インテル(株)は、Pentium IIの後継プロセッサとして、浮動小数点SIMD演算命令など新たに70の命令を追加した『Pentium
III』を発表した。450MHz版と500MHz版は量産出荷を開始、550MHz版は1999年第2四半期に出荷開始の予定。1000個ロット時の価格は、450MHz版が5万7630円、500MHz版が8万870円。
Pentium IIIで新たに追加された命令は、「インターネット・ストリーミングSIMD拡張命令」と呼ばれており、そのうちわけは、
(1)従来のMMX命令の拡張
(2)4個の32bit単精度浮動小数点値に対し、同じ演算を一度に行なう浮動小数点SIMD命令
(3)読み込んだデータをプリフェッチや1次キャッシュ、2次キャッシュなどに明示的に置くことができる命令
の3種類。これらの命令は、MPEG-2のエンコード、デコード、音声認識、3Dグラフィックス処理などに効果を発揮するという。
また、Pentium IIIでは、プロセッサの製造ロットなどが記録されているCPUIDを拡張し、新たに「プロセッサ・シリアル・ナンバ」と呼ぶ機能が追加された。プロセッサごとにほぼ一意の番号(非常に頻度の小さい確立で同じ番号が存在する可能性がある)が記録されており、この機能を利用することでインターネットにおけるセキュリティなどを高めることが可能としている。この機能は専用のユーティリティなどにより、ユーザーがオン/オフすることができる。
Pentium IIIの出荷に伴い、パッケージの変更も行なわれた。Pentium
IIIでは、従来のPentium IIが採用していたSECCから、CPUコアが実装されている基板面のパッケージを外したSECC2となる。Pentium
IIに対しても、400MHz版と450MHz版はSECC2への変更を順次行なうとしている。
なお、Pentium IIIは、950万個のトランジスタを0.25μmプロセスで製造される。
発表会で挨拶に立ったインテル(株)の傳田社長 |
東京・港区のホテルオークラで開かれたPentium IIIの発表会は、“ほとばしるインターネット体験へ”と名付けられていた。米インテルの副社長兼プラットフォーム推進本部長マイケル・A・エイマー(Michael
A.Aymar)氏が行なったPentium IIIの概要説明では、3Dを多用したインターネットコンテンツのデモンストレーションが行なわれ、Pentium
IIIはインターネット時代に最適なプロセッサーという位置づけをねらった、インテルの戦略が感じられた。一方、500MHzという同社で最高速の製品にも関わらず、Pentium
IIIとPentium IIの“iCOMP Index 3.0”(インテル製のプロセッサーベンチマーク)の結果をグラフとして1枚提示しただけで、他社のプロセッサーやPentium
IIとのスピードを比較するようなベンチマークデモンストレーションなどは、いっさい行なわれなかった。
米インテル社副社長兼プラットフォーム推進本部長マイケル・A・エイマー(Michael A.Aymar) |
また、インテルはPentium IIIのユーザーに向け、Pentium IIIに対応したインターネットコンテンツやソフトウェアに関する情報を集めたウェブサイト“Intel
WebOutfitter Service”を、まもなく米国で開始し、6月には日本でも提供するという。このサイトでは2カ月ごとにウェブマガジンの発行も予定されていると発表された。