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【INTERVIEW】「商品企画型ベンチャーという新しい形があってもいい」--学生起業家、松岡広宣氏

1999年03月26日 00時00分更新

文● 聞き手:野々下裕子、younos@pb3.so-net.ne.jp

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大学院生ながら、ベンチャー企業を経営している若き起業家がいる。兵庫県西宮市にあるメディアポリス(株)の社長、松岡広宣氏だ。同社の主力製品は、『ThinkBook』というソフトウェア。ウェブページなど、ユーザーの目についた情報を蓄積していく、スクラップブックのようなソフトである。メディアポリスは、'97年9月に松岡氏が510万円、兵庫県中小企業振興公社が500万円出資して、設立された。松岡氏に、学生ベンチャーの苦労と楽しみなどについて聞いた。

----松岡さんがベンチャーを始められるきっかけはご自身のホームページででも紹介されていますが、通常のベンチャーと呼ばれる人たちのステップと少し違いますね。普通は自分でソフトや商品を作って売るケースが多いと思うのですが。

「まったくそのとおりです。『ThinkBook』は、僕自身がソフトを開発したのではなく、あくまで企画、提案したものです。そうしたアイデアでもベンチャー支援がしてもらえるのではないかということで応募したところ、製品化できることになり、メディアポリスという会社を立ち上げることもできました」

----松岡さん自身がプログラミングしているのではない、ということによるご苦労はありますか。

「製品化についてはプロのプログラマーの方にお願いしています。しかし、これはすごくお金がかかるやり方で、実際、資本金を食いつぶしながら開発しているようなところもあります(苦笑)。けれどもその一方で、自分で技術を学んだりする分の時間が軽減できますし、プロの方とコラボレーションでよりいいものができあがっていくと感じています。それに営業先でいろいろな方に会って、直接アドバイスをいただくこともある。これからはこういうベンチャーのスタイルがあってもいいんではないかと思っています」

----学生ベンチャーということでメリットがあったり、デメリットがあったりというのはあるのでしょうか。

「ThinkBookの企画を書くにあたっては、いろいろな方からアドバイスをいただきました。また、相手が学生ということもあって、応援してくださる方も少なくないですね。そういえば、大学の先生に相談したこともありました。今回インタビューに使っているこの部屋ですが、細川会計事務所の細川先生という方がスペースを貸してくださっています」

「学生ということで注目されるのはメリットかもしれません」とメディアポリス(株)の社長、松岡広宣氏
「学生ということで注目されるのはメリットかもしれません」とメディアポリス(株)の社長、松岡広宣氏



「細川先生とはベンチャーコンテストの表彰式があった横浜で初めてお会いしたのがきっかけなんですが、他にもベンチャーの方やNPO活動の支援なども、なさっています。ですので、そういった方同士で交流が広がったりしますね。また、学生ベンチャー同士の交流というのもけっこうありますよ」

----社長業と学生の仕事をこなしながら、さらに、交流活動では、大変でしょうね。

「どうも動き回ったり、人と会うことが性に合っているようで、忙しくなるのはわかっているんですが、興味がある勉強会やセミナーにはついつい顔を出したりしています。そこで学生ベンチャーというとやはり注目されますし、けっこうメリットなのかもしれません」

----そうしたフットワークを活かして、現在の松岡さんは営業活動をメインにされているといっていいのでしょうか。

「商品が頭の中にできあがっていたこと、つまり商品がない時から営業活動はずっと行なってきましたのでメインという感じでもないのですが(笑)。最近では、企業や組織とのタイアップのようなことを進めています」

スクラップブック型ソフト『ThinkBook』のよさを生かすタイアップなども考えていく
スクラップブック型ソフト『ThinkBook』のよさを生かすタイアップなども考えていく



「たとえば、KS(関西・シリコンバレー)ベンチャフォーラム(以下KSVF)さんとのタイアップ企画では、ThinkBookの表示ボックスの中にKSVFさんのロゴをバナー風にいれて、そこをクリックするとKSVFさんのホームページへジャンプできるようにしています。それをKSVFさんのロゴ入り製品CD-ROMにして、プロモーションツールとして使っていただいています。また、僕自身の営業ツールとしても活用させていただいてます」

----最後になりましたが、これからの活動や展開について教えていただけますか。

「ThinkBookについてはメールニュースとのタイアップなどを考えています。また、もともとMac派だったということもあり、Mac版の開発を進めていきたいと思っています。それから、ThinkBookそのものがそうなのですが、これからは情報の整理や発信といったことが、仕事の上でますます重要になっていくと思うのです。そこで、メディアポリスとしては、電子出版やそういった方面でも何か仕事ができればと考えています」

「その他にビジネスではありませんが、“シビック・アントレプレナー・国際・ネットワークフォーラム'99/CEIN'99”というイベントの企画、運営にも関わっています。こちらはベンチャーや学生と、それらを支援する企業との出会いの場づくりとして年に1回行っているものです。今回はその3回目で、6月に大阪の関西特許情報センターで開催します。今はその準備もあっておおわらわといった状況です。

CEIN=Civic Entrepreneur's International Network Forum

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