松下電器産業(株)は本日、“画像分散型マルチレイヤ・ビデオ圧縮技術”を発表した。併せて、同技術のデモンストレーションを東京・大手町の大手町ファーストスクエアにて実施した。これは、携帯端末やインターネットに接続しての利用を目的に開発された動画再生技術。
この技術の特徴は、画像を背景や人物、アニメによるキャラクターなどを複数のレイヤーに分割し、各レイヤーをそのレイヤーの動きや複雑さに応じた複数の圧縮方式で圧縮する点。また、各レイヤーに対して個別に、繰り返しや、1回のみの伝送といった属性を定めることができる。これにより従来のインターネットを利用した動画配信方式に比べると、同じデータ転送速度でも、より滑らかで高画質な動画を配信できるという。
この技術を説明する、広報主任の中村健一氏 |
この技術を使うことで、各レイヤーをユーザーが操作できるようなコンテンツも作成できる。デモでは、ノートパソコンを使用し、マルチレイヤーを利用した天気予報を紹介した。この天気予報は、天気を紹介する人物と、背景となる日本地図、そして、日本地図の任意の点をクリックした際に表示される各地の様子を収めたビデオクリップから構成されている。受信するユーザーが日本地図上にある各地をマウスでクリックすることで、その地域の映像が流れ、画面の人物が各地の天気を紹介する。
天気予報のデモ画面 |
現段階では、レイヤーごとにコンテンツを用意しなければならないため、リアルタイムの画像送信はできない。将来、多重レイヤーでのリアルタイム撮影が可能なビデオカメラが開発されれば、街の様子などのコンテンツをリアルタイムに配信できるようになるという。
今回開発したこの技術は、動画の国際標準規格であるMPEG-4に採用される予定という。採用後は、動画のコーデックをLSI化した、ハードウェアによる信号処理も考えているという。次世代の携帯電話などで、この技術を利用した天気予報など動画コンテンツを利用できるようになる日も来るかもしれない。
なお、5月18日から4日間にわたって開催される“ビジネスシヨウ'99”の同社の展示ブース内で、この技術を利用したインターネットによる動画配信のデモンストレーションが行なわれる予定。興味があれば足を運んでみるのも良いだろう。