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デジタルカメラの画素数を4倍に---三菱電機が最新技術を公開

1999年02月24日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 三菱電機(株)は、神奈川県鎌倉市にある情報技術総合研究所をマスコミ向けに公開し、同研究所で研究している技術・製品の紹介を行なった。

 同社の谷口一郎社長は、「厳しい経済環境の中で、'98年度の研究開発費は400億円と前年度比で6パーセント減額した。全体の金額は減らしたが、CCV(Computer/Communication/audio-Visual)分野と半導体事業への投資はむしろ増額しており、今後も力をいれていく。また、基礎研究よりも、事業化のめどの立つものから手をつけているので、今日みなさんにお見せする研究成果も、1~2年以内には事業化されるものが多い」と語った。

三菱電機の谷口一郎社長三菱電機の谷口一郎社長



デジタルカメラの画素数を4倍にするシステムLSI『M32R/D』

試作機では、撮影する部分(右)と画像処理を行なう部分(左の黒い箱)が分離しているが、実際にはシステムLSI『M32R/D』をデジタルカメラ本体に搭載できる試作機では、撮影する部分(右)と画像処理を行なう部分(左の黒い箱)が分離しているが、実際にはシステムLSI『M32R/D』をデジタルカメラ本体に搭載できる



 システムLSI『M32R/D』は、“画素ずらしによる高精細画像形成技術”を採用している。同技術により、たとえば140万画素のCCDを搭載したデジタルカメラの場合、画素数を4倍の560万画素相当にまで高めることが可能となる。

普通に撮影した画像と、縦横に2分の1画素ずらした画像を重ね合わせ、高精細画像を形成する普通に撮影した画像と、縦横に2分の1画素ずらした画像を重ね合わせ、高精細画像を形成する



 “画素ずらしによる高精細画像形成技術”は、普通に撮影した画像と、縦横に2分の1画素ずつ斜めにずらして撮影した2つの画像をもとに、高精細の画像を形成する技術。2枚の画像を連続して撮影するため、シャッタースピードは実際の半分、つまり30分の1秒ならば15分の1秒となる。

 試作機ではCCD部分とシステムLSIが分離しているが、実際にはデジタルカメラ本体にシステムLSI『M32R/D』を搭載することになる。同LSIの価格は2~3000円程度になる見通し。デジタルカメラを製造していない三菱電機ではOEM供給先を探している段階で、2000年春には同LSIを搭載したデジタルカメラが発売される見通しという。また、三菱電機がデジタルカメラ市場に参入する可能性については、「いまのところはない」という回答だった。

HDTV対応ホームサーバー

HDTV対応ホームサーバーHDTV対応ホームサーバー



 “HDTV対応ホームサーバー”は、2000年から始まるBSデジタル放送や2001年から始まる地上波デジタル放送の動画像を記録する家庭用サーバー。番組の録画中でも録画済みの部分を見ることができる“時差視聴”の機能や、ニュース番組などを自動的に更新し最新のニュースを常に記録しておく機能が搭載されている。試作機には10GBのHDDが搭載され、HDTVで2時間、SDTVでは8時間の録画ができるという。2000年末までには発売する意向で、「ハードディスクの容量をもっと高めた上で20万円以下の価格にしたい」としている。

3次元都市空間自動生成ツール

ビルの屋上部分の色で、その建物の種類を判別するビルの屋上部分の色で、その建物の種類を判別する



 (株)ゼンリンの電子地図データをもとに、3次元の都市空間を作成するソフト。ゼンリンの“Zmap-TOWN II”には、公共施設・商業施設・住居といった建物の種類と高さのデータが記録されており、それをもとに3次元の都市空間モデルを作成する。電柱や電線を表示させることも可能で、すでに電力会社向けシステムの受注活動を進めている段階という。また、3次元データをVRML形式に書き出すこともでき、インターネットへのデータ提供も可能という。

分散仮想環境を用いた医療情報システム

バーチャルな空間の中で、医者と患者が対話するバーチャルな空間の中で、医者と患者が対話する



 ISDN回線を介して、遠隔地にいる医者と患者とのコミュニケーションを図るシステム。バーチャルな空間の中で1人の医者と複数の患者が対話をするというもので、最大40人まで参加できるという。マイクとCCDカメラを利用して、医者と患者が直接対話することも可能。内科や外科よりも、カウンセリングやメンタルヘルス分野での利用が期待されている。

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