米IBM社とシャープ(株)は、“パーベイシブ・コンピューティング”(コンピューターやネットワークを意識せず、日用の電化製品で情報交換が可能な環境)に関する製品・システム開発を共同で推進すると発表した。具体的には、シャープの『ビジネスザウルス』にIBMが開発したソフトを搭載し、『ビジネスザウルス』からノーツサーバーにアクセスできるシステムの共同開発を行なう。
屋外でビジネスザウルスを使用する場合、PHSやPDCでデータを送受信し、モデムとRASを経由してノーツサーバーに接続する。屋内でビジネスザウルスを使用する場合は、ザウルス接続用光インターフェース『IR
クレードル』と、それをLANに接続する『コミュニケーションボックス』を経由してサーバーに接続する。システムを含めた製品化は'99年度第3四半期が予定され、その後世界に向けての販売が開始される予定。
ビジネスザウルスを収めた『IR クレードル』を『コミュニケーションボックス』に繋いでいる |
パーベイシブ・コンピューティング構想を実現するソフトについては、日本IBMが先月26日に発表した“e-ServerSync(仮)”を公開した。これはメーカー各社のPDAを判別し、それに適した形でサーバーからのデータ送信を実現するためのソフト。ザウルスのような小型の携帯端末でもノーツの機能をサポートできる。
米IBMのパーベイシブ・コンピューティング担当ゼネラル・マネージャー マーク・ブレグマン(Mark Bregman)氏(左)、シャープの取締役副社長を務める鷲塚諫氏(右) |
米IBMのパーベイシブ・コンピューティング担当ゼネラル・マネージャーを務めるマーク・ブレグマン(Mark
Bregman)氏は「今後は他社が、パーベイシブ・コンピューティングの枠組みへ参加することが期待される。互いに市場を育成したい」と語った。なお、同構想に基づいた個人向けPDAや、白物家電への対応時期や詳細は未定となっている。
また、同構想に基づきIBMが直接端末を作る可能性についてブレグマン氏は、「すべてのデバイス、コンテンツを製造するつもりはない。IBMは、それらを操作する際のツールを提供する予定だ」と語った。
今後、両社はパーベイシブ・コンピューティング構想に基づく協業が行なわれるが、その他の分野についての関係についてシャープの鷲塚諫取締役副社長は、「全面的にシャープとIBMが結びつくのかというと、それは飛躍である」と、今回の提携が限定的なものであることを示唆した。