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インターネット接続はもはやインフラのひとつ--全室無料でホテルピエナ神戸が目指す情報サービス

1998年11月19日 00時00分更新

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 普段からインターネットを利用している者にとって、もはやメールは手放せないツールとなっている。特にメールアドレスを持っている者同士では、緊急の場合以外はオンラインでやりとりすることが多い。仕事、プライベートを問わずである。そういう人が泊まりがけで出かけたときに、いつも頭を悩ますのが電話回線の確保である。

 最近、ホテルなどの宿泊施設ではこのような時世に対応して、モジュラージャックの設置やオフィスルームの設置など、さまざまなサービスが始められている。そのような中で宿泊客の好評を得ているホテルがある。筆者(野々下)の眼から見て、画期的ともいえるサービスがその原動力だ。

ロイヤルスィート。ライティングデスクとサウナも備えられている
ロイヤルスィート。ライティングデスクとサウナも備えられている



 神戸の拠点、新神戸駅の徒歩圏にある、ホテルピエナ神戸。観光地、神戸北野の近くにある隠れ宿といった雰囲気のホテルは、全90室と規模的には決して大きくない。だが、その落ち着いた雰囲気と大手ホテルとは違うきめ細やかなサービスで海外客を含むリピーター確保につなげている。

 同ホテルが今回新しく始めたのが『インターネット接続無料サービス』である。全室にデータ通信用のモジュラージャックが備えられており、端末の設定をちょっと変えるだけで、インターネットを無料で利用できる。しかも接続のための電話代は請求されない。また、長期宿泊者向けにメールアドレスも用意しているという。

接続マニュアル
接続マニュアル



 このようなサービスをなぜ始めたのか、そして採算は取れているのだろうか。同ホテルの統括マネージャー、長野輝裕氏に話を伺った。

「インターネット=情報を、水や電気と同じライフラインの1つと捉え、無料サービスにこだわりました。技術的にはホテル内にサーバーを置き、OCNを利用して外部と接続しています。簡単に言うと、ホテル内にプロバイダーを作ったのです。これにより、通信コストを抑え、接続無料化を可能にしました」

室内とその壁に取り付けられた接続口
室内とその壁に取り付けられた接続口



 ホテルピエナ神戸では、昨年9月から始めたオンライン予約サービスも好評だという。同ホテルのホームページから予約が可能だ。もともとサービス料は徴収していないが、さらに特別価格が適用される。そんなメリットもあってか、現在(98年11月)では月平均250人程の予約がある。オンライン予約サービスを始めてからは、特にビジネスユースのリピーターが増えたという。インターネットを利用した新たな予約システムも開発中である。完成するとリアルタイムで空室状況わかるようになり、ますます予約がスムーズに、便利になるそうだ。

ホテルピエナの統括マネージャー長野輝裕氏(左)とシステムのサポート役でもある竹内正剛氏(右)
ホテルピエナの統括マネージャー長野輝裕氏(左)とシステムのサポート役でもある竹内正剛氏(右)



 保守的といわれるホテル業界において、このような進んだサービスを、しかもタイムリーに導入することは難しい。その後押しとなったのは、同じく神戸市内の兵庫区でビジネスマン向けの宿泊施設『市力旅館』を経営する竹内正剛氏の存在である。

 竹内氏は旅館業を営む一方で、(有)竹内商事の代表取締役として、ネットワークシステム構築のサポートサービスを実施している。高校の同級だったという2人は、再開を機に意気投合。同業者ならではのアドバイスと、宿泊者のサービスとは何かを追求するお互いの姿勢が、今回の『インターネット無料接続サービス』を早期に実現させたといえる。

 将来的には、インターネットの接続端末の貸し出しや、データイムユースにも対応してくとのこと。今後のサービス展開にも期待したい、モバイラー注目のホテルである。

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