プロフェッショナルやハイアマチュアを対象とした、写真/イメージング機材の専門総合展示会“IPPF
1999(国際プロフェッショナルフォト・フェア)”が、11日、サンシャインシティ文化会館(東京・池袋)で開幕した。
銀塩一眼レフのレンズ資産が使えるコダック機
ここ数年、プロフェッショナル向けの写真機材においてもデジタル化が強く意識されており、いわゆるハイエンドデジタルカメラが台頭してきている。今年に入って、コンシューマー向けで200万画素を超える製品が続々と出てきており、画素増大傾向を踏まえた一眼レフデジタルカメラの最新動静に注目が集まった。コダック(株)は、『コダックプロフェッショナルDCSシリーズ』の最新4機種を出品した。同社は、キヤノン(株)、(株)ニコンと組んで一眼レフデジタルカメラの市場を牽引してきた。今回のDCSシリーズの最大のメリットは、アナログの一眼レフカメラユーザーの機材資産をそのまま活かしつつ、デジタル化できること。既存の一眼レフカメラのボディーをベースにすることで、それを可能にした。
出品したのは、『キヤノン EOS-1N』をベースとした600万画素のクラス最高画質の『DCS 560』、同型で200万画素の『DCS 520』、APSカメラの『ニコン PRPNEA 6i』をベースとした150万画素の『DCS 315』。また、人気の高い『ニコン F5』をベースとした200万画素の『DCS 620』を参考出品した。
コダックプロフェッショナルDCSシリーズ。上段より『DCS 560』、『DCS 620』、 |
“IEEE1394”の採用がトレンド
この4機種に共通した特徴は、外部インターフェイスに高速シリアルバスインターフェースの“IEEE1394”(FireWire)を採用していることだろう。“IEEE1394”を、昨年からソニーが『VAIO』シリーズで、今年にはいってアップルコンピュータが『New PowerMacintosh G3』で、それぞれ標準装備してきている。一気に業界標準への道を歩み始めていると筆者(千葉)は判断する。
これまでデータ容量が大きいハイエンドデジタルカメラのインターフェースには、SCSIが使われており、装備スペースを必要としていた。“IEEE1394”の採用は、一眼レフデジタルカメラのよりいっそうの小型化を促進する。
コダックDCSシリーズには、“IEEE1394”が装備されている |
小型化の残された課題は、ストレージデバイスとバッテリーだ。ストレージデバイスでは、ミノルタ(株)の『Dimage
RD3000』のように、IBM製『Microdrive』を採用し、大容量と小型化を両立させる取り組みが進む。『Microdrive』は、“コンパクト・フラッシュ”と同サイズながら340MBの容量を実現している。
ミノルタ『Dimage RD3000』とIBM製『Microdrive』 |
銀塩一眼レフに大きさの近い次期機も
(株)ニコンは、コダックDCSシリーズとは異なり、既存の一眼レフカメラをベースとしない製品の開発も進めている。開発中の『一眼レフデジタルカメラ(製品名未定)』は、詳しい仕様は明らかではないが200万画素超で、今秋の発売を予定しているとのことだ。従来の多くの機種と違って、デジタルならではの付属部分が大きくない。アナログの一眼レフカメラと見間違えるほどのサイズとスタイルに、筆者(千葉)は新しいデジタルカメラの世界を予感した。ニコンが開発中の新型一眼レフデジタルカメラ。厳重にケースにしまわれていた |
また、同社ブースでは、3月25日発売予定の『COOLPIX950』も出品。211万画素でニッコールレンズを搭載した同製品は、従来機の『COOLPIX910』と同様に増灯ターミナルを装備しているが、工夫を加えた。外部スピードライトと内部スピードライトとが同時に発光してしまうというこれまでの欠点をクリアしているという。
デザインやボディー仕上げが一眼レフ製品と共通になり“ニコンらしさ”が増した『COOLPIX950』 |
デジタルビデオカメラでEOSのレンズが使える
キヤノン(株)は、コダックとの共同開発である『EOS D6000』(DCS560と同型)、『EOS
D2000』(DCS520と同型)を出品した。
また、ビデオジャーナリストやハイアマチュア向けの3CCDデジタルビデオカメラ『XL1』を出品した。同製品は、XLマウントを装備しており、同社のEOS用EFレンズを使用することができる。XLマウントの採用により、DV方式ではじめて、レンズ交換を可能にした。
衛星デジタル放送やインターネットの普及でデジタルコンテンツへの要求がこれからますます高まる。XL1はそうした時代にふさわしい製品だ