日本ヒューレット・パッカード(株)は、同社のPCサーバー『NetServerシリーズ』でLinuxを正式サポートする方針を決定した。現在、社内技術者の教育やサポート体制の整備を進めており、本格的な対応は春ごろからスタートすることになる見込み。同社の『NetServerシリーズ』では、現在、NetWareとWindows
NTを正式サポートしているが、春からはこれにLinuxが加えられることになる。
同社は、エンタープライズ向けにHP-UXという独自のUNIX OSをラインアップしているが、同じUNIX系OSとはいえ、これは『NetServer』のLinuxサポートとバッティングするものではない。また、NetServerというカテゴリにおいても、Windows
NTやNetWareのソリューションを提供し続けることもこれまで通りである。
同社によると、主にインターネットサービスプロバイダ(ISP)や通信事業者などを中心に、昨年夏ごろからLinuxの引き合いが多くなってきており、すでに、SIベンダやリセラーの独自サポートによって、『NetServer』でLinuxを利用する例が実際に出てき始めているという。
Linuxは、フリーソフトウェアのOSとして急速にユーザーが広がってきてはいるが、従来からのOSライセンスビジネスとは根本的に異なるものであるため、ハードウェアベンダーも、その正式対応を表明することに慎重になっていた面がある。Linuxとメーカー製PCサーバーの組み合わせとしては、これまで、大塚商会が日本電気の『Express5800』や日本IBMの『Netfinity』にLinuxを搭載し、それをインターネット/イントラネットサーバーパッケージにして販売している例や、デルコンピュータが企業向けのカスタマイズサービスで個別対応している例などがあった。しかし、日本HPのような大手PCサーバーメーカー自らが、Windows
NTなどと同列の正式サポートOSにLinuxを加えるのは初めてのこととなる。
大手データベースベンダーによるLinux版の投入が相次いだ'98年後半以来、これまでフリーソフトウェアとして敬遠してきたLinuxを、ビジネスの対象として真剣に検討し始める企業が徐々に増えてきている。実際、いろいろなメーカーに取材をしていて感じるのは、Linuxはもはや「知らない」では済まされず、どのメーカーもLinuxに対する態度をはっきりさせなければならないというほどに影響力を持ち始めているということ。'99年はまだ始まったばかりだが、「本物の足音」がもうすぐそこまで聞こえてきている。