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「漢字をパスワードにして、パスワードの信頼性を高めることも考慮」-“東海インターネットワーク協議会”主催セミナー

1998年11月20日 00時00分更新

文● クララオンライン 弓木裕史

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 東海インターネットワーク協議会主催のセミナー“PGPを利用した暗号化セキュリティ”が11月16日、名古屋で開催された。当日は、村中明彦氏(ネットワークアソシエイツ、プロダクトマーケティングスーパーバイザー)が同社の開発動向を中心に解説した。ネットワークアソシエイツでは、ウイルス駆除ソフト『ウイルススキャン』が代表的な製品。今回は暗号化製品などをデモした。

セミナーの様子
セミナーの様子



企業ポリシーに合わせたデータセキュリティー

 PGP(Pretty Good Privacy)はフィル・ジンマーマン氏によって開発され、現在400万人の利用者を持つ暗号化技術。ジンマーマン氏自身、技術普及のためにPGP社を設立した。しかし、現在ではこれがネットワークアソシエイツに買収され、彼自身も主任研究員として参加している。同社は、高度な暗号化に不可欠な128ビット暗号の輸出が可能になったことから、日本国内でも販売に力を入れ始めている。これに対応した製品が『PGPパーソナルエディション』である。現在店頭でも購入可能になっている。

 村中氏は「自動車会社などで、社内機密に属するようなCADファイルをインターネット上でやりとりするケースなどでは暗号化が不可欠だ」とその有効性をアピールした。

講師の村中氏講師の村中氏



 PGPの利用というと、従来、設定に手間が掛かるという印象があった。しかし、今回行なわれたデモでは容易さが強調された。標準的なメールソフトであるOutlookExpressとEudoraを利用し、メニューから必要なキーをドラッグアンドドロップで選択する簡単な操作で暗号化が完了する様子が説明された。本文テキストは、クリップボード経由で暗号化でき、メール利用時のテキストデータの暗号化が楽になっている。

 村中氏によれば、現在ネットワークアソシエイツは企業向けの製品開発に力を入れている。すでに『Certificate Server』、『PGP DeskTopEdition』などが製品化されている。PGPは「性善説でできているシステム」(村中氏)であるために、公開カギの公開方法にも注意しなければならない。これらのサーバーは、一般にはオープンに運営されている。企業内では暗号化に用いる公開カギを一ヶ所のサーバーに集中管理し、各部署の運用ポリシーにのっとった運用を可能にする必要がある。この場合、管理者のみがすべての暗号メールを解読できるコーポレートキーを保持することでトラブルに対処することになる。Certificate Serverおよび運用ポリシーを管理するPolicy Management Agentとを結合することでシステムが構築される。

漢字をパスワードにする可能性も

 コンピュータの高速化に従い、暗号化の信頼性が低下するという面もあるのは事実。これについて村中氏は「現在は高度な暗号化を行う際には、ユーザーがランダムなキーをたたくなどしている。2バイトコードである漢字をパスワードに使えれば信頼性も高まるのでは」と、日本発の暗号システムへの期待にも言及していた。

 企業内でもノートパソコンが利用されるようになり、これらが盗難に合う危険性もまた高まっている。そのような場合にも機密保持が可能になるように、ネットワークアソシエイツではハードディスクをそのまま暗号化する製品も企画している。これまで、暗号化ツールを利用するためには手間がかかる技術というイメージが強かった。しかし、着実に進歩を遂げているようだ。

 ネットワークアソシエイツは、企業向けにヘルプデスクソフトなどを開発している。ネットワークへの侵入、トラフィック管理、ファイルデータの暗号化と組織内での運用ポリシー管理、クライアントマシンのデスクトップ管理を行なう。すでにその内容はウイルス駆除、暗号化などの個々の分野にとどまらず、互いに統合されてきた。ネットワークにおけるセキュリティー意識が高まる中、社内システムを安全にインターネットと接続するために欠かせない製品となりつつあるといえる。

 このセミナーを主催した東海インターネットワーク協議会(会長:福村晃夫、中京大学教授)は、東海地区を中心にコンピューターネットワークに関する技術水準の向上をめざして活動している団体である。企業から大学関係者まで幅広い分野から会員を集めているのが特徴で、昨年は地域プロバイダーの技術交流、車イス向け地図の研究活動などを実施している。

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