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ゲームソフトの頒布権問題を方向付ける文化庁著作権審議会の報告を紹介

1999年02月19日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 (社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、マックス法律事務所の齋藤浩貴弁護士を講師に招いて“頒布権とゲームソフトの中古販売問題”と題する講演会を開催した。この中で、齋藤弁護士は、文化庁の著作権審議会第1小委員会が昨年12月にまとめた“審議のまとめ”を紹介した。



 同報告書は、'96年12月にWIPO(World Intellectual Property Organization:世界知的所有権機関)が定めた知的所有権に関する2つの国際的枠組み(“WIPO著作権条約”と“WIPO実演・レコード条約”)に沿ったかたちで、日本の国内法を整備するための指針としてまとめられたものである。

 この2条約では、あらゆる著作物に頒布権(複製物を公衆に対し譲渡または貸与すること)を認める一方、この頒布権がいつ消えるか(消尽)はそれぞれの国の実状にあわせて決めればよい、とされている。日本の現行法では、映画に関してのみ消尽しない頒布権が認められている。今後、この報告に沿ったかたちで頒布権に関する法律が整備されると、あらゆる著作物に関して頒布権が認められるが、それは“ファースト・セール・ドクトリン”にもとづき、メーカーから卸売り業者に販売された段階で消尽するものとなる(つまり中古品の販売は認められる)。

 ただし、同報告書では、映画については、「消尽の規定を置かず、現行の規定を維持することとするのが適当である」とし、従来通りの頒布権の存在を認めている。また、ゲームソフトについても、「ゲームソフトの映像については、映画の効果に類似した視覚的又は視聴覚的効果を有するものが増加する傾向にあり、これを映画の著作物に該当するとの判断を示した裁判例も存在することから、その解釈に委ねることとし、現時点では、ゲームソフトについて特段の対応をする必要がないものと考える」としている。齋藤弁護士は、「この報告書の考え方に沿って考えると、ゲームソフトにも映画と同様の消尽しない頒布権が認められるので、中古ソフトの販売は認められないと考えるのが妥当」との見解を示した。

 また、同弁護士は、現在大手ゲームメーカーと中古ソフト販売業者との間で争われている裁判について触れ、「カプコンなどゲームメーカー5社がドゥーという中古ソフト業者を訴えた裁判は、原告の最終弁論が終わって、被告側の最後の弁論を待っている段階で、まもなく結審する見通し」であることを明らかにした。

    ACCS問い合わせ先:TEL.03-5976-5175

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