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【WinHEC 99レポート Vol.3】米マイクロソフト、デジタルイメージングとホームネットワーキングの戦略概要を発表

1999年04月09日 00時00分更新

文● ライター 本田雅一

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 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されているWinHECの2日目、米マイクロソフト社Windows部門ジェネラルマネージャのCarl Stork(カール・ストーク)氏は、デジタルイメージングとコンシューマーネットワークの2つを、今後Windowsがフォーカスしていく技術として掲げた。

 Stork氏は、家庭におけるPCの新しい使い方としてのデジタルイメージングの重要性を語るとともに、「PCがデジタルイメージング処理を行なうために非常に有用なツールである」という。ただし、一方ではいくつかの問題が顕在化していることも認めた。

 Stork氏のいう問題とは、データ互換性、カラーマッチング、目的の画像までたどり着く過程のユーザーインターフェース、カタログ機能やサーチ機能、インターネットへの画像発行とインターネットを経由した画像の共有だ。これらの機能は、それぞれ何らかの手段で利用できるが、相互運用性や統一感に欠け、エンドユーザーが簡単に扱えるとは言いがたい。

 そこでマイクロソフトは、今後登場するコンシューマー向けWindowsに、Windows Media Service(WMS)と呼ばれる一連の機能を実装するつもりだという。

 WMS内のサービスのひとつであるWindows Image Acquisition(WIA)は、仕様に則ったデバイスオブジェクトをIHV(Independent Hardware Vendor)が作成すれば、Windows共通のマネージャーがアプリケーションとのインターフェースを取ってくれる。また、ドライバーは内部でイメージ処理を行なう際に、マイクロソフトがWIA内で提供するライブラリーを利用することもできる。アプリケーションとのインターフェースはCOMで提供され、WIAデバイスマネージャーの標準インターフェース以外にも、デバイスオブジェクトが独自の機能をCOMとして実装することも可能となっている。

 WIAはネットワーク共有型スキャナーやフィルムスキャナー、デジタルカメラ、複数機能統合型デバイス(スキャナープリンターなど)、ビデオストリーミングデバイスをサポート。Still Image Arcitechtureを発展させたものといえるだろう。

 もうひとつの機能、Digital Content Managementは、Windows標準のエクスプローラにイメージ検索やサムネイル表示も可能な画像ビューアを付加したもの。画像ビューアに限っては、昨年に配布されたWindows NT 5.0ベータ2(現在のWindows 2000)にも含まれていたが、これらの機能がどの時点で、どのOSに実装されるかはコメントがなかった。

 もうひとつのテーマであるホームネットワーキングの主役は、マイクロソフトが提唱するTCP/IPベースのネットワーク接続プロトコルUniversal Plug and Play(UPnP)だ。Stork氏は現在の複雑なネットワークを指し「パワフルだが複雑でさまざまなインフラが入り混じっている。各デバイスが等価に接続できる環境が必要」という。

 日本ではあまりホームネットワークの製品を見かけることはないが、米国では徐々にではあるが電源ラインや電話線(米国の平均的な家庭には1部屋1個のモジュラージャックがある)のネットワークが導入されつつある。電源ラインと電話線に加え、デジタルテレビがIEEE1394をサポートするようになると、さまざまな規格のネットワークが入り乱れることになる。UPnPでは、これらネットワークをすべて等価に見立て、あらゆるデバイスがTCP/IPで通信するための機能を提供する。もちろん、TCP/IPベースのためインターネットとの接続も容易だ。

 デモではUPnPの応用範囲として、電子フォトフレーム(液晶画面などに絵を映す額)とデジタルカメラやビデオ、テレビなどの連携や、PCと各種デバイスの通信、デジタルテレビからプリンターなどへの出力、およびTCP/IPでUPnP対応デバイスをコントロールする万能型リモコンなどが紹介された。たとえば万能型リモコンは、UPnP機器と通信してそのデバイスタイプや機能を確認し、そのデバイスに合わせたリモコンのユーザーインターフェースを液晶に表示。UPnPのネットワーク経由でコントロールコードを送る、といった具合だ。

 ただ、匿名のあるベンダーは「家電ネットワークのミドルウェアとしてUPnPが優秀であることは間違いない。しかし、現在のミドルウェアはいずれも特定企業の都合が強く反映されている。HAViならソニー、Jiniならサン、そしてUPnPならマイクロソフトだ」とコメントし「特定のミドルウェアに依存する実装はできない」として、しばらくの間は静観したいという。

 エンドユーザー側から見れば、UPnPのような規格はなくては困るものだけに、何らかのスタンダードは絶対に必要になる。PC側からのアプローチであるUPnPが、果たしてどの程度、広範なベンダーに支持を受けるのか。われわれもしばらくは静観する必要がありそうだ。

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