米インテル社は25日(現地時間)、『Pentium III』に識別用のIDを埋め込んで出荷するというプランを撤回することを発表した。インテルによるとID機能を実装することには変わりないが、これを初期状態ではオフにするという。ユーザーがID機能を必要としたときは、インターネットを利用してID機能をオンにすることができる。
インテルは当初、このID機能を“チップID”として、Pentium III以降のチップで採用していくことを発表していた。インテル製のチップにはもともと、製造場所と製造年月日を記録した32bitの“CPUid”が埋め込まれている。これに64bitのID番号を付加することで、96bitの識別IDを各チップに与えることができるとしていた。
インテルがこのチップIDを発表したのは、20日に開催されたRSA Data
Security Conferenceにおいてだった。このカンファレンス名からも察せられるように、インテルではセキュリティーを目的としてチップIDの採用を決めていた。
ところがチップIDが発表されるや否や、プライバシー擁護団体のElectronic
Privacy Information Center(EPIC)と、消費者擁護団体のJunkBustersは、各チップへのID埋め込みはプライバシーの侵害にあたると主張。インテル製チップのボイコットを表明していた。
インテルはこれらの反対意見を重要視し、わずか5日で計画の修正を発表した。この発表を受け、JunkBustersでは同団体のホームページに掲載していた声明文を取り下げている。
ただ、計画の修正はあったものの、現行のプランではPentium IIIに96bitのIDが埋め込まれていることに変わりはない。そのためEPICでは、さらに突っ込んだ回答をインテルから得られるまでは、引き続きボイコット運動を継続して行く予定。
今回インテルが下した決定は、ほかのチップメーカーにも大きな影響を与えている。20日にインテルがチップIDを発表した時点では、ライバル会社の米AMDや米National
Semiconductorも同様の機能を採用する方針だった。しかし、業界リーダーのインテルが計画の変更を余儀なくされたことにより、これらのメーカーもインテル同様の修正を迫られることになる。