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「我が社の日本でのパートナーを求む!」~ヨーロッパの中小企業がECの対日輸出促進キャンペーンで自社の技術をアピール

1999年04月14日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本進出を目指すヨーロッパの中小企業が、日本での提携先を求めて技術説明を行なう、“EU Gateway to Japan 情報通信技術使節団テクニカルセミナー”が13日、東京・千代田区のキャピトル東急ホテルで開かれた。



このEU Gateway to Japanプログラムは、欧州委員会(EC)の対外経済関係総局日本課が企画したもので、1997年から2000年までの4年間に渡って行なわれるプログラム。対日進出をめざす中小企業を対象に、10の業種別に過去20回ほど開かれており、今回は情報通信関連企業に絞られている。ECの対外経済関係総局日本課、対日輸出促進プログラム担当のKevin Lawless(ケヴィン・ロウレス)事務官によると、このようなプログラムは世界の他の地域向けには行なわれておらず、日本のみで開かれているという。

日本は市場として魅力的で今後も発展が見込めるが、言語や複雑な市場構造、商慣習など、中小企業が自社技術をアピールしようにも難しい点が多い。そのため、価値ある技術と対日進出の意志を持つ企業の後押しとして、ECが費用と機会を設けているということだ。

ヨーロッパ商工会議所連合協会のサービスユニット デピュティ プロジェクト マネージャーのAnke Berning(アンカ・バーニング)氏(右)と、ECのケヴィン・ロウレス事務官(左)
ヨーロッパ商工会議所連合協会のサービスユニット デピュティ プロジェクト マネージャーのAnke Berning(アンカ・バーニング)氏(右)と、ECのケヴィン・ロウレス事務官(左)



 本日技術発表を行なった企業は、フランス、オーストリア、ドイツ、アイルランド、スウェーデン、スペイン、イギリス、ギリシャ、オランダの9カ国23社。発表内容は、リアルタイムOS、CADソフトウェア、デジタルテレビ会議システム、海運船舶用保安・品質管理システムなどのソフトウェア主体のものから、レーザーによる立体スキャナー、スマートカード(ICカード)製造システム、宇宙用超小型カメラなどのハードウェアまで多岐に渡った。なかでも目を引いたものをいくつか紹介する。



オーストリアのChristian Dogl virtual real-estate社は、ウェブページによる不動産情報システム、3Dビューを使用した「NAMEisBOND」と呼ばれる検索エンジンを紹介。検索結果を、最も適していると判断したものを中心として、立体的に表示する。



仏ELAN INFORMATIQUE社は、マルチリンガル対応のテキスト・トウ・スピーチ(TTS:音声合成技術)をアピール。音声合成の研究機関は世界に600あるが、マルチリンガル対応のものは7社で、さまざまな分野に応用可能な形で提供しているのは2社、音声合成専業なのは同社だけだという。同社はエンドユーザーに製品を販売するのではなく、技術をメーカーに向けて販売するテクノロジープロバイダーで、日立がELAN INFORMATIQUEの技術を使ったWindows CE製品を6月に発表することを明らかにした。



年々増大するウィルスの脅威から企業を守るには、すぐれたアンチウィルスソフトウェアだけではダメで、すぐれたサポートサービスが必要という、スペインのPanda Software社。先日の“メリッサ”騒動の際、米ゼネラル・エレクトリック社は、同社に助けを求めたという。同社のサービスは24時間対応で、ウィルス発生時は24時間以内のワクチン提供、特別な契約の場合は12時間以内に、“解毒”プログラムの提供を行なえるという。また、他のアンチウィルスソフトウェアを提供しているメーカーでは、週単位での更新が多いデータファイルのアップデートも、毎日行なっているという。



仏3D PLUS社は、フィルム上のチップを10から16程度スタックさせ、エポキシ樹脂で固めて立方体状にし、その4面から端子を出して、それをいくつかまとめて1つのチップとした3Dメモリーモジュールを製造しているメーカー。現在はDRAMモジュールは1チップあたり640Mbitにもなっているが、さらに2002年には10Gbitに達するという。また同社は火星探査機にも採用された、宇宙環境で使用できる超小型カメラモジュールの製造も行なっている。



仏MENSI社は、レーザーによってスキャンを行ない、ボイラーや発電用タービンといった大きな構造物でも数値化することのできる装置を作っている。いくつかの角度からスキャンしたものをソフトウェアによって自動合成し、パイプなどの構造物に分けてモデリングすることが可能。こうしてモデリングされたデータは、VRMLやDMFなどさまざまなフォーマットで出力することができる。スキャンレンジは0.8から40mで、誤差は0.6mm以内という。

    欧州連合(EU)対日輸出促進キャンペーン「Gateway to Japan」事務局連絡先:TEL..03-5226-2817

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