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【MACWORLD Expo/Tokyo '99】スティーブ・ジョブズ氏基調講演(前編)

1999年02月18日 00時00分更新

文● 報道局 鹿毛正之

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 アップルコンピュータのスティーブ・ジョブズ暫定CEOが、日本で開催されるMACWORLDの基調講演に初めて登場した。その講演の模様を、前後編の2回に分けて掲載する。

●5000人収容の会場に1万人が並んだ!

 MACWORLD Expo/Tokyo '99における最大の目玉は、スティーブ・ジョブズ米アップルコンピュータ暫定CEOによる基調講演。MACWORLD Expo/Tokyoでジョブズ氏が講演を行なうのは初めてとあって、5000人を収容するイベントホールの前には、朝早くから1万人近くもの入場希望者が列を成すという盛り上がりぶりを見せていた。

会場前の歩道橋は、入場を待つ参加者で埋め尽くされていた
会場前の歩道橋は、入場を待つ参加者で埋め尽くされていた



 10時45分ごろ、予定より30分ほど遅れて会場がオープンすると、少しでもいい席を確保しようと観客が場内を走り出し、会場内はにわかに興奮と熱気に包まれてきた。

カメラには目もくれずダッシュする入場者たち、彼らの目的は少しでもジョブズ氏に近づくことだ
カメラには目もくれずダッシュする入場者たち、彼らの目的は少しでもジョブズ氏に近づくことだ



 ちょうどそのころ、入場者が鈴なりに並んでいた歩道橋の下にウワサのiMacバスが2台到着。その勇姿を見せるつけるかのように、ド派手なボディーを晴天の太陽にさらしていた。

ボディーサイドから天井までを5色iMacで埋め尽くしたiMacバス、乗ってみたい!
ボディーサイドから天井までを5色iMacで埋め尽くしたiMacバス、乗ってみたい!



 ステージに目を転じると、左側にはiMac(ボンダイブルー)とPower Macintosh G3が1台ずつ置かれ、右側にはApple Studio Display(15インチ液晶)が9台並べられていた。ステージのバックにはボンダイブルーをさらに濃くしたような幕が飾られ、左右に並べられた巨大スクリーンの中央には、白1色にデザインを変えたアップルのロゴマークがまぶしい輝きを放ちながらその存在を主張していた。

Apple Studio Displayが9台並ぶ様は圧巻だ
Apple Studio Displayが9台並ぶ様は圧巻だ



 ステージの外側には、いまやおなじみとなった“Think Differnt”の巨大な垂れ幕が掲げられていた。左側は(単独の)日本人として初めて登場したデザイナーの三宅一生氏、右側にはジョン・レノン&オノ・ヨーコの垂れ幕が飾られ、まさしく日本を意識した人選になっていたのが印象的だった。

会場の暗闇に浮かび上がる三宅一生氏とアップルのロゴマーク
会場の暗闇に浮かび上がる三宅一生氏とアップルのロゴマーク



●ジョブズ氏の露払い役は原田社長とHAL9000

 11時16分、舞台向かって左側からアップルコンピュータ(株)の原田永幸社長が登場。いつもは主役の原田氏も、この日ばかりはジョブズ氏の露払い役ということだろうか。原田氏の挨拶はわずか1分ほど。自己紹介すらないというシンプルなものだった。

原田氏「みなさん、今日はこの歴史的な日にようこそおいでいただきました。アップルはスティーブ・ジョブズによって誕生し、またここで、スティーブ・ジョブズによって新しいコンピューターパラダイムのリーダーシップが取られております。本日はここに彼が初めてMACWORLD Tokyoの基調講演に望むことになりました。それでは、さっそく、スティーブ・ジョブズを紹介いたします。どうぞ、ごゆっくり基調講演をお楽しみください。ありがとうございました」

さすがの原田氏にとっても、これだけの人数を目の当たりにすることは珍しいことだろう さすがの原田氏にとっても、これだけの人数を目の当たりにすることは珍しいことだろう



 続いて、映画『2001年宇宙の旅』に登場するコンピューター『HAL9000』をフィーチャーしたビデオが流れる。内容は、HAL9000が未来において2000年問題を省みるというもの。バグのために莫大な損害が発生したが、マッキントッシュは2000年問題に対処できていたため多くの財産を救った、というセリフに観客は大受け。会場全体が明らかにMacintoshシンパであることを感じさせる雰囲気だった。

 そして、ついにスティーブ・ジョブズ氏が登場! 会場は熱狂の渦に包まれ、多くの観客がイスから立ちあがってカリスマに拍手と歓声を送っていた。ジョブズ氏の服装は白いシャツに黒いカーディガン、ブルージーンズというもの。水の入ったボトルを手にしていたのはいつも通りだが、おなじみの黒づくめではなく、しかも不精ヒゲが生えているというジョブズ氏らしからぬ(?)格好が、また不思議と個性的に感じられた。

 いかにも機嫌のよさそうなジョブズ氏は、彼を知らない人などいるわけがないことを知ってか知らずか、「My name is Steve Jobs.」と自己紹介。歯切れがよく聞きやすい声で、いつも通りによどみのないスピーチをスタートした。

大きな身振り手振りで観客を惹きつけるジョブズ氏。スピーチの上手さは天下一品だ 大きな身振り手振りで観客を惹きつけるジョブズ氏。スピーチの上手さは天下一品だ



●G3 Mac開発に際してのゴールは4つ

 今回の講演では“Four things to talk about”と題し、4つのテーマについて語るというスタイルが取られた。最初のテーマは新型のPower Macintosh G3(以下G3 Mac)。G3 Macを開発するにあたって設定した4つのゴールについて語った。

 その4つのゴールとは、
1)もっともパワフルなMacであること
 (Most Powerful Macintosh)
2)業界最高のグラフィック性能
 (Best Graphic in the Industry)
3)もっとも拡張性に優れること
 (Most Expandable)
4)最高のデザイン
 (Best Design)
というもの。

 1つ目の“もっともパワフルなMacであること”については、G3 Macが商用プロセッサーとしては世界で初めて銅配線技術を採用したPower PC G3を搭載しており、PentiumII搭載機に比べ、ベンチマークテストにおいて高い数字を記録していることをアピール。さらに、G3 Macの速さを証明するため、コンパックの『Deskpro EN』を相手に比較テストを行なった。

 テストの内容は、約30MBのPhotoshop用ファイルを開くというもの。ジョブズ氏の「3、2、1、Go!」という掛け声でテストをしてみれば、やはり結果はG3 Macの圧勝。「Macintosh is done!」という自信に満ちた声に、観客は熱狂の声を上げていた。

 2つ目の“業界最高のグラフィック性能”では、グラフィックボードに『ATI RAGE128』を採用していることを紹介。今度は『Dark Vengeance』という3Dグラフィックを多用したゲームのデモ画面を利用して、やはりコンパックの『Presario5660』と比較テストを行ない、G3 Macが約20パーセント速いということをアピールした。

 3つ目の“もっとも拡張性に優れること”では、G3 Macが最大で1GBのメモリーと100GB超のHDDをサポートすることを紹介。また標準で4基の拡張スロット、USBポート、FireWireポート、100Base-TXを装備していることを紹介した。こちらのデモではFireWireポートを搭載したデジタルビデオカメラをG3 Macに接続し、画像をカンタンに取り込めることをアピール。また、FireWire対応の4GB外付けHDDも紹介し、電源が不要なことや(FireWireポートから供給)、ホットプラグであることを強調した。

 4つ目の“最高のデザイン”では、G3 Macのデザインを“エレガンス”と形容し、アップルのエンジニアが1年間かけて完成させた“マジッククラッチ”を紹介した。これはボタンひとつで筐体の側面が開くというおなじみのシステムだ。

ここで終わりと思いきや、ジョブズ氏は「実は5つ目のゴールとして“Best Value”がある」と語り、G3 Macが21万3000円という戦略的なプライスタグを付けたことを強調した。

 ここで『The Look of Love』と題したビデオを放映。冒頭ではキッシンジャー元米国務長官の「パワーは最高の媚薬である」という言葉を紹介し、G3 Macのパワフルさが持つ魅力を存分にアピールした。

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