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【CeBIT 99レポート Vol.7】英国富士通が“BeOS”搭載パソコンを欧州で今年6月発売

1999年03月25日 00時00分更新

文● ドイツ在住ジャーナリスト 高松平藏

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 英国の富士通コンピューターヨーロッパ社は、マルチメディア対応のOS『BeOS』をプレインストールしたデスクトップ型パソコンを、6月から欧州で販売する。Windows 98が同時にプレインストールしてあり、OSの使い分けができる。最近、LinuxをはじめとするWindows以外のプラットフォームの動きが目立つが、Be OSもいわばその流れの中にある。

 BeOSをプレインストールして発売するマシンは、Pentium IIIを搭載した『Silverline』シリーズ。CPU1基のものが4000マルク(約25万円)、2基搭載のものが6000~7000マルク(約38~44万円)で販売される予定。同社の生産・欧州消費者担当責任者、ギュンター・マース(Guenther Maass。ドイツ語名を英文表記するときの記法にしたがった)氏によると、「マルチメディア関連の最新技術に関心をもつマニア、専門家にターゲットを絞りこんだ商品」だという。潜在的には1年間で10万台の需要があると見込んでいる。初年度には、1万~2万台の販売を予定している。

富士通コンピューターヨーロッパのギュンター・マース氏
富士通コンピューターヨーロッパのギュンター・マース氏



 同OSを開発したのは米Be社。富士通コンピューターヨーロッパとライセンス契約を結んでいる。マイクロソフトとコンピューターメーカーとの関係と同様の形態だ。マース氏によると、今回の契約は昨年夏ごろ、Beからのラブコールで始まったという。

 BeOSは“メディアOS”というコンセプトに基づいて設計されたもので、3Dアプリケーションや動画処理、オーディオデータの処理に適している。実際、ブースでのデモンストレーションでも快適な動作を見ることができた。オーディオと動画を途切れることなく、いくつも同時に再生したり、画像とテキストでできた100ページにおよぶドキュメントも楽に編集したりできるなど、タフさを感じさせるOSである。

 このような高い処理能力が実現できるのには、マルチCPUに対応していることが大きく貢献している。単独のCPUを前提に作られたWindows 95/98とは異なり、複数のCPUを使った並列処理機能がBeOSには備わっている。デュアルCPU機の機能を十分に引き出せるOSというわけだ。また、マルチブートインストールにも対応。SilverlineにもWindows 98が同時にプレインストールしてあり、OSの使い分けができる。

 富士通コンピューターは、このSilverlineについてマニア向けに絞った販売戦略をとっており、「売上の割合は低い」(同氏)。一般のユーザーにとっては、Windowsがまだまだ圧倒的な存在で、今後BeOSがどういう形で市場に定着するか、現時点では見えにくい。

 しかしながらデジタルコンテンツの複雑化、ハードの高機能化が進む昨今、それに対応したOSも当然必要になってくることも明白だ。「マルチメディアにはBeOSが適しているというサインを出し続けることに意味がある」と、マース氏はSilverlineの存在意義を強調する。日本では、昨年末から日立製作所が、BeOSを搭載したデスクトップパソコンを発売している。

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