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BeOSリリース5は、MPEG-2とDVに対応---Be社フランク・ボーズマン氏講演

1999年03月02日 00時00分更新

文● 報道局 伊藤咲子

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 (財)マルチメディアコンテンツ振興協会は2月25日、Be社ビジネスディベロップメント担当副社長フランク・ボーズマン(Frank Boosman)氏を講師にマルチメディアクリエーション研究委員会特別講演を開催した。テーマは、“BeOSとそのアプリケーション オーディオ ビデオ分野における可能性”で、Be社のバックグラウンドから将来の展望まで幅広く語った。ボーズマン氏はBe社に移る前、米Red Storm Entertainment社で製品開発担当副社長を務めていた人物。

右がフランク・ボーズマン氏、左がBe社でソフトウェアエンジニアを務めるロックハイマー弘(Hiroshi Lockheimer)氏
右がフランク・ボーズマン氏、左がBe社でソフトウェアエンジニアを務めるロックハイマー弘(Hiroshi Lockheimer)氏



Be社のバックグラウンドとその歴史

 Be社は'90年、元アップルコンピュータ社のジャン・ルイ・ガセー(Jean-Louis Gassee)氏が創業した。「創業時にガセーが掲げたのは「まったく新しいOSをつくる」ということです。0から作りあげることで、リアルタイム性の高いメディアOSをめざすというのがこのテーマの背景です。その後、彼は7人のチームを5年間部屋に閉じ込め、例えるならパンがトースターから焼けて飛び出すようにOSがポンとできました」と、ボーズマン氏は語る。

 Be社は、当初マルチプロセッサー対応のハードウェアのビジネスも手がけていた。しかし、次第にソフトウェア開発に特化するようになった。この理由に関してボーズマン氏は「時が経つにつれ、パワフルなハードを開発する企業が増えてきたため、我々はOSのビジネスにフォーカスをあてました」と語る。

 また、最近の特記すべき出来事としてボーズマン氏が挙げたのは、'97年に米インテル社よりアプローチを受けパートナーシップを結んだこと、'98年11月のCOMDEXでハードおよびソフト製作に携る21の企業がBeOS対応を発表したことです。「インテルとの提携を受け、BeOSリリース3はインテルアーキテクチャーに対応することとなりました。インテルはBe社に対して戦略的な投資を行なっています。また、'98年11月に日立製作所が大手ベンダーとしては初めて、BeOS搭載モデル「FLORA Prius330J」を発表したこともインパクトのある事件でした」と言う。

Be OS自体について

 続いてボーズマン氏は、BeOSリリース4.0の画面をスクリーンに投影し、マウスでページをめくる『バーチャル・ブック』などの紹介を行なった。

「BeOSはさまざまなメディアを取り扱うために製作されました。我々の考えているBeOSの販売戦略は2つあります。1つはデスクトップマシンに対する戦略で、WindowsがすでにインストールされたマシンにBeOSを入れていただきたいというものです。BeOSは、オーディオなど大量のデータ再生をするときに起動すればいいのです。もう1つはオーサリング環境に対する戦略で、インタラクティブな作品の制作用にBeOSを使用していただきたいというものです」

「パソコンの価格が400ドル(約4万7000円)を切るアメリカでも、世帯の半分がパソコンを導入していません。高価だから買わないというより、複雑すぎてわからないから買わないといった人が大半でしょう。ですから、用途が絞り込まれていて、このように使えますよ、と提示できるような製品を考えています」



BeOSリリース5.0

 続いてボーズマン氏は、BeOSリリース4.1について触れた。「Pentium IIIのハードウェアによるアクセラレーションをサポートしOpen GLを使ったレンダリングが高速になりました」と言う。また、BeOSリリース5に関しては、MPEG-2とDVに対応したいとのこと。

 今後もBeBOX、PowerMacintosh、Intelの3プラットフォームについてサポートを続けて行くのかという来場者からの質問に対しては「市場の95パーセントがIntel搭載マシンですから、Intelプラットフォームにはフォーカスをして行きます。しかし、Macintoshに関しては、PowerPC G3マシンの技術情報の開示を拒絶されました。このような状態が続くのであれば、我々はサポートをする意義があるとは言えないでしょう。BeBOXは今年末までサポートすることは決まっていますが、その後は未定です」とボーズマン氏は回答した。

 ハード/ソフトウェアベンダーとの協力に関しては、「今後の課題としては、大手ソフトウェアベンダーに対してBeOSのサポートを働きかけたいと思っております。また、次のOEMベンダーは、日本のコンピューターメーカーを狙っています。アメリカ国内ですと、ワシントン州レッドモンドにある会社の目が光っているからです」と述べた。

 今年末にはJavaバーチャルマシンも予定しているとか。今年はBe社からビッグな発表が相次ぎそうだ。

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