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【INTERVIEW】日本法人設立で、デジタルカメラ用OS『Digita』のさらなる展開を図る――FlashPoint社、相原敬雄氏インタビュー

1999年01月25日 00時00分更新

文● 報道局 山本誠志

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 米FlashPoint Technology社は、デジタルカメラ用のOSとして知られる『Digita』の開発元である。Digitaは既に、コダックとミノルタのデジタルカメラ、そしエプソンのフォトプリンター『プリントン PT-100』に採用されている。Digitaはもともとデジタルカメラ用OSという触れこみだったが、プリンターに搭載されていることでもわかるように、むしろ画像機器一般に広く応用できる基本ソフトと考えたほうが適当だろう。

 Digitaを搭載するハードウェアは、すべて共通のインターフェースを持つことになる。Digitaを搭載した機器は、撮影、画像処理、ファイル管理などの操作を、統一されたGUIによって行なえる(したがって、Digitaを採用する機器は、液晶などの表示装置の搭載が前提となる)。また、APIが統一されていることから、アプリケーションの開発期間の短縮や、リソースの再利用などが見こめるため、メーカーにとってもメリットは大きい。

 また、Digitaの最大の特徴とも言えるのが『Digita Script』だ。ユーザーはDigita Scriptを使って独自のプログラムを開発し、Digitaの上で動かすことができる。ファイルの一括操作や細かい画像処理、簡単なゲームなど幅広い処理が可能だ。同社では、現在『第1回 Digita Script Contest』を開催中であり、Digita Scriptの普及に力を入れている(コンテストの応募締め切りは2月28日)。

 FlashPoint社は、以前から日本に事務所を持っていたが、近日中に正式な日本法人を設立する予定だ。そこで今回は、日本法人の設立と、日本のマーケットにおける今後のビジョンについて、同社の営業・企画マネージャーである相原氏にお話をうかがった。相原氏は、同社の上級副社長であるスティーブ・セイラー氏などと共に、アップルをスピンアウトしたメンバーの1人でもある。

「“発表会”という形をとるかどうか分かりませんが、日本法人の正式な発表は近日中に行ないます。正式には『日本支店』という名称になると思います。現在、日本事務所では、2人の人間がそれぞれ企画メインと営業メインで動いています。」

 FlashPoint社は、米国本社も設立からまだ3年目というベンチャー企業である。このような早い時期に日本法人を設立するのは、同社がそれだけ日本マーケットを重視しているからにほかならない。

「アメリカの本社からは、毎月のように、人が日本に来ています。よその外資系企業だと、“日本のマーケットは、自社の日本ブランチに任せっきり”というところが多いんです。しかし、FlashPointは最先端の技術を売りモノにしていますから、スピードが重要です。アメリカで開発した技術をその都度日本に持ち込んで……などとやっていると、技術の価値が減少してしまうのです。」

「FlashPointでは、設立当時から日本がメインのマーケットだと認識して、日本に力を入れてきました。その日本マーケットが大きくなってきたので、ひとり(相原氏)で対応するのは、ちょっと無理になってきたのです。Digitaスクリプトのデベロッパー登録者も増えてきましたし、夏までにはさらに2~3社との提携を発表できると思います。この提携は、もちろんDigitaの実装を含みます」

 同社の日本事務所では、従来から営業と技術サポートを行なってきた。サポートには、メーカーがハードウェアを開発するための技術サポートと、アプリケーションやソリューションを広めるためのサポートが含まれる。

「実は、サポートは自分たちだけでやっているのではなく、(株)計測技研にお願いしています。計測技研には、じっくり踏みこんだところまで面倒を見てもらおうということで、2年前からお付きあいしています。Digitaの日本語化についても、協力してもらっています。ただ、計測技研はサポートが本業の会社ではありません。ですから、いずれはサポート専門の業者にお願いすることになるかもしれません。」

現在、FlashPoint日本事務所の責任者である相原敬雄氏。日本法人設立後は社長に就任する予定となっている
現在、FlashPoint日本事務所の責任者である相原敬雄氏。日本法人設立後は社長に就任する予定となっている



 1月18日、米FlashPointでは、新しくデビッド・プラット氏が社長兼CEOとして就任した。デビッド・プラット氏は、米ロジテック上級副社長、クアンタム副社長などを歴任した人物である。一方、『FlashPoint 日本支店』の初代社長には相原氏が自ら就任する予定だが、その相原氏は「日本法人も、いずれはシニアで著名な人間を社長として迎えたい」と語る。

 最後に、『FlashPoint日本支店』設立後の同社の戦略や、相原氏自身のビジネスにどんな変化があるのかについて話していただいた。

「日本法人を設立する目的は、日本におけるマーケティングと営業力を強化することです。特に開発者向けのサポートを強化していくつもりです。日本法人設立後も、私の仕事は特に変わりません。今後、人数が増えれば細かいところは変わっていくとは思いますが、精神的に安定した企業となるのはまだまだ先の話です。アメリカの場合、株式上場するまではベンチャー企業だと言われ続けます。日本におけるFlashPointの立場では、ある意味、今年からベンチャーが始まったと言えるでしょう」

「FlashPoint日本法人では、今までのベンチャーになかった文化を持ちたいですね。今から2年以内には結果が出せるように頑張りたいと思います。Digitaの普及を見ると、FlashPointは一気に終わるようなことにはならないと思いますが、油断しているとゆっくり縮小していく可能性は十分あります。でも、現在はそういうことをなるべく考えず、Digitaをデファクトスタンダードとするべく頑張っています」

Digitaの開発環境。Digitaを採用する企業は、まずはこの写真のハードウェアを使い、専用のSDKの上でアプリケーションを開発することになる
Digitaの開発環境。Digitaを採用する企業は、まずはこの写真のハードウェアを使い、専用のSDKの上でアプリケーションを開発することになる

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