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“The Perl Conference”日本で初開催

1998年11月11日 00時00分更新

文● 報道局 浅野広明、原武士

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 プログラミング言語『Perl』に関するカンファレンス“The Perl Conference Japan”が、東京・新宿のパークハイアット東京で本日と明日の2日間、開催される。これは米国で昨年初めて開催されたカンファレンスで、日本での開催も今回が初となる。チュートリアルおよびワークショップを開き、Perlの詳細な技術や最新の話題を解説する。

米オライリー社社長とPerl開発者が来日

 本日午前中には、米オライリー社社長のTim O'reilly(ティム・オライリー)氏と、Perl開発者のLarry Wall(ラリー・ウォール)氏が基調講演を行なった。

 

左からTim O'reilly氏、Larry Wall氏 左からTim O'reilly氏、Larry Wall氏



 O'reilly氏は、ネットスケープ・コミュニケーターやLinuxのソースコードが公開されていることを引き合いに出し、「Larry Wall氏やLinux開発者のLinus Torvalds氏とも、ソースコードの公開という流れを活性化しようと話し合っている。この流れは今後インターネットにとって核心となると信じている」と述べた。もちろん、Perlのソースも公開されている。

 一方、Wall氏は、“プログラマーのための合気道”という一風変わったテーマで講演した。合気道の究極の目標は、対戦相手を宇宙と融和させることにあり、これはプログラマーに対するPerlの姿勢とつながるのだという。Perlは自然言語の要素を取り込んでおり、理屈ばかり学ばなくても、繰り返し利用すると自然言語を覚えるようにプログラミング手法が身に付いていく。また、同じ作業をするのに、いろんな表現方法が利用できるのもPerlの自然言語に似た特徴。つまり、このようにしてコンピューターとプログラマーを融和させることが目標だ、というのである。

 そして、Perlのコンセプトを「Easy things should be easy, and hard things should be possible.」(簡単なものは簡単に、難しいものは可能にすべきだ)とまとめた。

“Perl/Tk”~ワークショップより

 “Perl/Tk”というテーマで、(株)プロファイアの小林弘明氏が講演を行なった。

小林弘明氏。現在はゲームプログラマー 小林弘明氏。現在はゲームプログラマー



 Tkとは本来、プログラミング言語『tcl』のために作られたGUIライブラリー(ツールキット)。そして、Parl/TkはTkをParlに組み込むための拡張モジュールである。小林氏はこの日本語化を行なった人物。

 「簡単なものは簡単に作られるべき、というPerlの思想は、Perl/Tkにも受け継がれている。今後、Perl/Tkは確実にシェアを伸ばすだろう」と小林氏は語った。そして、Perl/Tkを利用してスクロールバーやテキストボックスなどのGUIを作成し、その操作の手軽さをアピールした。

 その後、Perl/Tkを使用したアプリケーションを開発できる自作のツール“EVA”を紹介した。EVAとは同氏の好きなアニメからとった名前である。

EVAの画面。説明するときには「初号機」と呼んでいた
EVAの画面。説明するときには「初号機」と呼んでいた



 最後に小林氏は、Perl/Tkの日本語化を行なう手法を細かく紹介した。「私がなぜ、この場でこのような説明をするのかと言うと、今の私にはPerl/Tkの日本語パッチを開発する時間がないからだ。誰か私の後を継いでくれれば」と述べ、フリーソフトの開発を続けることの厳しさを垣間見せた。

“Perl <HEART> XML”~チュートリアルより

 “Perl <HEART> XML”というテーマで、前出のWall氏がセッションを行なった。内容は、PerlとXMLの融合により実現できる機能について、同氏が実際にPerlで作成したソースリストを交えて解説するというものだった。

Larry Wall氏 Larry Wall氏



 Wall氏は、「XMLは単体では柔軟性はないが、Perlと組み合わせることで、柔軟性に富んだ様々なアプリケーションに発展する」と述べた。同氏の紹介したPerlプログラムは、XMLで書かれたテキストデータを解析するプログラム数種と、XMLからHTMLにデータを変換するプログラム。プログラム中の各変数に格納される値や、正規表現の表記方法、サブルーチンについて解説した。同氏がセッションで使用したスライドショーには、これらのプログラムが使われており、すべてのデータはXMLで記述されているとのことであった。

 また、今後のPerlの方向性としては、ユニコードへの対応や文字コードの変換機能の追加を例に挙げた。

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