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今後の展開と周囲への波及効果が期待されるMACWORLD Expo San Francisco'99

1999年01月11日 00時00分更新

文● 野々下 裕子、younos@pb3.so-net.ne.jp

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 '99年のMACWORLD Expo San Franciscoは、エキシビション初日朝からのキーノートで開幕した。キーノートが初日麻というのは珍しい。キーノート会場も例年とは異なり、展示会場であるMoscone Convention CenterのEsplandade Ballroomが使われた。アップルブースの出展スペースとなるSouth Hallは前日のセッティング時から厳重警護という物々しい雰囲気に包まれており、その様子からもキーノートではビッグな発表があるのではないかとさまざまな噂がとびかっていた。そうした状況を受けて、翌日の朝には会場前に長蛇の列ができた。

新製品に熱狂的歓声

 短い開催のあいさつのあと、キーノートが5分遅れで始まった。『2001年宇宙の旅』に登場したコンピュータHAL9000をパロディにしたオープニングに続いて、米アップル社“iCEO”(暫定)のスティーブ・ジョブス(Steve Jobs)氏が姿を見せた。

 ジョブス氏は今年のビジョンとして4つのポイントをあげ、さまざまなニュープロダクトを発表した。最初に登場した『Power Macintosh G3』の新シリーズは、ボディーはiMACとよく似た乳白色にボンダイブルーのツートンカラー、サイドにはうっすらとだが大きく“G3”の文字がデザインされている。上部には本体を持ち運びのためのハンドルが付き、サイドカバーを開けるとマザーボードがそのまま出てくるという仕組みになっている。SCSIは消えたが、代わってUSBとFire Wireが搭載されている。

 同時に、同系デザインの『Apple Studio Display』も3タイプが発表された。新しいスペックが発表される度に会場の熱狂的なマックユーザーが驚喜の声をあげたのはいうまでもない。

会場にもアップル本社にも5色のタペストリー

 その後、『Fire Wire』『Mac OS X(10)サーバー』などの発表が続いたが、最も会場のボルテージがあがったのはやはりiMACの新しいラインナップが発表された時だろう。ブルーベリー、ストロベリー、タンジェリン、メロン、グレープの5色カラーが壇上にずらりと並ぶと、ためいきは一転、拍手喝采となった。また、キーノート終了後、来場者たちがアップルブースでさっそく新しいマックにふれられるという嬉しい展開となった。

CES会場に展示されていたiMacとその周辺機器
CES会場に展示されていたiMacとその周辺機器



 会場の窓にぶらさげられていた『Think Different』のタペストリーは、その日のうちに新しいマックのものと入れ替えられ、クパチーノにあるアップル本社にもすでに5色iMACのタペストリーが飾られていた。



Apple本社にも同じタペストリーが Apple本社にも同じタペストリーが


 残念ながら、新製品の関連製品やアップルお得意のグッズ類はまだ揃っていないようだが、約1カ月後の2月に千葉・幕張で開催される「MACWORLD Expo Tokyo '99」では追加ラインが発表されることだろう。また、幕張でのキーノートはサンフランシスコとほぼ同じ内容のものをJobs氏が行なうとのことで、日本のマックユーザーもサンフランシスコの熱気を味わうことができそうだ。

ヤノ電器が健闘

 さて、エキシビション会場のほうはといえば、大きな盛り上がりを見せるアップルブースとは対照的に、特に目新しい製品の発表もなく、全体的にこじんまりとしたものとなっていた。会期が火曜日から4日間ということも、全体的にいつものEXPOらしさが感じられなかった要因だろう。

 そうした中で健闘を見せていたのが、いち早くUSBとFire Wire対応製品を発表した神戸のヤノ電器(株)のブースだ。同系の製品としてはキーノートで紹介されたVST Technologies社の製品のみである。ヤノ側はオリジナルプログラムまで開発してサンフランシスコにのりこんだということからも、今後の展開が期待できそうである。

ヤノブース
ヤノブース


 ほかに注目されていたものといえば、ソニー・プレイステーション用のソフトをマックでプレイできるようにするエミュレーター『Connectix Virtual Game Station』だ。OSがネィティブ版であること、G3のみでアップグレードマシンは対応しないなどの制限はあるが、今までゲームにはあまり向いていないといわれていたマックにとっては画期的な製品といえそうだ。

ゲーム関連がまとめられたコーナー
ゲーム関連がまとめられたコーナー



盛り返しの勢いを感じさせるアップル

 iMacの発売以降、アップル社は久しぶりにさまざまな場所で人気を盛り返している。たとえば、EXPO会場のすぐ近くにある子ども向けのマルチメディアラボ『ZEUM』では、展示のほとんどにiMacやApple Studio Displayが使われている。



ZEUMの展示場とその作品の一部 ZEUMの展示場とその作品の一部


 また、EXPOの最終日にラスベガスでスタートしたCESでも、iMac関連製品をあちこちで見ることができた。そういう意味ではマックは初心に戻り、エンドユーザーへデジタルの扉を開く役目を果たしていると言えるかもしれない。

 実際、アップル社のアンケートによるとiMac購入者の32パーセントがはじめてパソコンを購入し、82パーセントがインターネット接続を経験したという。こうした波が日本に影響をおよぼすのか、2月のMACWORLD Expo Tokyo '99が楽しみだ。

キーノート当日に会場で開かれたApple社のパーティー。“THE ROOFTOP AT YERBA BOUENA GARDENs”のアイススケートリンクも会場の一部として使われた
キーノート当日に会場で開かれたApple社のパーティー。“THE ROOFTOP AT YERBA BOUENA GARDENs”のアイススケートリンクも会場の一部として使われた


 Different』キャンペーンのタペストリーは『iMac』と『G3』のものに交換された
Different』キャンペーンのタペストリーは『iMac』と『G3』のものに交換された



会場周辺を巡回していたiMacデザインのビルボードバス
会場周辺を巡回していたiMacデザインのビルボードバス

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