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【INTERVIEW】「日本の消費者は性能よりも、低価格と省スペースにこだわる」~デルコンピュータのポール・カチョフ氏に聞く~

1998年11月27日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 米ネバダ州ラスベガスで、開催された“COMDEX/Fall'98”では、IBM、コンパック、デルなど大手のパソコンメーカーが出展せず、プライベートなミーティングルームで商談などを行なうだけだった。その中の1社、米デルコンビュータ社のポータブル部門『Inspiron』事業部プロダクト・ライン・マネージャーのPaul A.Kirchoff(ポール・カチョフ)氏に、“COMDEX/Fall'98”の印象や、日本のコンシューマーの動向について、ラスベガスコンベンションセンター内のミーティングルームで伺った。

Paul A.Kirchoff(ポール・カチョフ)プロダクト・ライン・マネージャーPaul A.Kirchoff(ポール・カチョフ)プロダクト・ライン・マネージャー



「USBスピーカーやWebTVに興味」

----今回の“COMDEX/Fall'98”については、どのような印象をお持ちでしょうか。

「新しいテクノロジーが集結しており、非常にエキサイティングだと思います。最新のノートパソコン、デスクトップパソコン、そして、新しいアプリケーションなどを見ることができます。さらにそこから、他のパソコンメーカーの戦略なども伺い知ることができて、非常に興味深いものだと思います」

----他のパソコンメーカーの製品で、どういったものに関心がありますか。

「周辺機器では、USB関連の製品に関心があります。特に、USBスピーカーに関心を持っています。ただ、デルコンピュータは常に最新の技術を求めていますので、新しいボード、新しいソフト、ストレージ関係の技術など、何にでも関心があります。エンターテインメントの分野では、WebTVとHDTV(高品位テレビ)は興味深いですね」

----デルコンピュータは、“COMDEX”にはブースを出していませんが、その理由は。

「デルコンピュータは“COMDEX”を、主要なメーカーや顧客とディスカッションをする場であると位置付けています。ですから、ブースは出していませんが、こうしてミーティングルームを設けています。デルは、製品に関するユーザーとのコミュニケーションを、電話やインターネットを通じて実現していますので、ブースで製品を展示する必要はないと思っています。

ただ、ニューヨークで開催された“WORLD PC Expo”には、我々はブースを出しました。というのも“WORLD PC Expo”ならば、コンシューマー向けの製品を展示すれば、多くのユーザーがそれを見に来られるからです。我々の製品をショーアップして、ユーザーにみせることの意義も理解しています」

「直販はコンシューマー市場からのフィードバックに最適」

----アメリカにおけるコンシューマー向けのノートパソコンの市場をどのように見ていますか。

「デルコンピュータは、実際に大きなビジネスチャンスを迎えている、と感じています。デルは、いままで企業向けにデスクトップパソコンやノートパソコンを販売することで成長してきました。しかし、これからはコンシューマー向けにおいても大きく成長できる、と感じています。

デルの特徴であるインターネットや電話を利用した直接販売では、最新の技術を搭載した製品を、コンシューマーに対して適切な価格で提供できます。コンシューマーの声をフィードバックすることも容易です。間接販売が中心のメーカーでは、パソコンショップの店員が、工場の担当者に直接客の意見を伝えることはないでしょう。その意味で、デルはコンシューマーマーケットにおいても、ユニークなポジションにいると思います」

----デルコンピュータにとって、ライバルとなるのはどこのメーカーですか。

「パソコンを売っているメーカーすべてですが・・。まあ、コンシューマーの分野でいえば、コンパック、IBM、ゲートウェイ、マイクロンなどです。また、ノートパソコンに限っていえば東芝といったところでしょうか」

----しかし、コンパックやIBMは、間接販売が中心の会社です。それでも、デルにとってはライバルなのでしょうか。

「デルは、これまで、常に、高性能のパソコンを提供してきました。ハイエンドの製品をできるだけ、安く提供するという方針です。一方、コンパックやIBMは、コンシューマー向け市場において、価格の安いローエンドのパソコンで、依然として強みをもっています。いずれは、この部分でも競合することになるでしょう。また、コンパックやIBMも、直接販売を一部ですが実行しています。これらの会社が、今後もライバルであることは変わりがありません」

「日本のユーザーは新技術に興味が薄いようだ」

----日本のコンシューマーマーケットについては、どのように見ていらっしゃいますか。

「デルでは、アメリカでの売り上げがもっとも大きく、その次がヨーロッパ。そして、日本という順番です。アメリカでのビジネスが最大ですが、ヨーロッパや日本においても、大きなビジネスチャンスをえつつあるとみています。

日本のコンシューマーマーケットは、アメリカのそれとは少し異なります。日本のコンシューマーが気にするのは、まず省スペースであること。そして、価格が安いことの2つの点です。

彼らは、新しいテクノロジーが盛り込まれた製品かどうか、という点はあまり気にしていないようです。CPUやアプリケーションなど、最新の技術でなくていいから、安くて省スペースの製品が欲しい、というコンシューマーが多いようです。これは、デスクトップでもノートパソコンでも同様です。ノートパソコンなら、より小型なものへのニーズが強いようです」

『Inspiron 3500』シリーズ
『Inspiron 3500』シリーズ



「ただ、11月に日米で発表した『Inspiron 3500』シリーズは、厚さが35mm、重さが2.7kgと、デルがこれまで出してきたノートパソコンと比べても、薄く軽量になりました。これならば、日本のコンシューマーのニーズに十分応えられると思います」

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