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「“Java Card”はカードではなくソフトウェア」--日本サンが説明会を開催

1999年04月06日 00時00分更新

文● 報道局 原武士

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 日本サン・マイクロシステムズ(株)は本日、東京・永田町にて“Java Card”の記者説明会を開催した。これはJava Cardを物理的なカードと間違って認識している人が多いという理由から開催したもの。

 説明役は、米サン・マイクロシステムズ社、Consumer & Embedded事業部長のパトライス・ペイレット(Patrice Peyret)氏。同氏はJava Cardの概要について説明した。

「Java CardはICカード用のJava技術。Javaの命令群の中からICカードで利用するのに必要なものだけをピックアップしたもので、APIで提供される。このJava Cardはフリーなので、ユーザーはウェブから自由にダウンロードして利用できる。作成したソースコードは通常のJava用コンパイラーでコンパイルできる。完成したオブジェクト(Card Byte codes)は、インタプリター型でカード内に存在する仮想マシン(VM)上で動作する」

Patrice Peyret氏
Patrice Peyret氏



「現在、Java Cardのライセンスは、日本の(株)東芝、(株)日立製作所、日本電気(株)を含め、全世界で30社が所有している。

 Java Card搭載のICカードは、VISAの電子マネーや、ネットワークでのユーザー認証などに利用されている。3月末の時点では全世界で100万枚以上出荷されてた。今年の年末には400~500万枚の搭載ICカードが出荷されるだろう。Java Cardが急速にカードベンダーで採用されているのは、Java Cardの持つセキュリティーが一般的に認知されてきたからだろう。

 Javaは開発当初からセキュリティーについて考慮した上で設計されている。Visual BasicやCとはそういう点で根本的に異なる。先日のウイルス騒ぎのようなことがあってはならないのだ。Javaが金融機関で採用される理由は、そういったセキュリティーをはじめから考慮して作られた言語だから。

 また、Javaの特色はオープン性。ライバル会社は隠すことでセキュリティーを守ろうとしているが、それは間違っている。オープンにすることでセキュリティーの修正ができ安全性を高めることができる」

 同氏は、Java Cardの今後について、以下のようにコメントした。

「Java Cardは移動体電話におけるスタンダードになっていくだろう。また、Java CardとJiniの統合や、リレーショナルデーターベースの管理をICカード上で行なうといった実験も手がけている。9月にはこれらの実験が完了するだろう」

 米国海軍は軍人向けにJava Cardを採用したICカードを発行する予定という。カードには軍人個人の体質や、健康状態、食品アレルギー、医療データといった個人的なデータが管理されるという。

今回は説明だけ

 今回の記者説明会では、新しい技術の説明はなかった。今回の説明会の目的はJava Cardの認知度を高めることだったようだ。

 現状において、利用されているICカード8bitプロセッサーでは、VMのサイズは8KB、RAMが512Bである。この容量の少なさについてPeyret氏は「Javaを実行するのに高価なデバイスはいらない」とコメントした。

 司会進行役の有田氏は「Java Cardはソフトウェア。ICカード自体と間違って認識している人があまりにも多い。今回を機にしっかりと理解していただきたい」と締めくくった。

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