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【WinHEC 99レポート Vol.1】米マイクロソフト、Windowsファミリーの新ロードマップを発表、2000年に投入するWindows 98後継OSにはNTカーネルを使用しないと公言

1999年04月09日 00時00分更新

文● ライター 本田雅一

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 4月8日から米カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されている米マイクロソフト社のハードウェア開発者向けカンファレンス“Windows Hardware Engineering Conference and Exhibition(WinHEC)”において、マイクロソフト社長のスティーブ・バルマー氏は、Windowsファミリがこれまでよりもさらに広いユーザー層に受け入れられるプラットフォームとなることをアピールしようとした。

 まもなくリリースされる予定のWindows 2000ベータ3や、今回電源管理機能の強化やクラスタリングサポートの追加が発表されたEmbeded NT、将来のWindows CE端末、Universal Plug and Playなどにより、広範囲のユーザーに対して容易に同一のサービスを提供できる。

 しかしそうした中でも、コンシューマ向けOSに関しては、噂されていた2000年に登場するWindows 98の後継OSにNTカーネルが使われないことが、公式に認められる場となった。同社は以前、Windows NTのカーネルをWindows 9xの後継OSに採用するロードマップを提示していた。Windows 2000にWindows 9xでしかサポートされいなかった、DirectXや電源管理、プラグ&プレイ機能などが実装されているのも、WDMでドライバを共通化したのも、NTベースのコンシューマ向けOSに向けての準備だった。

 バルマー氏の新しいロードマップによると、Internet Explorer 5.0などが含まれるWindows 98 Second Editionを今年リリースしたあと、2000年にももう一回のアップデートを予定しているという。2000年登場の新OSの名称は決まっていないが、業界内の噂ではWindows 2000 Personal Editionなどの名前が挙がっているものだ。この2000年登場の次期Windows 98は「Windows 98をベースに信頼性や簡潔な操作を実現したもの」になる。

 新OSはUniversal Plug and Playをサポートし、より多くの機器との相互接続性を増すものとなり、レガシーデバイスフリーでブートアップも高速なものになるようだ。また、MS-DOSを隠蔽する必要性にも触れられており、ブートアップ時にMS-DOSではなく最初からWindowsが立ち上がるように改良されるかもしれない。電源管理もより強化され、おそらくはACPI 2.0対応の電源管理システムが採用されるものと思われる。

 また、信頼性向上のための機能も組み込まれる。PC Healthと呼ばれる新機能は、Windowsのシステムファイル構成などを自動チェックし、修復を簡単に行うための機能だ。デモではシステムファイルが不正となり、動作が極めて不安定になったマシンを再インストールすることなく復帰させていた。この他、ゲームごとに細かく3Dグラフィックやジョイスティックの設定を変更しなければならないPCゲームを、Windows Game Managerという機能により簡潔に行えるようにするという。

 過去のことをほじくるつもりはないが、昨年前半、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は「信頼性の向上」を操作のシンプル化とともにPC普及のカギとして掲げていた。ゲイツ氏はおそらくWindows 2000とそれをベースにしたコンシューマ向けOSのことを指していたと思うのだが、今回の戦略変更によりコンシューマOSには、NTカーネルよりも信頼性が低いWindows 9xのカーネルが引き続き採用されることになってしまった。

 マイクロソフトにとって苦渋の選択だったかもしれないが、それ以上に業界とエンドユーザーの期待を裏切る結果にならないか。まだ登場していないOSへの評価を確定することはできないが、今回の発表がコンシューマ向け市場の閉塞感につながらないことを祈りたい。

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