19日～21日に渡って、大田区と(財)大田区産業振興協会主催による“バリアフリーEXPO'99”が、東京・大田区産業プラザ
PIOにおいて開催されている。“バリアフリー入門”をテーマに約60の企業や団体が介護用製品などを出展しているほか、講演会なども行なわれている。ここでは展示されていた製品のうちパソコンに関するものを紹介する。
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リアルタイム通信機能を搭載したメッセージボード『WriTalk
PALM』
(株)アルプス電気のブースでは、メッセージボード『WriTalk PALM』(ライトーク
パーム)が展示。これは、聴覚障害者向けの通信機能付きメッセージボードで、液晶画面に専用ペンを用いてメッセージを書くと、もう1台の『WriTalk
PALM』とリアルタイムに表示でき、お互いやり取りできるもの。通信方法は2～3mの離れての筆談が可能な赤外線通信のほか、電話回線につないでの筆談も可能。また、ISDNにも対応しているほか、PHS、携帯電話での通信もできる。コンパクトフラッシュメモリーを利用することで、FAXで受信した文字を表示させることも可能。価格は12万8000円。製品自体は約5年前から販売されていたが、内部の部品を提供していたアルプス電気が販売を手がけるようになったのは昨年11月から。チェックインやチェックアウトなどホテルのフロントなどでの対応に利用されているという。
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| 本体サイズは幅205×奥行き31×高さ135mm。画面はモノクロ液晶でサイズ幅115×高さ77mm。重さは450g。1回の充電で約60分間連続使用できる |
映画やアニメーションに日本語字幕を表示
飯田電子設計(株)は、聴覚障害者向けに映画などの日本語字幕を配信できるアダプター『見栄多』(みえた)を参考展示。これは、映画やアニメーションなどの字幕を同社のサーバーに電話回線(NTTのビデオテックス通信網)でアクセスして受信し、映像と同期させて表示できる製品。ビデオソフトはレンタルショップなどで利用者自身が借りることになる。2時間程度の長さのもので、文字データの受信にかかる時間は1～2分程度という。文字と映像を合わせる同期技術は同社が開発したもので、音声を追うことで文字を重ね合わせて行く方法を採用している。
4月20日ごろからのサービス開始を予定おり、当初は300～500タイトルのレパートリーを用意したいとしいる。価格は6万～6万5000円になる予定。電話回線があれば、全国どこからでも受信できる。なお、受信したデータは2回までの利用が可能で保存はできない。字幕スーパーの作成は現在、ボランティアによるものが多く、聴覚障害の子供を持つ親の会を中心に手作業で入力されているという。
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| テレビの上のアダプターが『見栄多』。文字は画面の下、あるいは右横に表示される |
携帯端末を用いた訪問看護ステーション支援システム
東芝情報機器(株)は、訪問看護ステーション支援システム『ALWAYS』を出展。これは、訪問看護帳票やデータの管理帳票などの統計を自動的に作成し、業務の流れに合わせた訪問記録などの管理情報をトータル的に管理ができるシステム。システムには“オフィススタンダードモデル”、“オフィスクライアント/サーバモデル”、“訪問記録スタンダードモデル”、“訪問記録クライアント/サーバモデル”の4つの構成が用意されており、“訪問記録”モデルにはPDAの携帯端末を用いた利用も可能。訪問看護を行なっている病院などを中心に昨年の6月の発売以来、約20システムが導入されているという。
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| 『ALWAYS』システムの携帯端末。ソフトは東芝情報機器が開発。ハードウェアはシャープ(株)の『ザウルス』シリーズを採用している。看護記録など手書きでコメントを書き込むことも可能 |
今回のEXPOを見て感じたのは、福祉機器の価格の高さだ。せっかくの技術や製品も必要な人たちに利用されなければ台無しだ。出荷台数の問題で低価格化は難しいかもしれないが、行政の援助などを含めて多くの人に利用されていくことを期待したい。
