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【『共生する/進化するロボット』展】“ロボットを作ろう!”~『LEGO MINDSTORMS』ワークショップ参加者の作品を紹介

1999年02月15日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)が、東京・初台の東京オペラシティで開催中の“『共生する/進化するロボット』展”では6日から13日まで、米レゴ社の『LEGO MINDSTORMS』を使ったワークショップ“ロボットを作る”を開催した。

 NTTヒューマンインターフェース研究所知能ロボット研究部の研究員の方を講師に6つのチームに分かれて、それぞれのテーマごとにロボットの製作を行なった。6日と13日は全員参加、また7日から12日は各自の進行状況に応じてロボットの製作を行なった。熱の入った参加者の中には、平日でも、朝から午後11時まで、連日通い詰めてロボットの製作を行なった方もいたほどだ。13日午後3時からは、完成したロボットの発表が行なわれた。30人近い観客が詰めかけた発表会の中から、ユニークなロボットを紹介する。なお、これらのロボットは、“『共生する/進化するロボット』展”で展示される。

●“テレロボ班”~火星探査ロボットを作ろう

 平岩明氏が講師を努めた“テレロボ班”(チーム名)のテーマは、火星探査ロボットを作ること。レギュレーションは、2枚の太陽電池(模型)とCCDカメラを搭載すること。CCDカメラで撮影した映像は、ISDN回線を経由してテレビ電話に映し出される。

ASCII24佐藤記者が製作した火星探査ロボット。先週の記事でも少し紹介したが、無事完成。触角が何かに触れると後退して方向転換し、前進する ASCII24佐藤記者が製作した火星探査ロボット。先週の記事でも少し紹介したが、無事完成。触角が何かに触れると後退して方向転換し、前進する



医学部3年生の黒木聡三さんの火星探査基地。壮大な構想で望んだものの、プログラムの作成が間に合わずモーターをオンにしたとたん部品がいくつか飛び散ってしまった
医学部3年生の黒木聡三さんの火星探査基地。壮大な構想で望んだものの、プログラムの作成が間に合わずモーターをオンにしたとたん部品がいくつか飛び散ってしまった



唯一の小学生の参加者の田坂誓野君のロボット。Jin Sato氏と共同で製作したミサイル発射ロボットは、部品をなくしてしまったため、ふたたび火星探査ロボットにチャレンジした
唯一の小学生の参加者の田坂誓野君のロボット。Jin Sato氏と共同で製作したミサイル発射ロボットは、部品をなくしてしまったため、ふたたび火星探査ロボットにチャレンジした



完成したロボットを見せる田坂君。「前輪がうまく機能せずに飾りになってしまったのが残念」 完成したロボットを見せる田坂君。「前輪がうまく機能せずに飾りになってしまったのが残念」



●“新宿防衛軍”~自律歩行型ロボットを作る

 武藤伸洋氏が講師の“新宿防衛軍”は、自律歩行型ロボットがテーマ。6日には、『LEGO MINDSTORMS』に慣れるために、武藤氏が製作した四足歩行ロボットをチームのメンバーそれぞれが製作。同じロボットが5台並んで歩くという壮観なシーンも展開された。その後は、各自が自分のコンセプトに基づいてロボットを製作したが、自律歩行というテーマから離れたユニークなロボットもいくつか登場した。

講師の武藤伸洋氏が作った四足歩行ロボット。「二足歩行をめざしたが、結局四足歩行になってしまった」という。専用のカートを漕いで乗ることもできる
講師の武藤伸洋氏が作った四足歩行ロボット。「二足歩行をめざしたが、結局四足歩行になってしまった」という。専用のカートを漕いで乗ることもできる



工学部学生の森永真弓さんが作ったスキーをするロボット。武藤先生のロボットをベースに作成された。一度目は無事坂を降りたが、二度目は転落して骨折してしまった
工学部学生の森永真弓さんが作ったスキーをするロボット。武藤先生のロボットをベースに作成された。一度目は無事坂を降りたが、二度目は転落して骨折してしまった



会社員の渡辺秀子さんの作った遊園地。左側に電動ブランコ、右側に回転する乗り物がある。「初めの頃は、回転させると乗っている人が飛んでしまうので、そうならないようにするのに苦労した」
会社員の渡辺秀子さんの作った遊園地。左側に電動ブランコ、右側に回転する乗り物がある。「初めの頃は、回転させると乗っている人が飛んでしまうので、そうならないようにするのに苦労した」



プロダクトデザイナーの金田泰久さんが作った、3つのホイールの回転により9つの動作をするロボット。「足やタイヤのないロボットを作りたかった」という。3つのホイールの回転により、ロボット自体が回転したり、とまったり、方向転換したりする。動作、コンセプトのユニークさに加え、堅牢な作りで完成度も高かった
プロダクトデザイナーの金田泰久さんが作った、3つのホイールの回転により9つの動作をするロボット。「足やタイヤのないロボットを作りたかった」という。3つのホイールの回転により、ロボット自体が回転したり、とまったり、方向転換したりする。動作、コンセプトのユニークさに加え、堅牢な作りで完成度も高かった



●“参班”~コミュニケーションとインタラクション

 片山幸久氏が講師の“参班”のテーマは“共生-コミュニケーションとインタラクション”。人間とロボット、あるいはロボット同士のコミュニケーションを実現させようという試みで、高尚なテーマにふさわしく、やや哲学的なロボットも飛び出した。

大学院生の樋口公樹さんは、振り子ロボットを作成。プログラムをスタートさせると独りでに動き出し、独りでにとまる。“参班”の他のロボットとのインタラクションも可能という 大学院生の樋口公樹さんは、振り子ロボットを作成。プログラムをスタートさせると独りでに動き出し、独りでにとまる。“参班”の他のロボットとのインタラクションも可能という



理学部3年生の加藤賢一さんが作った気分屋のロボット。もう一台のRCXが発生する信号をキャッチすると気分が高揚して、アクションが大きくなっていく。気分が最大値になると、疲れて眠り、光を浴びるとまた一から動作を始める
理学部3年生の加藤賢一さんが作った気分屋のロボット。もう一台のRCXが発生する信号をキャッチすると気分が高揚して、アクションが大きくなっていく。気分が最大値になると、疲れて眠り、光を浴びるとまた一から動作を始める



“参班”のロボットたち。真ん中で回転しているRCXの信号をキャッチして、それぞれのロボットが動き出す。ロボット同士でも信号のやりとりを行なう
“参班”のロボットたち。真ん中で回転しているRCXの信号をキャッチして、それぞれのロボットが動き出す。ロボット同士でも信号のやりとりを行なう



●“黄レンジャー”~家電ロボットを作る

 小方博之氏が講師を努める“黄レンジャー”チームのテーマは、家電ロボット。未来の家電はこうなる、と想像力を働かせたロボットが登場した。

大学院生の鈴木国威さんが作った獅子舞風のダンスをするロボット。マイクを使用して、音声によるコマンドで踊りをコントロールする
大学院生の鈴木国威さんが作った獅子舞風のダンスをするロボット。マイクを使用して、音声によるコマンドで踊りをコントロールする



大学院生(理学系)の折戸朗子さんが製作した、都会にオアシスを提供するロボット。緑色の4枚の羽根には小さい木が植えられており、回転して涼しい風を供給する。後ろに引っ張っているのは、牛乳のパックという
大学院生(理学系)の折戸朗子さんが製作した、都会にオアシスを提供するロボット。緑色の4枚の羽根には小さい木が植えられており、回転して涼しい風を供給する。後ろに引っ張っているのは、牛乳のパックという



大学院生(総合文化研究科)の黒木剛さんが製作した、腕につける多機能ロボット。ロケットパンチを発射するほか、棒の色を感知して音楽を演奏できる。この音楽で、獅子舞風ダンスロボットをコントロールすることもできる
大学院生(総合文化研究科)の黒木剛さんが製作した、腕につける多機能ロボット。ロケットパンチを発射するほか、棒の色を感知して音楽を演奏できる。この音楽で、獅子舞風ダンスロボットをコントロールすることもできる



●“この役たたず”~ペット的なロボットを作る

 茂木学氏が講師の“この役立たず”チームのテーマは、ペット的なロボットを作ること。班名の“この役立たず”は、「なにかの役に立つわけではないが、でも愛らしい、そんなロボットを作りたい」(茂木氏)というコンセプトに由来するという。また、“世界最小のペットロボット”といわれる角砂糖大よりも小さいロボット“EMRoS”(エムロス:“『共生する/進化するロボット』展”で展示中)を作った(株)セイコーエプソンの宮沢修氏も参加しており、本職のロボット技術者の手による『LEGO MINDSTORMS』が披露された。

某家電メーカー経営企画室勤務の柳明生氏の“ロボコン”(右)が、モデルとなった模型と記念撮影したところ。ハートマークにあるタッチセンサーに触れると、後退しながら腕をぐるぐる回してロボコンパンチをお見舞いする
某家電メーカー経営企画室勤務の柳明生氏の“ロボコン”(右)が、モデルとなった模型と記念撮影したところ。ハートマークにあるタッチセンサーに触れると、後退しながら腕をぐるぐる回してロボコンパンチをお見舞いする



経済学部生の松尾安佑子さんのウサギロボット。左においてあるにんじんを与えると、喜んで歌を歌う
経済学部生の松尾安佑子さんのウサギロボット。左においてあるにんじんを与えると、喜んで歌を歌う



セイコーエプソンの宮沢修氏の作った、タイヤがおにぎり型のロボット(写真は後方からのもので、写真では右斜め上の方向に進む)。「時間がなかったので、馬力だけは大きいロボットを作ろうと思ってギア比を大きくした。タイヤをおにぎり型にしたのは動きを面白くするため」という。また、同氏は、世界最小のロボット“EMRoS”について、「誰も作っていないものを作ればそのジャンルで一番になれる」と語っていた
セイコーエプソンの宮沢修氏の作った、タイヤがおにぎり型のロボット(写真は後方からのもので、写真では右斜め上の方向に進む)。「時間がなかったので、馬力だけは大きいロボットを作ろうと思ってギア比を大きくした。タイヤをおにぎり型にしたのは動きを面白くするため」という。また、同氏は、世界最小のロボット“EMRoS”について、「誰も作っていないものを作ればそのジャンルで一番になれる」と語っていた



●“MSTKA(マサタカ)班”~リズム&ステップ

 小阪朋也氏が講師の班は、参加者の頭文字をつなげて“MSTKA(マサタカ)班”と命名。同班のテーマは“リズム&ステップ”。『LEGO MINDSTORMS』で作ったレコードプレーヤーのリズムに合わせて、楽器演奏やダンスを行なわせる。同班のメンバーは、平日もぼほ毎日ワークショップに足を運んで、連日深夜までロボット製作にいそしんだという。

“MSTKA(マサタカ)班”のロボットがセッションを披露した。真ん中にある白い円盤を搭載したロボットが発する信号をもとに、それぞれのロボットが演奏やダンスを披露する。“♪おもちゃのちゃちゃちゃ”から“♪きらきらひかる”を演奏後、各ロボットのソロ演奏やダンスをするはずだったがなかなかうまくいかない
“MSTKA(マサタカ)班”のロボットがセッションを披露した。真ん中にある白い円盤を搭載したロボットが発する信号をもとに、それぞれのロボットが演奏やダンスを披露する。“♪おもちゃのちゃちゃちゃ”から“♪きらきらひかる”を演奏後、各ロボットのソロ演奏やダンスをするはずだったがなかなかうまくいかない



写真奥のレコードプレーヤーは、黒い線が数本書かれた白い円盤が回転し、それを光センサーで読みとってリズムを刻む。手前の演奏ロボットには、カスタネットや鈴がつけられており、“♪おもちゃのちゃちゃちゃ”をなかなか上手に演奏していた
写真奥のレコードプレーヤーは、黒い線が数本書かれた白い円盤が回転し、それを光センサーで読みとってリズムを刻む。手前の演奏ロボットには、カスタネットや鈴がつけられており、“♪おもちゃのちゃちゃちゃ”をなかなか上手に演奏していた



 今回のワークショップでは、時間的な制約からあまりロボット製作に力を注げなかった参加者もいたが、みな思い思いのロボットを作ることに夢中になっていた。『LEGO MINDSTORMS』に初めてさわるという参加者も多かったようだが、わずか1週間という短い期間でも、その魅力を十分味わったことだろう。

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