本日ここに新入社員の皆さんをお迎えし、東芝、並びに東芝グループを代表して 心から歓迎致します。
本日は東芝にとっても 新しい船出をする記念すべき日であり、今日からいよいよ８つの社内カンパニーと小さな本社からなる、新しい体制が発足します。東芝グループの新たな飛躍と発展をめざす一連の改革・変革は これからが本番といえます。
一方、電機業界を取り巻く環境は、国際的な企業間競争が熾烈を極める中、低迷の続く日本経済、製品価値の下落、不安定な為替相場の影響を受け、非常に厳しい状態が続いています。このため、今期は諸改革・変革を定着させ、業績回復の確かな手応えを 社内外に示すことが重要であり、当社の俊敏な取り組みに対する市場の好意的な評価を確実なものにする必要があります。
そのために私は、次の３点を強調しています。
一つは競争力を持った体制の構築です。現在グローバル市場で躍進しているのは、国際的な競争力を持った専業メーカーが中心です。カンパニー制の狙いは、各々のカンパニーが専業メーカーとして、主体性・自立性を発揮し、世界の専業メーカーに負けない競争力を持つことにあります。８つのカンパニーは過去の成功体験に引きずられることなく、新しいビジネスモデルを構築していきます。これを通して、それぞれの事業領域において、世界の１－２位集団に入ることを目指します。
二つ目は顧客満足型ビジネスの追求です。ハードのみでは競争には限界があり、今後は長年培ってきた強い技術力、モノづくりを基礎にしつつ、製品の保守、サービスだけでなく、もっと広い意味でのサービスについて、新しい事業を創り出していきます。
三つ目は真のグループ経営を志向し、連結経営を徹底することです。関係会社は東芝と価値観を共有し、各々の分野で世界一流を目指して競争力を強化し、グループ全体として世界の優良企業を目指していきます。
加えて、「新しい東芝」の実現のために「経営変革２００１運動」を本日から全社に展開します。これは「お客様の満足」という視点で業務を徹底的に見直し、計数データに基づいた改善を進めることを通して意識を変革し、「新しい文化の創造」へ挑戦する全員参加による運動です。データと統計を駆使して全プロセスを改善するシックスシグマという手法を活用します。２０００年には、全社で約５０００、グループ全体で約７０００のプロジェクトが活動する計画で、現在、社内教育・専任者の配置等を進めています。
さて、皆さんは、本日から東芝社員です。社員として、これから、導入教育プログラムや配属された職場での実務指導などが始まりますが、個人の自己啓発の努力が、非常に大切だと思います。そのために２つのコアスキルと、３つの基本的な心構えをお話しておきます。
コアスキルとは、グローバルプレーヤーとしての基礎的なスキルのことで、これは英語とコンピューターリテラシーです。
この２つのコアスキルは益々重要になるとともに、公用語として日常ビジネスにとってなくてはならないものになっています。これからは、この二つのコアスキルをビジネスの場面で十分活用できるよう、自己啓発に取り組んで さらに磨きをかけて欲しいと思います。
続いて、３つの基本的な心構えについてですが、第一は「グローバルな視野」を持っていただきたいということです。現在、東芝は世界各地に１３６の拠点を持ち、海外で約４万人の仲間が活躍しています。また海外生産高は１兆円に達し、海外売上高比率は約４割となっています。先ほど英語をコアスキルとして取り上げましたが、すべての分野において、また、担当する製品に拘わらず、仕事を進めるうえでは、グローバルな視野、視点が求められます。
第二に「スペシャリティ」を持つことです。まず「スペシャリティ」を磨き、それぞれの分野でエキスパートになっていただきたい。そして、自分の専門分野を中心にして、隣接分野や関連分野も理解できる、高いレベルの豊かな能力を身につけていただきたい。
第三に「チャレンジする」ということです。東芝の良き企業文化は、変化をチャンスとしてとらえ、チャレンジしていくことです。東芝の技術の歴史を見ても、日本で、あるいは世界で最初に開発に成功した製品が多くあります。
これらの成果を生み出すために大きな夢を描き、不断の努力とチャレンジを続けた、先輩及び仲間の皆さんの勇気に 私は価値を感じ、尊敬しています。
皆さんも情熱を持ち続け、何事にも失敗を恐れず、勇気を持って果敢に挑んでいただきたいと思います。失敗を恐れて何もしない人よりも、チャレンジして失敗した人を、私は評価します。困難な課題にチャレンジし、それを乗り越えた経験と自身により自らも成長し、次のチャレンジの糧になるのです。
東芝には、１２４年の歴史と伝統に裏付けられた総合力と、大きなポテンシャルがあります。本日新たに、高いポテンシャルを持った皆さんに私たちのチームに加わってもらいました。この力を結集し、新しい価値を生み出し、東芝の明るい未来を創造するよう皆さんと共に前進していきたいと思います。
(用字用語は原文のまま)
・東芝
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