(株)アステル東京が11月30日から開始した『64Kbps高速データ伝送サービス』と、NTT移動通信網(株)(NTTドコモ)がモニターの募集を開始した『64Kデータ通信試験サービス』は、技術的な方法は異なるが、どちらもPHSを使った64Kbpsのデータ通信を可能にするサービスだ。
アステル東京の64Kbps高速データ伝送サービスは、“センター合成方式”と呼ばれる方式で、64Kbpsアダプター『XN-64』(5万9800円)に、2台のPHSを接続するというもの。当然、データ通信カードも2枚必要となる。64KbpsアダプターはパソコンのRS-232Cインターフェースに接続する。この方式のメリットとしては、現在のPHSと基地局がそのまま利用できることから、アステル東京の全エリア内で64Kbpsのデータ通信が可能になり、ISDN64Kbpsのアクセスポイントを持つインターネットサービスプロバイダーならどこでも接続できる点にある。通信料金は、プロトコル変換サービスアクセスポイントまでのデータ通信料金に、1分あたり10円を加算したもの。’99年1月31日までは、お試し期間として毎分10円の加算料金は不要。
アダプターが比較的高価なのに加え、2台のPHSを使うためかさばることがネックだが、アダプター以外は既存の機材を利用できるというメリットがある。
対してNTTドコモ(旧NTTパーソナル)の64Kデータ通信試験サービスは、1日から試験的に5000人のモニター募集を開始している。64Kデータ通信試験サービスの実施期間は、12月1日から’99年3月31日。サービスの利用には、64Kbpsサービスに対応した専用のPHSが必要で、基地局側の対応も試験区域内しか64Kbpsのデータ通信ができない(従来の32Kbpsデータ通信は可能)。また、アクセスできるインターネットサービスプロバイダーもInfoSphere、NIFTY
SERVEなど8つに限られる。しかし、1台のPHSで済むうえ、従来の32Kbpsデータ通信と変わらない手順で64Kbpsのデータ通信が行なえるというのは大きなメリット。データ通信料金はモニター期間中は従来の32Kbpsのデータ通信料金と同じだ。
64Kbpsデータ通信の試験区域が都内と横浜の一部に限られていることと、指定のPHSへ機種交換する必要があるなどといった条件がクリアできるなら、モニター募集に応募する価値は十分あるだろう。