Macintoshユーザーの集まり、mACademiaの第50回の会合が24日夜、開催された。場所は、大阪・梅田に位置する阪急電鉄本社ビル“エコルテホール”。“スターウォーズepisode1”のエントリームービー(予告編)が流れる中、120ほど用意された座席が早々に埋まっていく。記念すべき第50回会合への関心の高さを示す幕開けとなった。
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エコルテホールセミナー会場の様子 |
今回のタイトルは、“知性持つ玩具の切なき想い…”で、テーマは大きく3つ。メインは、タイトルが示唆するロボット組立キット『MINDSTORMS』。『MINDSTORMS』は、昨年秋の発売以来、入荷即売り切れという圧倒的な人気を博している。その魅力を余すところなく披露した。次に、FileMakerユーザーグループによる活動報告。最後に、4月23日発売予定の『Macromedia Fireworks 2 日本語版』を“どこよりも早く”徹底検証した。
『MINDSTORMS』の魅力はイマジネーションの高さ
中心となる語り手となったのは、Macintoshの第一人者として有名な大阪電気通信大学の魚井宏高工学博士。『MINDSTORMS』の魅力は、そのイマジネーションの高さであると語った。700を越えるパーツがラインナップされ、パソコンでプログラムも組める、その点だという。![]() |
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魚井宏高氏 |
このシリーズは、もともとMIT(マサチューセッツ工科大学)レゴ(LEGO)社との共同研究で始まった。それが、教育用の枠を越えて市販セットへとその存在をアピールしてきた。
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LEGOシリーズ |
『MINDSTORMS』の心臓部は、RCXと呼ばれる8bitのマイコン部分である。これで3つのセンサーを感知し、3つのモーターを制御する。Windowsパソコン上の専用プログラミングソフトを使って、そのプログラムを、ビジュアル化された形で非常に容易に組むことができる。組んだデータを、赤外線ユニットを通してRCXに渡す。
RCXの周辺機器も強力である。まず、タッチ(接触)センサー、ライト(光)センサーといった入力デバイスがある。次に、トルク可変型モーターを中心に各種のギアやプーリーが用意されているので、これらを介し制御する。ディファレンシャルまでラインナップされているという細かさである。
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魚井宏高氏のコレクションで真剣に遊ぶ参加者達 |
用意がよすぎるゆえのデメリットもある。使いこなすにはかなりの機械的知識と造形のセンスが要求されると魚井氏は語る。あまりの自由度の高さが、使う側の認識を超えてしまうようだ。
可動式観覧車のみごとなセンス
語りのあと、会場でプログラミングして、その場で制御するというデモが実施された。途中、デモ機が床に落ちて壊れるというハプニングもあったが、その場で即座に修復し、『MINDSTORMS』の完成度の高さを証明した。デモは多彩で、ライトセンサーを使い、円形のレールをトレースして自走する車などが登場した。会場には自作の『MINDSTORMS』を持ち込んだ女性も登場。その可動式観覧車のみごとなセンスが喝采を浴びる一幕も。![]() |
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自作の作品を持ち込んだ黒田暁子さんと作品の観覧車 |
この『MINDSTORMS』、日本での入手が難しいにもかかわらず、ネットでの情報交換は活発である。大人が“真剣にあそぶ”この知性を持つ玩具が、まだまだ多くの人を魅了していく勢いである。
・Welcome to FishBone(魚井宏高)
http://www.fishbone.tm/
・LEGO MINDSTORMS
http://www.legomindstorms.com/
・MindStorms 情報局
http://www.mi-ra-i.com/JinSato/MindStorms/
・RobotStore
http://www.robotstore.com/
特定のソフトにフォーカスした強力なユーザーグループ
魚井博士の後には、『FileMaker』のユーザーグループである“filemaker.gr.jp”の浜地直美氏が登場。グループの活動内容を紹介した。
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filemaker.gr.jp(FM-kansai)の波多野潤一氏と浜地直美さん |
『FileMaker』は、いわずとしれたファイルメーカー(FileMaker)社のデータベースソフト。ファイルメーカーProの情報交換の場として、小川誠氏が運営している“FMJ-ML”があるが、メールの流通量が多いため、有志が集まって地域ごとに個別にミーティングを行なうようになった。東京では“FM-Tokyo”が、大阪では“FM-Kansai”が結成され、それらが共同で“filemaker.gr.jp”を運営している。
“MACWORLD Expo/Tokyo 99”では、プレスリリースの発行やファイルメーカー社からの協賛を得るなど、結成1年目とは思えないほどの行動力を示して有名になった。
今回の会合では、『FMバトラー』の対戦デモや業務データベースのビデオなどを披露。『FileMaker』の可能性、実用性を十分に印象づけた。浜地氏は「今後もたくさんの方と情報交換をしていきたい」との言葉で締めくくった。
・filemaker.gr.jp
http://www.filemaker.gr.jp/
『Macromedia Fireworks 2 日本語版』いよいよ登場
最後は、『Macromedia Fireworks 2 日本語版』の機能紹介。『同日本語版』は、セミナー当日に正式発表されもので、徹底的な検証を、オープンに実施したのは、おそらくこのmaCAdemiaが日本で最初だろう。講師は“Fireworksの達人”として有名なウェブデザイナーの森川眞行氏。「実にかゆいところに手が届いているソフト」と森川氏は評する。バージョンアップにつきものの派手な変更はないが、現場の作業環境を実によく把握して改良している。
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森川眞行氏と中西博氏 |
“情報の数値入力”、“パスの合成”、“テキストエディターの強化”、“PNGの検索置換”、“ブックマークの読み込み”、“『Dreamweaver』との密な連携”と地道な改善が加えられている。そしてなにより、“スライス書き出しの強化”と“スタイルの採用”とが、実に気配りの行き届いた変更で、役に立つ。
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![]() | 中西博氏 |
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森川氏のサイトでは、すでに『FIREWORKS 2J』の徹底検証がスタートしている。ウェブデザイナーには必見のコンテンツが、目白押しである。
・siliconcafe(森川眞行)
http://www.siliconcafe.com/
・FIREWORKS 2J徹底検証スタート
http://www.siliconcafe.com/fireworks/
・Macromedia Fireworks 2 日本語版
http://www.macromedia.com/software/fireworks/
今回で50回を迎えたmACademiaだが、勢いは衰えることを知らない。これも主宰の中西博氏の人柄のなせるわざであろう。さらなる知識欲求を満たす企画を期待したい。次回はいよいよ、MacOS
X(テン)のセミナーである(予定)。
