TCOへの影響力も大きなものになるとしている。ベンダーも、TCO削減のためにサポート管理等に取り組んできているが、効果がはっきり出るのはまだ先とのこと。TCO改善を行なった実例では、“システムの管理”や“エンドユーザー運用コスト”の部分を効果の出しやすい部分としている。

最後に、「デスクトップに対して、TCOを意識した管理方針を決める必要がある。ベンダーやプラットフォームの選択に価格や性能以外の要素を考えない企業は、TCOを3分の1に削減する機会を逸することになる。TCOを削減するための取り組みは、特定の効果だけでなく、複数のコスト削減の効果も期待できる」としめくくった。

IT Demonstration会場
IT Demonstration会場



13日の午後から、カンファレンス会場横で、ガートナーグループのスポンサーである米ノーテルネットワークス、(株)日立製作所、プラティナム・テクノロジー(株)、ペレグリンシステムズ(株)、日本キャンドル(株)、日本チボリシステムズ(株)によって、展示会“IT Demonstration Forum”が同時開催された。日立製作所の『JP1 Version』や日本チボリシステムの『IT Director』など、各社がTCOを改善するソフトのデモを行なった。

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