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7つの知を燃料に大阪南港から7つの海へ--“ソフト産業プラザiMedio オープニング記念フォーラム”から

1999年04月05日 00時00分更新

文● 服部貴美子

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前半の議論では、日本は“人的インフラ”の整備が必要であるという点で、田坂、伊藤両氏の見解が一致した。企業が“イントレプレナー(社内起業家)”のスピンアウトを許す姿勢を持つべきと語った。また、地域や共同施設において、失敗の経験や事業運営の“呼吸”を伝承していく必要があると提言する。終盤、参加者からの質問を受け付けた。参加者の多彩ぶりを示すかのように、その内容は実にさまざま。日本経済新聞のマルチメディア部門を経て、京都リサーチパークの創業に立ち合ったという築地氏の、見事なナビゲーションが印象的だった。「マルチメディアという広大な事業の中で何をテーマにすべきか?」との問いかけに対し、伊藤氏は注目分野として、“ゲーム”、“カーナビ”、“モバイル”、“XML”を挙げた。ただし、既存のものを追うのではなく、新しい発想で取り組む精神が大切だと付け加えた。さらに、「他者を信用して自分の知恵を語るべし」(田坂氏)、「リスクをとるのは当然」(伊藤氏)など、起業家への注文も続出。セキュリティーや法律など、これからの検討課題を掲げる形での閉会となった。

関西復権の掛かったiMedio

“iMedio”は“Incubator for Multimedia Industry Osaka”の頭文字であると当時に、Image(映像)とStudio(スタジオ)とを組合せたイメージからつけられた名称である。

大阪市では、共同研究開発支援から創業・情報化支援機能まで備えたマルチメディア産業の総合的な振興拠点であるソフト産業プラザを整備してきた。その一環として、'98年10月に共同研究開発支援施設MADO(マド)を稼働した。これに続く、創造・情報化支援施設が“iMedio(イメディオ)”である。

この施設は、創業間もないベンチャー企業、中小企業のコスト負担を軽減し、仕事のためのよりよい環境を提供するために生まれた。1700平方メートルの敷地内に、6Mbpsの専用線(ファイヤーフォールの選択可能)付きブースと、映像や音声が編集できる各種制作スタジオ、研修室、シャワールームなどの共同施設を備えている。さらに、著作権をはじめとする法律面でのノウハウの提供やコンサルティングといったビジネスサポートも充実させた。既存産業と新しいマルチメディアベンチャーとのコーディネーションを課題に掲げている。

南港ATCという立地条件を生かした商業施設との連携や、国際的な視野での活動にも期待が寄せられている。

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