11日、神戸商工会議所にて、“第1回阪神・淡路マルチメディア産業交流会”が開催された。テーマは“インターネット・セキュリティー”。約40名が参加したセミナーは、(財)阪神・淡路産業復興推進機構新産業部部長の桂川幸治氏の開催の挨拶で始まった。
最初のプログラムでは、関西電子共和国実験プロジェクト代表の臼井義美氏が、“電子コミュニティの発展とコンピュータ犯罪”と題し、電子コミュニティの運営を通じてネットワーク論を語った。以下にその要約を紹介する。
関西電子共和国実験プロジェクト代表 臼井義美氏 |
ドメイン名は自分の名前
ホームページの価値で、その人の価値を計る時代がやってくるのではないかと考えている。人が死んだ時に残るのは“墓”ではなく“ホームページ”。これを集めて“メモリアルパーク”を作り、祈祷(きとう)するというわけだ。ところが、会社のドメインは、所属部署の異動とともに変わるので使えない。自分のドメイン名ならそんな問題はなく、私の場合、勤務先・大学・情報センター・自宅のメールをここに集約している。
SOHOや企業家・サラリーマンなどが集まって1つのビジネスをやろうと“Cyber Business Union”という組織を立ちあげた。そこでドメインを取得しようとしたところ、通常は35ドル程度のドメインが3500ドルで売りに出されていた。競合とは勝ち目がなく、結果的にはあきらめた。このようにドメイン取得は、いまやバーチャル世界の不動産業にもなっている。トンガ王国はドメイン名販売で稼いでいるが、元手はゼロである。
日本ではJPNICが売買を禁止しているので安心だが、日本から出られない“co.jp”では意味がない。大切なのは適切なドメインを確保することだ。
会場風景 |
インターネットは風にさらされた“生情報”
コンピューター犯罪では、ウイルス、cyberストーカー(女性ページの書き換えなど)といったローテク犯罪、また、技術より情報を使った攻撃が増加している。だが、犯罪よりもハッカー技術を広めている行為の方が問題である。従来メディアは編集機能を持ち、そこに“自制”があった。しかし、インターネットに“自制”はない。インターネットは“生情報”である。
衛星回線はセキュリティーが守られているとされてきた。しかし、フランスから外国への取り引きを米(CIA)が盗聴し、その情報をほかへ流して有利な取り引きをしたという。トヨタからマレーシアへの工場プラントの情報も盗聴され横流しされた。これは、犯罪行為ではないのか?
サイバーアタックでは、低コストで、匿名性が守りやすく発信者のダメージ少ないのもかかわらず、相手に過大な被害を与えることができる。どこまでが犯罪なのか。国がやれば戦争なのか。今、世界中でサイバー犯罪の立憲に向けて動き出している。
メディアとしてのセキュリティー方法
プログラムその2では、大阪市立大学教授の中野秀男氏による、“インターネットの現状とセキュリティーについて”の講演となった。スライドが中心で、各種セキュリティーの紹介や、管理、不正アクセスの事例などが紹介された。技術的にも専門的な解説が多く盛り込まれ、暗号化メールやウェブラウザーのセキュリティーについても詳しい話がいくつか登場した。
また、メディアとしてのインターネットの今後のあり方についても触れられた。インターネット放送やTV会議は一般化していくだろうとの見識を述べている。情報の使い手としての意識を高めてほしいと、“デマウイルス”や“Antivirus News”など、オンラインでのデマを見抜くサイトも紹介された。