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“COMDEX Japan '99”説明会で、、経営コンサルタントの波頭亮氏が特別講演

1998年11月13日 00時00分更新

文● 報道局 清水久美子

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 ソフトバンクフォーラム(株)の“COMDEX Japan '99”の説明会で、経営コンサルタントの波頭亮氏による特別講演が実施された。“日本再生シナリオ~次世代ビジネスとIT産業の役割”がテーマ。不景気が続く日本の問題を点指摘した。

波頭亮氏波頭亮氏



 まず、現在の日本の不況タイプを“構造不況”とし、不景気、好景気を繰り返す“循環型不況”と区別した。

 「構造不況の原因として、まず価値構造の変化が挙げられる。IT産業の発達で、製造業より創造性を要する仕事が重要になってきた。単純作業は機械ですべてできるからだ。ところが今の日本の企業では、創造性を生み出す仕組みへの業務転換が図られていない。8割以上の仕事は伝票を書いたり、書類を作成するというコンピューターに適した仕事。にも関わらず、古くからの業務体系、年功序列、終身雇用などにとらわれている状況は、長い間変化していない。今は社員の人数と、仕事の生産性は必ずしも比例しない。どれだけイノベーションに結びつく仕事ができるかが勝負」

 「これらは日本人が苦手とするものだ。風習、思想そのものがネックになっている。意識そのものの構造変化がなされていない。若者の流行が一様化し、これら時代を一世風靡してしまうことからも見受けられる」と、同一化する意識が構造変化で変わるまでは、不況が続くと強調した。

 また、情報の価値についても述べた。「“ないよりあった方がいい”という情報が多すぎる。こういうものに囲まれていると、本当に大事なものを見落としてしまう。確実性を伴う情報以外はすべてノイズのはず。IT産業の発達で情報収集には困らなくなった。しかし、こうした大量の情報から大事なことを読み取って、分析し、必要なエキスだけを抽出する能力が、今後さらに重要になるはず」と、“量”より“質”の優位性を述べた。

 最後に、「逆説的な言い方だが、コンピューターは戦争の対象にはならない。誰も本気でコンピューターを相手に戦う気にはならないはず。やる気、気持ちの根源的なものは人間対人間で生まれるはす。ビジネスにおいても、価格、性能だけで商談が成立することはないだろう。IT産業が発達して機能が充実する中で、これは忘れてはならないことの1つになるはずだ」とまとめた。

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