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NEC、'98年度業務予想を下方修正、リストラを発表

1999年02月19日 00時00分更新

文● 報道局 原武士

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左より常務取締役の松本滋夫氏、副社長の佐々木元氏、社長の金子尚志氏、専務取締役の西垣浩司氏
左より常務取締役の松本滋夫氏、副社長の佐々木元氏、社長の金子尚志氏、専務取締役の西垣浩司氏



 日本電気(株)は、平成10年度業務予想修正、および役員の異動について、本日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行なった。

 業績予想の修正について、昨年10月時点での予想では、連結業績の売上高は4兆9000億円、税引前損益は350億円の赤字、当期純損益は350億円の赤字。単独業績の売上高は3兆7500億円、税引前損益は500億円、当期純損益は300億円だったが。今回、連結業績では売上高4兆7000億円、税引前損益は2200億円の赤字、当期純損益は1500億円の赤字。単独業績の売上高は3兆6500億円、税引前損益は30億円、当期純損益は1500億円の赤字と大幅な下方修正となった。

 予想修正の理由としては、国内景気回復の遅れ、アジア・中南米の経済危機による需要低迷、急激な円高の進行などとみている。

 今回の予想修正について、金子尚志社長は以下のようにコメントした。

「NECは、来期以降の業績回復に向けた事業構造改革に既に着手してきたが、改革をいっそう迅速かつ強力にするため、社長を委員長とし、代表取締役を中核メンバーとする“経営革新委員会”を設置し以下の施策の着実な実行を推進することにより、今後の業務改善を図っていく」

1)経営機構改革

 経営の迅速化・効率化・責任体制を明確化するため、分社化を含めた経営機構改革を検討し実行に移していき、今後の成長を実現する経営基盤・体制の骨格をつくる。

2)事業構造改革(事業の集中と選択)

 C&C事業とそれを支えるコア事業(通信・情報・パーソナル、情報家電・デバイス)に焦点を置いた事業遂行を図る。広範囲に拡大した事業領域から、不採算を続けている事業などへの思いきった設備・生産拠点・人材などのリソースシフトを行ない、コア事業への集中を図る。人員については、今後3年間で1万人、第1段として平成11年度末までに4000人のリソースをSI事業、ネットワーク事業、デバイス事業にシフトする。関連会社を含め、グループ内で、重複・類似する事業の整理統合による効率化を図る。

3)費用構造改革(固定費の削減)

 今後3年間で世界連結人員を1万5000人削減(国内連結9000人、海外子会社6000人)する。これにより、平成12年度のNEC本社の大卒採用を550名(平成10年度は600名、平成11年度は700名)にしぼり、一般事務・技能職は採用中止とするほか、関連会社の採用は一部ソフト会社を除き凍結する。平成11年度の設備投資額を、今年度比で20パーセント削減する。研究開発費を今年度比10パーセント削減する。経費を今年度比10パーセント削減するなど。

4)財務構造改革

 施設投資圧縮や流動資産効率化、保有株式の売却、子会社の上場、汎用設備のリース化、売上債権の証券化、保有固定資産の売却・流動化などの財務施策を実施し、今後3年間に連結有利子負債を6000億円削減し、負債/資本比率を1.5以下に圧縮する。

平成13年(2001年)度末における主要経営指標目標値(連結ベース)

 ・売上高 6兆円(年率約9パーセント)
 ・税引前利益 3000億円(売上高利益率約5パーセント)
 ・ROE 15パーセント
 ・自己資本比率 25パーセント
 ・負債/資本比率 1.5

パッカードベルNEC(PBN)社の再編について

 同時に、NECの子会社、米パッカード・ベルNEC社(以下PBN社)への投資額1890億円の評価減(単独決算)の実施も発表した。

金子「PC、サーバー事業は当社の戦略事業領域であり、日米欧の3極を結ぶワールドワイドの戦略展開が不可欠。この観点からNECは米・欧をカバーするPBN社に投資してきたが、PC市場における急速な低価格化の進行により、米国PBN社の事業が著しく悪化した。昨年7月に同社のCEOを交代し、事業リストラを続けてきたが今後は次のような再編を行なっていく」

1)欧州事業の分離・保全と事業展開

 PBN社の欧州子会社であるパッカードベルNECヨーロッパ社は米国と異なり黒字基調で売上成長しているため、同社を米PBN社から分離し、NECが公正市場価格4億5000万ドル(約 540億円)で買収する。

2)米PBN社のリストラ

 米PBN社では、'98年の初頭には6000人いた人員をすでに3000人に半減させている。販売チャネルや、製品ラインを収益性の高い分野に絞り込み業績の改善を図ると同時にヨーロッパPBN社の公正市場価格による売却金で米PBN社の再建計画と事業自立化を推進する。

西垣浩司氏が社長へ

新人事については、西垣浩司氏が専務取締役から社長に、佐々木元(ささきはじめ)氏は副社長から代表取締役会長へ、金子尚志(かねこひさし)氏は社長から取締役相談役へと就任した。

 今回の人事について金子尚志元社長は、「断腸の思いで社長を続けてきたが、今回、新生NECの青写真が完成したこともあり、今まで空席だった代表取締役会長に佐々木元を、社長に西垣浩司を3月26日付けで内定しました。新生NECをよろしくおねがいします」とコメントした。

社長に内定した西垣浩司氏 社長に内定した西垣浩司氏

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