このページの本文へ

【COMDEX/Fall'98】440ZXチップセットのSocket370マザーボードが登場

1998年11月20日 00時00分更新

文● 月刊アスキー編集部 西村賢

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 11月16日から米ネバダ州ラスベガスで開催されているCOMDEX/Fall'98だが、IBMやAppleというPCベンダーのビッグネームがブースを出していないということが示しているように、世界最大の“コンピュータショウ”という従来のCOMDEXとは異なった印象のものなった。規模こそ例年と変わらないものの、中小ハードウェアメーカーの多くもショウ会場には出展せず、会場とは別に設けられているプライベートルームに引きこもり、メディア向けにプレゼンテーションをしたり、商談をしたりといったところが多かった。

ラスベガス・コンベンションセンターで行なわれたCOMDEX/Fall'98の会場風景
ラスベガス・コンベンションセンターで行なわれたCOMDEX/Fall'98の会場風景



K7が初お披露目

 AMDの新CPUとして初のお披露目となったのは、K7と、以前K6-3と呼ばれていたSharptooth。写真撮影こそ禁止されていたものの、AMDは赤いCeleronといった外観のK7が、実際に500MHz(200MHz×2.5倍)で動作する様子をデモして見せた。AMDは一般向けのブース展示は行なっておらず、K7のデモもプライベートルームでメディア向けのみに行なったが、これにより10月のマイクロプロセッサフォーラムで発表したK7アーキテクチャが、すでに動作テスト中であり、決して絵空事ないことを証明してみせた。

 K6シリーズの出荷実績は、すでに1000万個を数えるほどになっており、コンパック、IBM、富士通など大手PCベンダーの採用もあり、大きな成功を収めている。しかし、これらのCPUはローエンドPC用に受け入れられたもので、K7が目指すハイエンドPC市場では、AMDに対する評価は未知数である。サーバ用途などハイエンド市場では高信頼性が重要であり、それはブランドイメージとも表裏である。したがってK7が、すぐに市場に受け入れられることは考えづらい。K6は、ローエンド市場では少しでも安くというニーズにマッチしていたが、ハイエンド市場では若干の経済性やパフォーマンスの相違だけではIntelの牙城を崩すまでには至らない。しかし、AMDの開発担当者によると、新CPUは、「まずPCベンダーが評価して、もしそれが本当に良い製品であるならK6のときのように採用するメーカーがでてくるだろう、そして、そうした採用実績こそが、ブランドイメージを形作るものである」と自信を見せた。

 デモでは、K7のスピードやベンチマーク結果などについてはふれられなかったが、Sharptoothの400MHzと、Pentium II-450MHzを同じハードウェア構成で並べてベンチマークを実行した。全体で3分ほどかかるテストで3Dレンダリングやオフィスアプリケーションなどをsharptooshが処理しおえたとき、Pentium II-450MHzのマシンはまだ20秒分ほど処理を残しており、Pentium IIより若干低クロックであってもSharptoothがパフォーマンスにすぐれるものであることを強調していた。デモを見る限り、ローエンドばかりでなく、すでにIntelの技術を上回るものを持つとするAMDの言葉にも説得力が感じられる。

 AMDは、COMDEXに合わせてK6-2の新ラインナップである、K6-2 366MHz、380MHz、400MHzの3種類のCPUのリリースも発表。ベースクロックは、それぞれ66MHz、95MHz、100MHzで、いずれもSuper7マザーボードで動作する。1000個ロット時の価格は187ドル、213ドル、283ドルである。また、モバイル版のK6-2についても、Super7ベースでベースクロック100MHz、300MHzクロック動作のモバイルK6-2搭載のコンパックとNECのノートPCが参考出品として展示されていた。出荷は早ければ'99年第1四半期になるという。

もう1つのx86互換CPU、『mP6』が登場

 Intel互換CPUメーカーとしては、Cyrixが新しいCPUラインナップとしてMIIのクロックを高めた『MII-366』を展示していたほか、Rise Technologyというシリコンバレーのベンチャー企業が、x86互換CPU、『mP6』を正式発表し、動作デモをしていた。

_ 発表されたのは、『mP6-166』『mP6-233』『mP6-266』の3モデル。それぞれ実際の動作クロックを示す数字ではなく、CyrixのPRのような、パフォーマンスを示す指標。たとえばmP6-266はベースクロック100MHzの2倍速動作で、実際には200MHzで動く。数字が示すようにスタンダードPCから、ローエンドPC、さらWindows based TerminalやWindows CEやセットトップボックスといったウルトラローエンドをターゲットにしており、1000個出荷時の価格はそれぞれ50ドル、60ドル、70ドルときわめて安い。

 mP6はMMX命令の実行ユニットを3つ持つのが特徴で、デモではマルチメディアに強いことを強調。166のモデルでは、ソフトウェアモデムを使ってダイヤルアップし、ブラウザを使用している最中のCPU占有率が10パーセント程度である様子を見せたり、266モデル(200MHz動作)でDVDのソフトウェアデコードを展示していた。Pentium IIでは300MHz以上というのがDVDのソフトウェア再生の目安とされていることから、同クロックで比較したときPentium IIに比べてマルチメディア処理に優れることを証明してみせていた。デモはすべてデスクトップPCだったが、mP6は、ノートPC向けの387ピンBGAと、296ピンのSocket7向けBPGAの2種類のパッケージで提供される。Cyrix、AMD、IDTに続いて4番目となったx86互換チップベンダーのRiseが、どこまで健闘できるのか、注目されるところだ。

Rise Technologyのx86互換CPU、『mP6』。これはBPGAパッケージでSocket7用
Rise Technologyのx86互換CPU、『mP6』。これはBPGAパッケージでSocket7用



新チップセット、Socket370マザーボード登場

 Intelの正式なアナウンスは'99年の1月3日と言われているが、チップセットに440ZXを使ったSocket370マザーボードが、EPNC、FIC、SOYO、MicroStar、TYANなどのブースで多数展示されていた。年明けの発表ではBGAパッケージを用いたCeleron-366MHzも同時に登場するという。このほかチップセットとしては、VIAのAppoloPro Plusやグラフィックチップを統合したSiS620などがあり、新マザーボードは目白押しといったところ。動作デモは見られなかったがAppoloPro Plus+Super SOUTHを採用したマザーボードは、UltraDMA66にも対応している。FICのブースではPC99対応マザーボードとして、UltraDAM66、Rambus、PCI2.2、VRM8.4(voltage regulator module)、IEEE1394、133MHzのベースクロックなどに対応したサンプルを展示してあった。動作しない、モックアップというレベルのボードではあるが、ISAスロットがないのが印象的だ。

多くのブースでSocket370という刻印に白いテープが貼られるなどしていたが、堂々と展示するメーカーも。Socket7よりピン数が多く、6列縦横ともあるのが分かる
多くのブースでSocket370という刻印に白いテープが貼られるなどしていたが、堂々と展示するメーカーも。Socket7よりピン数が多く、6列縦横ともあるのが分かる



小型メモリ/ストレージ

 HPC/ProやPalmPCを中心に、モバイル系および、その周辺デバイスの展示もいくつか面白いものがあった。JVCの『PocketMail』は、単3電池2本で動くNTTのポケットボードのような製品。40桁×8行表示のモノクロ液晶を備え、幅162×奥行き85×高さ25mm、85オンスと小型軽量。背面には音響カプラがあり、蓋を閉じたまま電話にアタッチし、ボタンを押せば自動的にダイヤルアップしてメールを送受信してくれるという手軽さが売り。本体価格は99ドルで、9.95ドル/月のメールボックス付き専用ダイヤルアップアカウントの利用が前提で、ちょうど10円メールのように1000バイトの送受信なら、ハンドシェークから切断まで30秒で終了する。

 小型メモリ/ストレージは、さまざまなタイプのものが登場し、すでに発表されていたものは製品が市場に投入されようとしている。

250MBに対応したzipドライブ(上)。100MBのメディアの読み書きも可能
250MBに対応したzipドライブ(上)。100MBのメディアの読み書きも可能



 Iomegaのブースでは、発表されたばかりのzipの新バージョン、250MBタイプのものを展示していた。SCSI接続タイプでは、従来より読み書きが70パーセント高速だという。このCOMDEXでようやく製品が登場したSONYの200MBのフロッピー規格“HiFD”や、今ひとつ普及がおぼつかないSuperDISK(LS-120)など、次世代FDのライバルを後目に圧倒的な普及率をほこってきたzipが、これでまた1つリードを広げそうだ。また、新たな大容量100MB級FDドライブとして、Samsungが“Pro-FD”のモックアップドライブを展示していた。zipやHiFDに比べてサーボ機構が単純化されているため低価格を実現できるとしてるが、容量123MB、FDの5倍の速さでの読み書きという平凡なスペックで、来年の第3、第4四半期登場とあって、この分野では苦戦を強いられそうだ。


SamsungのPro-FDのモックアップ。123MBの容量を持ち、従来のFDの読み書きも可能

 去年のCOMDEXで発表されつつ、登場の遅れていたIomegaのClik!も、ようやく市場に現われそうである。Iomegaのブースでは、ドライブを展示するとともに、指ではじくと「クリック、クリック」と音のするノベルティグッズを大量に配布し、盛んにアピールしていた。Clik!は40MBの超小型リムーバルHDDで、メディアの価格は10ドル。ドライブはパラレル接続で199ドルを予定。ドライブは小さく、シャープとコンパックが、来年発売するノートPCやPDAでClik!を採用すると19日に発表しているほか、KODAKがデジタルカメラでの採用を予定するなど、普及が見込まれる。

 SanDiskからは96MBタイプのコンパクトフラッシュが発表、展示されていた。市場価格は4万円後半という。同時に2.5インチ、3.5インチのHDDサイズの440MBのシリコンドライブも発表。価格は未定だが、440MBのもので20万円前後になる見込み。日本では未発表だが、MMC(マルチメディアカード)は16MBのものが展示され、ノキアの携帯電話やボイスレコーダーとともに展示されていた。容量単価がコンパクトフラッシュより若干安く、スマートメディアに比べて小型であるのがメリット。MMC採用製品は、民生機器をはじめとして'99年初頭から登場するという。

三面鏡を縦置きにしたようなC1のモックアップ。キーボード手前のパームレスト部の右側にメモリスティックの挿入口が2つある
三面鏡を縦置きにしたようなC1のモックアップ。キーボード手前のパームレスト部の右側にメモリスティックの挿入口が2つある



 SONYのブースでは、MMCのライバルとなる『メモリスティック』を用いたコンセプトモデルが多数展示されており、同社の意気込みを感じさせた。デジタルビデオ、ボイスレコーダー、ヘッドホン型デジタルオーディオ再生機をはじめ、メモリスティックの採用モデルとして、VAIO C1にアタッチする形のメモリスティックリーダー/ライターのモックアップを展示していた。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン