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【SSR'99 レポート Vol.2】次世代の検索エンジンではマイクに向かって?

1999年02月25日 00時00分更新

文● 報道局 原武士

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 早稲田大学理工学部の村岡洋一(むらおかよういち)氏は、“グローバルコンピューティングの実現を目指して”という題目で、現在村岡氏の研究室で研究しているウェブでの次世代検索エンジンを紹介した。



検索ロボットがオーバーワーク

「ウェブコンテンツの増大に伴って、インターネットの検索ロボットでも処理できる量がこなせなくなってきている。新しい検索ロボットの形態として、自分の担当エリアのみを調べる“分散型ロボット”が必要になってきた。4台のロボットを使ってウェブサイトを検索してみた結果単純に4倍の作業効率となった」

「また、今後のウェブではマルチメディア情報発信が増えていく。そうなった場合にどうやって情報収集をするか考える必要が出てくる」

マルチメディアコンテンツをどうやって検索するか

 村岡氏は、研究室で学生が研究している、音楽データを検索する研究を紹介した。

「音階による“旋律情報”と母音による“歌詞情報”による検索。母音は比較的認識しやすい。母音だけでの検索による曲名認識率は80パーセントだった。音階と母音による組みあわせ検索での曲名正解率は90パーセント。しかし、文字認識に比べるとまだ低い。そこで音の高さと音の長さを使う方式に切り替えてみた。その場合は99%の認識率となった」

「これ以外の例として、鳥の鳴きまねによる鳥名検索、花の写真から花名検索、テレビ番組検索などを実験している。将来、文字ベースだけではなく、マルチメディアコンテンツが増えていった場合にどうやって検索するか、次世代のマルチメディアの考えるべき課題になるだろう。VRによってネットワーク情報空間(ウェブ)を検索できる部屋みたいなのができたら面白いかもしれない。このような時代になった場合、多様な形態でのネットワーク資源提供が不可欠になる」

すべてが繋がったときどうなる?

「情報の提供は何からでもできる。テレビ、携帯電話、自動車、冷蔵庫がインターネットにつながる、“なんでも端末”になっていくだろう。すべてのものがインターネットに繋がったら何が起こるだろうというのは、非常に面白いエクササイズである。例えば、端末である車のワイパーの動きを検知して、どこで雨が降っているといった情報を知ることもできる」

ネットワークは面白い

「ネットワークは出会いの場であると思いたい。知的な環境を分散して利用することができるようになる。こういった環境で何ができるか考えたみた。“仮想実験場”、“ネットワークシアター・展示”、“遠隔授業”などに応用できるだろう」

まだまだ金がかかる

 ネットワークで音楽演奏のセッションをする“ジャズセッション”を紹介した。遠く離れた場所のプレーヤーがバーチャルグローブを装備し、仮想空間の中で楽器のセッションプレーをするもの。

「実際に実験してみてわかったが、予想以上に金がかかった。ネットワークコストだけでなく、カメラマンの人件費、照明のセットアップなど、意外に費用がかかるとわかった。しかし学生は非常に楽しんでいるようだった。他にもJava将棋なども作ってみた」

画面にはポリゴンで描かれた演奏者が表示されるという
画面にはポリゴンで描かれた演奏者が表示されるという



 “ネットワークはコミュニケーションの場である”という村岡氏。同氏の研究が世に出てきたとき、ネットワークはもっと面白くて実用的なものになっているだろう。

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