このページの本文へ

「私たちのインターネットライフ」~インターネットで活躍する女性たち----元・OLたちのインターネット座談会より

1999年04月09日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 “元・OLたちのインターネット座談会”は今回で2回目。昨年10月に開催された第1回の反響が大きかったことを受け、開催されたものである。スピーカーは、会場となった“デジタルハリウッドOSAKA”を卒業し、ウェブ業界で活躍している女性3人。前職と現職との違いについて、また業界の将来性について参加者の質疑応答を交えて考えていく。

上田氏(左)は“ウェブプロデューサー短期コース(3ヵ月)”、山内(中央)、佐久間両氏は“Macマルチメディア総合Proコース(6ヵ月)”を卒業した
上田氏(左)は“ウェブプロデューサー短期コース(3ヵ月)”、山内(中央)、佐久間両氏は“Macマルチメディア総合Proコース(6ヵ月)”を卒業した



 この日、会場に集まった約40名のうち、半分以上が女性。同校の在校生はもちろん、すでにウェブ制作に携わっている人も、仕事のヒントを見つけようと駆けつけていた。

 まず、スピーカーたちが制作したホームページを使い、それぞれの前職と現在の仕事について説明した。

会場にはパソコンやスクリーン、音響設備が準備されている。ホームページを使った自己紹介は、ウェブクリエイターならでは
会場にはパソコンやスクリーン、音響設備が準備されている。ホームページを使った自己紹介は、ウェブクリエイターならでは



前歴を無駄なく生かして活躍

 元・美容師見習いという山内氏は、パソコンに関する予備知識がゼロの状態で入学した。そのため、サウンドの編集やJavaScriptのマスターにかなり手こずったとか。現在は、派遣社員として(株)毎日放送のウェブ制作に携わっており、この春の“センバツ高校野球”のインターネット中継を担当。「オペレーション中心の作業だったが、ソフト、ハード両面が充実した環境で仕事ができた。ウェブのエンターテイメント性を実感できたことは、すごくいい経験だった」と現在の仕事の充実ぶりを感じさせた。

・山内氏の卒業制作作品
 http://home7.higphway.ne.jp/~cool-it
・センバツ高校野球
 http://mbs.co.jp/senbatsu/

参加者は女性が優勢。現役クリエイターの生の声が聞けるとあって、みな真剣な表情
参加者は女性が優勢。現役クリエイターの生の声が聞けるとあって、みな真剣な表情



 次に、ホームページ制作やインターネットのコンサルティングを手がける(株)パイナップルカンパニーの佐久間氏にマイクが渡った。和装デザイナーという前歴をいかした作品のテーマは“化学繊維”。長いテキストの間にGIFアニメを配し、読みやすく仕上げている。しかし、プロとなった自分からみると「利用者にとって使いやすいページ構成ではない」と反省しきり。今は、メンテナンスの仕事が中心だが、「サイト構築に携われるように、しっかり勉強しておきたい」と抱負を語った。

佐久間氏は、大阪弁でハキハキと質問に答えてくれた佐久間氏は、大阪弁でハキハキと質問に答えてくれた



・佐久間氏の卒業制作作品
 http://www1.plala.or.jp/leo/

勤務時間“増”、収入“減”という現実も

 最後は、松下電器産業(株)が運営するインターネットカフェ“RingRing”の上田氏。リクルートに11年、その後DTP(デスクトップパブリッシング)による入稿管理の仕事を経て現職に。OL時代のディレクションの経験は、ウェブ制作の上でも役立っているという。

同じウェブ制作に携わっていても、ディレクター的なポジションの上田氏(右)と、デザインが主体の山内氏とでは、目標が違う同じウェブ制作に携わっていても、ディレクター的なポジションの上田氏(右)と、デザインが主体の山内氏とでは、目標が違う



 RingRingでは、カフェの仕事に加えて、ホームページ制作もこなさねばならず、派遣ながら残業になることもしばしば。「家族の理解と協力が必要」という言葉は、既婚者である山内氏ならではのアドバイスだろう。

「ウェブの仕事に学歴は関係ない」という山内氏の言葉に、励まされた人もいただろう「ウェブの仕事に学歴は関係ない」という山内氏の言葉に、励まされた人もいただろう



 勤務時間の話をきっかけに、テーマは収入面へ。全員の「収入は減った」との言葉に、顔を曇らせる参加者もいたが、上田氏は「ホームページ制作に定価はない。自分で付加価値を付けられれば、収入アップは可能」と述べた。さらに、佐久間氏から「プロに囲まれて、知識を与えてもらっているという気持ちが強いから、収入は気にならない。残業になるのは、自分の実力が足らないから。でも、遅くなってでも、いいものを作りたいやないですか」と前向きな発言があり、場内は明るいムードに転じた。

・上田氏の卒業制作作品
 http://www1.plala.or.jp/leo/

元OLがひかれた“の可能性”

 後半は、スピーカーの推薦サイトをもとに、インターネットの将来性について話を進めた。山内氏は、プラグインなしでも動画が楽しめるエンターテイメント性の高いものを評価。佐久間氏は、インターネットのルーツを知ることが、ウェブ制作には不可欠という意味で“W3C”を挙げた。また、インターネットの国際性を考えれば、最低限の語学力は身に付けておくべきと指摘した。自らが担当するショッピングサイトを紹介した上田氏は、“人の見える店”の魅力や、ウェブ直販の機能について触れた。機能面で宅配検索システムとのリンクなどにより、従来のカタログ通販と差別化できる点を強調した。

・山内氏の推薦サイト“ザ・カクテルバークラブ”
 http://cb.suntory.co.jp/
・佐久間氏の推薦サイト“W3C”
 http://www.w3.org/
・上田氏の推薦サイト“Hi-Hoショッピングアベニュー”
 http://shop.hi-ho.ne.jp/

参加者からの質問に耳を傾けるスピーカーたち。数年間の努力の末、彼女たちは質問される側に座ることができたのだ
参加者からの質問に耳を傾けるスピーカーたち。数年間の努力の末、彼女たちは質問される側に座ることができたのだ



 参加者からの「DTPとウェブデザインの違い、プロとアマの違いは?」という質問に対し、上田氏が、ビジュアル重視のDTPに比べてウェブは“データの軽さ”や“操作性”などを意識せねばならないと説明。「自分のイメージ通りに作るというよりも、クライアントの要望をきちんと具現化するのがプロの仕事」とコメントした。

実践こそが成功の早道

 今後の抱負については、「大阪オリンピックの実況中継」(上田氏)、「例えばひとつの映画作品をテーマにして、紙媒体とウェブの二方向から斬っていければ面白いと思う」(山内氏)、「サーバー構築の知識や技術を身に付け、総合的なプロデュースができるように」(佐久間氏)と、三者三様。しかし、仕事をしていく上で一番大切なものは「スクールや職場で得た相談相手」という点では意見が一致した。最後に山内氏が「考えていることと、実際に仕事でやってみることとは、ずいぶん違っていた」と述べると、他の二人も大きくうなずき、業界で力を付けるためには「まず実践ありき」であることを強く印象づけた。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン